人は土から離れては生きられないのよ
最近、いくつか「土着」というものについて考えるきっかけをもらった。
ep1:双葉町でみせんだん太鼓
年明けに、双葉町でだるま市が行われていた。
たまたまタイミングが噛み合うので、地域のせんだん太鼓のお披露目を見てみた。 なんと最前列のど真ん中、SS席だ。
心臓に響いてくる太鼓の音、シンメトリーに展開される陣形、老いも若きもねじり鉢巻をしめ、勇壮に叩いている。
非常に喰らった。もちろん演目そのものも素晴らしかった。
一方で昨年まで、この双葉町の地で開催することは避難指示があった関係で難しく、いわきで開催されていた。
この双葉の地で太鼓を叩いている、このシーンに地域の人たちの感銘はひとしおだろう。
ep2:ポケットマルシェ 高橋さんのお話
産直ECポケットマルシェ 高橋さんのお話を伺う機会があった。
「都市と地方をかきまぜる」をテーマにお話を伺った。
死にそうなデジタルワーカーが地域で生産活動に携わることで息を吹き返した話をいくつもバイネームで教えてくださった。
どんどんとかき混ぜを加速すべく、福島沿岸でも活動拠点を作るかもしれないらしい。
サーキュレーターが事業や人の存在を通じて生まれていく。
風と土が混ざり、風土が醸される。
ep3:祭りを受け継ぐ請戸の人たち
先日、旅のサブスクサービス HafHのネイバーと地域を巡る旅企画を開催。
浪江町の請戸エリアは、津波により大打撃を受け、ほとんどの建物が流失してしまった。
漁村の風景は今や、更地に。
震災遺構としてそのままで残す請戸小の中で、2階の映像がある。
そこで豊穣を祈る田植え踊りを、社殿の跡で受け継ぐ一人の女性の紹介映像があった。
2月の3週目開催で参加者同士で、ちょうど明日だとはっと顔を見合わせた。
そして実際に行われていた。新たな幼な子も踊り手に加わり、舞を通じた身体性ある地域との接続が続いていた。
ep4:まつわろぬ民
歴史の授業で習った征夷大将軍(武家政権における国のトップ的な)。
夷狄、えみし、えぞちなどと、とにかくセントラルなものから隔絶されていてかつ、服従してくれないうぜー奴らという散々な言われよう。
それはあくまで中央の奴らの言い分で、普通に自分たちの暮らしを営んでいるだけで、それを奪いにくるならばそりゃ抵抗しますわな。
現代でこそどんどんと暮らしが平準化してきてはいるけど、我々がそこで暮らしを保つことは、アイデンティティの大きな部分をしめている。
季節ならではの風習や、気候に合わせたライフスタイル、何を崇め、何を敵視してきたか。
特に山々で区切られ、寒冷地で食いもんにも苦労をしたからこそ、それでも自分たちで自活しようとする非常に独立意識の高い東北の民。
中央的な権力にも、気候にも負けないぞという闘いと気高き精神性が「まつわろぬ」の5文字には詰まっている。
あとがき
「人は土から離れては生きられないのよ」 ジブリ映画 天空の城ラピュタの主人公の一人シータのセリフ。
なぜ自分がここにきて、生きているのか。
こういう小さな体験の集合体により、その地に自分があることの手触り感が育まれていく。
普段はちょっと違うスタイルでの随筆でしたが、こはこれで良きかな。
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