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わたしたちがいなくなった、ひとりぼっちの夜に【いつか、あなたに見せたい写真#01】

「6歳の誕生日の記念写真に」と、fotowaをご利用くださったご家族がいました。

 お誕生日を迎えるのは、マサキくん。
 来年小学1年生になるダウン症の男の子です。

「のびのびと学ばせたい」と願うご両親は、それが叶う地域への引っ越しも視野に、この街で過ごした日々の思い出づくりも兼ねた撮影でした。 

 なんで、わたしたちは写真を撮るんだろう?
 本当は、どんな写真を残したいんだろう?
 何を願って、写真に託しているんだろう? 

 ご家族にうかがいました。

いつか、わたしたちがいなくなった未来を想う


――写真を残したいと思う理由を教えてください。

 わたしたちがいなくなった後のことを、つい考えてしまうんです。

 この子には、親戚があまりいません。従兄弟とも20歳ぐらい歳が離れているんです。

 いつか、この子を残してわたしたちがこの世を去ったとき、友人や仲間が傍にいてくれる……そんな子に育ってほしいです。

 この子は、ダウン症です。
 人は誰しも、自分の存在意義について考えたり、自信を失くして揺らいだりすることがあると思います。もしかしたら、この子は健常の子よりも「自分は生まれてきて良かったのかな?」という不安や疑問に向き合うことが多いかもしれません。

 でも、わたしたちは「生まれてきてくれて、ありがとう」って思うし、この子が笑ってくれたら嬉しい。
 大変なこともあるけれど、毎日、楽しく笑いながら暮らしているんです。

 そうやって、幸せに過ごしてきたこと、親に愛されてきたことを、記憶の中だけじゃなくて、もっと確かな証として残してあげたい。

 だから、自分たちでもたくさん、たくさん写真を撮って残しています。

撮った写真はプリントしたりフォトブックにして「形」に残すようにしています

あなたが、こんなにも必要とされてきた証を残したい


――写真を見て、お子さまにはどんな気持ちになってもらいたいですか?

 
「こんなことあったかな。覚えていないけど、みんなすごく楽しそうだな」
「僕と居ることで、こんなに嬉しそうな顔をしている人がいるじゃないか」

 って、そんな風に思ってもらえたらいいな、と思います。

――そう思ってもらうために、どんな写真を残したいと思いますか?

 ニコニコの写真です。
 この子はもちろん、わたしも、夫も、家族みんなが、ニコニコの写真。

 自分でも子どもの写真は撮りますが、誕生日とか、入学記念とか、節目のイベントごとには、やっぱりプロの人に撮ってもらいたいんですよね。ちゃんと家族全員が、心の底から笑っている、楽しくて幸せな記憶と結びついた写真です。

© fotowa / 村井 智久

 彼は、人見知りはあまりしないけれど、場所見知りは結構するんです。
 だから、今までもプロの方に写真を撮ってもらいたいときは、絶対失敗しないように、たくさん下調べをしてきました。
 同じダウン症のお子さんがいる先輩ママたちから「あの写真館は、発達特性があっても大丈夫だったよ」とか「あそこは、やんわり断られたよ」とか(苦笑)。

 苦労して開拓してくれている諸先輩のおかげで、わたし自身はこれまでの撮影経験の中でも、悲しい思いをしたことはありませんが、話をうかがっていると、うまくいかなくて、泣きながら帰ってきた、なんていう話はたくさん聞きます。

 せっかく写真を撮っても、親が悲しそうな顔をして帰ってきた思い出が彼の中に残るのは嫌なんです。
 だから、みんなで写真を撮るときも、撮った後も、ニコニコしながら「楽しかったね!」「また撮ろうね!」って笑い合える思い出を残してあげたい。

© fotowa / 村井 智久

楽しかった思い出を、幸せな気持ちと共に、何度でも思い出せるように

 fotowaさんでの撮影は、本当に楽しかったです。ずっと笑っていました(笑)。
 終わってからも息子が「まだ帰らない」というほどでした。

 フォトグラファーさんに「発達凸凹相談歓迎」のアイコン表示があることで、発達特性があることを言ってもいいんだ、相談してもいいんだと思えました。それだけで、気持ちがすごく楽でした。「相談可」ではなく「相談歓迎」というネーミングも嬉しかったです。

 撮影する場所や時間帯も、この子に合わせてもらえる安心感がありました。事前に、フォトグラファーの村井さんが苦手なことを確認するチェックリストをくれて、一緒に撮影を成功させる条件をすり合わせていけることが、ありがたかったです。

 撮影中も「お水を飲もう」「少し休憩しようか」と提案しながら進めてくれたのも、すごく助かりました。
 おかげで、終始、全力で楽しんでいるわたしたちの姿を残すことができました。

 今も、写真を何度も見返しています。
 撮影中の時間そのものが、わたしたち家族の宝物になりました。

© fotowa / 村井 智久

――最後に、どんなときに、お子さまにこの写真を見てもらいたいと思いますか?

 寂しくなったときに。
 わたしたちがいなくなっても、泣いてたら一緒にご飯を食べてくれる、お友達がいてほしいと思います。

 それでも、寂しくなったときに「家族写真」をみてほしい。できれば部屋に飾って、いつでも思い出してほしいと思います。

 わたしたちと過ごした、楽しくて幸せな毎日を。あなたが、ただ生きているだけで嬉しくなる、こんなわたしたちに、たくさん愛されてきたことを、思い出して、前を向いてほしい。

「僕には、こんなに楽しい思い出があって、今までの人生、こんなにも楽しく生きてこれたんだから、これからもお友達と楽しく生きていこう!」

 って、そう思えるものを、これからも、たくさん作ってあげたいと思っています。


撮影したフォトグラファー

村井 智久さん 
https://fotowa.com/photographers/chikyu

fotowa Photographer 村井 智久さん

 家族の形はいろいろあって、撮りたい人も、撮りたくても撮れない人にも、写真を撮る機会を提供できたらと考えていました。

 発達特性を持つお子さまが、写真スタジオでなかなかうまくいかないというお話はこれまでも聞いたことがあり、わたしたちのような「出張撮影」が力になれたらと思っていたので、今回、撮影できたことは、私にとっても嬉しいことでした。

 発達障害の方に限定するわけではなく、どんなご事情があっても「すべてのご家族の思い出づくりのお手伝いをしたい」と思っています。

 プライベートな話ですが、私は小さい頃、両親が離婚していて、小さい頃の両親との思い出が、あまりありません。記録としての写真だけじゃなくて「楽しい1日が過ごせたね」という、思い出づくりのお手伝いを、写真を通じてできたらいいなと願いながら、フォトグラファーとして活動しています。

Photographer:村井 智久さん 
https://fotowa.com/photographers/chikyu

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何度でも見返したくなる写真を、
あなたに、子どもに、家族に。「fotowa


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