日記➖ついつい長居してしまう本屋

本屋に平均どのくらいの時間滞在するのか。
私は、とかく買う本を選ぶのに時間を要してしまう。
本の配置や選書の意図、店主はどういう人なのだろうと考えながら、店の中を本棚に沿って1、2周する。人がまばらな店内で、奇異に映っていないか心配もある。
さて、それだけ長居してしまうと、何も買わずに出ることなどできない。心理的に、次来難くなりそうということもあり。
何かは買わなくてはならない。
とは言え、なけなしの給料から、際限なく本を買えるわけでもない。
結局、無難なチョイスになってしまう。そう思うことは多い。

素敵な本屋は、とはいえやはり癒しだ。
最近、旅先で心に残る本屋と出会った。
その本屋は、細い路地を行き、白のレースカーテンを潜ると入ることができる。
アンビエントが流れる中、足元では敷き詰められた小石の音が鳴っていた。
並べられた本は、まるで美術館の展示のようで、それでいて荘厳過ぎて手に取り辛いということもない。
選書にも温かくも、しかし現実を問うのに必要な、そういう意思を感じた。
良い本屋に出会うと、こうした場所が存在するのだという希望に触れたような気持ちになる。

ついつい本屋は長居をしてしまう。
気付けば1時間経ってしまうこともざらにある。
窮屈さや息苦しさを覚えた時も、そこでは自分の時間で気が和らぐ。
こうした場所が点在していて、いつでも避難できるようになっていたら良いのに。

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