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悩みに答えを出すノート術①~自由のためのノート術

『自由のためのノート術』は今日からスタートです。初めてここを訪れた方は、ここから読まれても全く問題ありません。でも、著者の私は何者なのか、なぜノート術を書いているのかに興味を持たれたら、前回の「自由ためのノート術へようこそ」を読んでみてください。

負の感情に向き合う

人は様々な悩みと共に日々生きています。そんななか、いつまでも自分を苦しめるのは、たいてい自分自身のことか、または自分と関わった誰かへの感情ではないでしょうか。

たとえば今日、仕事で失敗してしまったとか。歩道を前から集団で歩いてきた人たちが避けてくれなかったとか。電車で足を踏まれたとか。車を運転していたら乱暴な運転で前に入られたとか。そういった事柄は、その日いちにち頭に血が上っていたとしても、何年も抱える悩みには、そうそうならないはずです。

それに比べ、こういった経験から生まれる感情はどうでしょう。
直ったと思ったのにまた同じ過ちを繰り返す自分のクセ。なんど話をしても理解してくれない家族のこと。自分の尊厳を大きく傷つけてきた友人や上司。付き合っていた彼氏、または彼女から酷い言葉を浴びせられた経験。

こういったことは、たとえそれが過去のことであっても、何年も、人によっては何十年も、心の中に居座り続けています。今まさにそういったことに苦しんでいる人もいるでしょう。普段は記憶の底に沈んでいるのに、何かのきっかけで浮上してきて、心がかき乱されることもあるでしょう。


だから最初のステップは、こういった悩みや嫌な記憶に、終止符を打つためのノート術をお伝えします。

なぜ悩みの解決から始めるのか。それは悩むことが、かなり精神エネルギーを使うものだからです。この章に書かれていることを実践して、まずは悩むことで奪われている心のリソースを取り戻し、エネルギーを充填させることから始めていきたいのです。


ノートは用意していただけたでしょうか。最初に日付だけは必ず書いてください。日付は大切な情報です。

日付を書いたら、いよいよ、まっさらなノートに書き始めます。
何を書くのか。それは怒りや悲しみ、いま感じていることのすべてを書くのです。心の中にわだかまっていることを全部、言葉にして書き綴っていきます。

この時のノートは、あなただけの、いわばカウンセラーなんです。ここに、どんな話も聴いてくれる、そして受け入れてくれるカウンセラーがいると思って、今の心の内を、遠慮なくそのまま打ち明けてください。

「これって要するに、悩んで苦しいときに、誰かに話せばスッキリするっていうのと同じことじゃない?」

ええ、まあそうなんですが…。ただ、聞いてくれる相手が、たとえば人格者であったり、優秀な心理カウンセラーでもないかぎり、身近な聞いてくれそうな人に相談してアドバイスをもらうより、ノートを使った方が、よほどいい答えが出せるんです。

あなたも愚痴や怒りを誰かに話したことがあると思います。でもその結果はどうだったでしょう。
求めていた答えをもらえなかったりしませんでしたか。納得のいく答えをもらえたとしても、問題は解決できたでしょうか。その瞬間にスッキリしただけで終わったんじゃないでしょうか。そのときは、大きくうなずけるアドバイスだと感じたはずなのに、時が経てばまた同じことで悩んでいたなんてことはなかったでしょうか。

これから話す方法を使えば、悩みを過去のこととして、きちんと終わらせることができます。それと同時に、似たような問題がその後に起こっても、再び感情を乱されないよう、心を整えることに繋がっていきます。どうぞこれから話す方法の通りに、書いていってください。


まずは起こった出来事を書き出します。今どういう状況なのかを、丁寧に説明するように、書いてください。
たとえば「○○にムカついている。」と思っていたとします。その感情を素直に書いたら、そのあと続けて理由を書いていってください。あなた専門のカウンセラーである“ノート先生”に、起こった事実を説明するのです。

自分に起こったことなのだから、わざわざ書かなくても分かっている、と思うかもしれません。でもここが大事なポイントです。あらためてノートに書き出すことで、その悩みに至った経緯を冷静に再確認することができます。

不思議なことに、書いていると、頭の中にあったときとは違うことを書いている自分に気づくことがあります。あれ? こんなこと考えていたっけ? とか、こういう状況だったっけ? とか。
手を動かしている最中も、頭の中では、こんな疑問が浮かんできていて、自分の手と心が分離している感覚をおぼえたりすることもあります。

これもノートに書き出すことの大きなメリットです。頭の中だけで考えているときって、どんなに状況を客観的に把握していると思っていても、きちんと理屈で考えていると思っていても、実際は考えているほどでもなかったりします。だから、あらためて頭の整理をするためにも、その問題について何も知らない人に教えるように、丁寧に書き出してください。

状況を変えようと頑張っているのに、なかなか上手くいかないこと。言い返したかったけど口に出来なかったこと。ずっと一人で悩んできたこと。誰も分かってくれないと感じていることを、滔々(とうとう)とそこに綴っていってください。

ここのところずっと心に居座っている怒りや悲しみ、ネガティブな感情も正直に。相手に言ってやりたかったけど呑み込んだことは、セリフをそのまま書いてください。

事実を書き出していくと、その感情をあらためて感じることになります。起こった時の心の動きが再現されます。自分がそのことについてどう感じたのか、どう考えているのか、その時よりは少し引いたスタンスで感じられるはずです。じつは怒りだけでなく、悲しみも感じているのではないか、不安な感情もあったのかもしれないと気づけることもあります。

大事なことが2つあります。ひとつは誰かに対して書くとき、徹底的に自分が正しいという立場で書くこと。遠慮はいりません。私にも落ち度はあったけど…なんて、中途半端に相手を擁護するような、大人な立場を取らないことです。

もうひとつは、正直に書くことです。いざノートに向かうと、案外これができません。やってみると分かりますけど、慣れないうちは真っ白なノートを前にすると、つい身構えてしまいます。カッコつけたり、無意識に体裁を整えようとしてしまうのです。誰に見せるわけでもない自分のノートに向かってでさえ、人が正直になるのは、意外と簡単ではないのかもしれません。

ノートや日記を書いたことのない人は特にそうです。何を書いたらいいか分からないで止まってしまう人は、密かに自分の心の中で、このように誓うといいのです。このノートはぜったいに誰にも見せない! と。
わざわざこんなことをする意味は、自分の心を安心させるためです。ノートや手帳、日記なんて、普通は他人に見せたりしません。でもあえてこうすることで、正直になっていいんだと思えるようになるんです。ちゃんとした文章になっていなくてもいいんだと思えるんです。心を開くための儀式だと思ってやってみてください。


実際に書いてみると分かりますが、途中から手が追いつかなくなるくらいに、言葉が溢れてくるのを感じるでしょう。

最近起こったことはもちろん、昔のことであっても構いません。いま思い出すだけで心が搔き乱されるようなことなら、なおさらこの機会に書いてみることをお勧めします。


そうやって書いていった先に、その瞬間はやってきます。これまで抱えていた気持ちに変化が訪れるのです。

でも今回はここまでにさせてください。じらすつもりはなくて、その前に話しておきたいことがあるのです。


ではまた次回。

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