Upgrade

夫婦でギャングに襲撃され妻を失い、自分は肢体不能になったグレイの身体に”ステム”というAIを組み込み不能になった身体機能を補い、それどころか人間離れしたパワーを手に入れ妻殺しの復讐に出る、というお話。

何を”アップグレード”するかっていうとズバリ”身体”っていうものすごく分かりやすいタイトル。アップグレードされた身体が出てくる映画は過去にもたくさんあって、例えばロボコップが、その分野でよく知られた映画だと思うけど、ロボコップのマーフィーとの決定的な違いは、身体はステムの意思に大きく左右されるという点。時に制御不能に陥るくらいステムに委ねられる部分が大きい。それによる葛藤ももちろん描かれている一方で、ステムに委ねることでグレイの目的が一つずつクリアされていく過程は、観る側にとって超痛快だし「いいぞ!ステム!もっとやれ!」と叫びたくなる場面も。

途中とある理由で訪ねるハッカーの周りには、現実より痛みが少ない=幸福度が高いという理由でVR空間に依存する人がたくさんいるんだけど、身体をアップグレードする世界なのに、人間にとっての理想郷は身体を放棄したVR空間にあるという”ねじれ”もこの映画の面白いところか。

とにかくサイバーパンク、バイオレン、アクション、ノワール、僕の好きな物が全部詰まったやばい映画でした。

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