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ファンドマネージャーが活用する企業分析の手法
私が本業であるファンドマネージャーとして目的の企業に対して、デューデリジェンス(Due Diligence、略してデューデリ)を行います。
デューデリジェンスとは、投資対象の企業や資産に対して詳細な調査・分析を行い、投資リスクを評価するプロセスです。
本質的な分析するためには、重要な指標に焦点を当てた効率的な方法が必要となってきます。
1社にかけられる時間は短く、わずかな時間で本質を得るためには、まず業界の基本情勢を把握し、それに続いて企業の戦略的ポジショニングを評価しています。
このアプローチでは、企業の財務報告、市場データ、業界レポートなどから得られる情報を効果的に活用し、迅速ながらも深い理解を目指しています。
そして、これらの情報を総合して、企業の将来性、リスク、そして価値を判断しているのです。
※ すべての企業がIRを出しているわけではありません(IR公開がない場合はこのセッションは読み飛ばしてください)。
IRとは、Investor Relationsの略で、日本語では「投資家向け広報」と訳されます。
このIRを行う目的は、投資家に対して、企業の経営状況や財務状況、事業戦略などについて、正確かつタイムリーに情報を提供し、企業の価値を高めることです。
IRを行うためには、企業の規模や業種、上場有無などによって、さまざまな要件を満たす必要があります。
そのため、中小企業や非上場企業などでは、IRを行うための体制やコストを整えることが難しい場合もあります。
また、IRの必要性を感じていない企業も少なくありません。
例えば、株式を公開していない企業や、株式の持ち合いが強い企業などは、IRを行う必要性が少ないと考えられます。
また、企業の経営方針や経営者の考え方によっても、IRを行うかどうかは異なります。
例えば、経営方針として、IRを重視していない企業や、経営者がIRに積極的でない企業などは、IRを行っていない可能性があります。
なお、近年では、IRの重要性が高まっており、中小企業や非上場企業でも、IRを行う企業が増えています。
また、IRのコストや手間を軽減するためのツールやサービスも登場しており、IRのハードルは下がりつつあります。
具体的なメソッドの紹介
それではここから、具体的な企業分析のやり方について、どのように効率的に情報を処理し、意思決定に活かすかをお伝えします。
ここでは例として、就職人気ランキング常連の株式会社三菱UFJ銀行で説明します。
まずは、ホームページにアクセスしましょう。
するとブラウザの上部に、以下のメニューが表示されます。
![](https://assets.st-note.com/img/1717574115882-3IY7dCxcc9.png?width=1200)
次に、『企業情報』をクリックすると多くの企業では以下のようなメニューが広がっていると思います。
ここから『投資家の皆様へ』や企業によっては『IR情報』をクリック
![](https://assets.st-note.com/img/1717574236178-gVlnowto38.png?width=1200)
この会社の場合は、こちらですね。
![](https://assets.st-note.com/img/1717574259692-abrqfgXx5k.png?width=1200)
これをクリックして、IR情報の画面を表示させます。
![](https://assets.st-note.com/img/1717574276844-1ROtHNg86l.png?width=1200)
ここで見るべき資料は、『決算の短信』か『プレゼンテーション資料(2023年11月16日 投資家説明会)』のみです(要は最新の資料を参照する)。
IR資料の短信は、企業が株主や投資家に向けて公開する財務状況や業績の概要を提供する文書になります。
通常、四半期ごとに公表され、企業の収益性、成長性、財務健全性などが要約されています。
大抵は『決算短信』のなかに中長期計画が書かれているので、就活における企業研究では、それを読むだけで十分だと考えています。
なお、株式会社三菱UFJ銀行の場合は、プレゼンテーション資料に記載されていました。
株主総会の議事録を活用した逆質問のアイデア
IR資料には、株主総会における株主からの質疑応答の議事録が含まれています。
この議事録は、企業の経営陣がどのような課題に直面し、どのような戦略を持っているかを理解するための貴重な情報源です。
株主からの質問は、しばしば鋭く具体的であり、企業の本質的な問題点や将来の方向性について明らかにします。
この議事録を参考にすることで、企業に対する逆質問を効果的に行うことができます。
例えば、株主総会で議論された具体的な問題点や経営戦略について質問することで、面接官に対してあなたの企業理解の深さをアピールできます。
以下は、議事録を活用した逆質問の例です。
前回の株主総会で議論されていた○○プロジェクトの進捗状況についてお聞かせいただけますか?
株主総会で挙げられた△△に関するリスク対応策について、現時点での状況を教えていただけますか?
株主からの□□に関する質問に対して、経営陣は▲▲と回答していましたが、その後の具体的な取り組みについて知りたいです。
これは、経営陣の回答に基づいたフォローアップの質問であり、継続的な関心を示します。
このような逆質問を通じて、企業への深い関心と理解を示すことができるため、選考プロセスでの評価を高めることができます。
株主総会における議事録を活用することで、他の候補者との差別化を図り、面接官に強い印象を与えることができるでしょう。
なお、第8章の業界特有の面接(プレゼン)対策の「逆質問には何を聞くべきか?」で、さらに詳述しています。
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