見出し画像

シャッターチャンスに出逢うために

素敵なシーンに出逢うために、わたしには心掛けていることがあります。理屈じゃ説明できないことですが、ここでふたつ紹介させてください。

こんにちは。写真の先生をしてます、大野朋美です。

こんな経験はありませんか。

カメラをもって散歩していると、「あ、いま撮らなきゃ!」と思える印象的な何かが突然現れた、なんてことが。たとえばスナップしながら街を歩いていると、猫や鳥などの動物や、魅力的な人物があらわれて、とっさにシャッターを切ったとか。

また、ある風景を撮ろうと決めて出かけたのだけれど、それとは別に、思ってもみなかった素敵な風景に出逢えたとか。

そんな偶然から生まれた写真だけれど、それが後々まで心に残る一枚になった、なんてことが。僅かなタイミングのズレでも出逢わなかった出来事なのに、今となってはその写真が手元にあるのが当たり前に思えてくる。というか、その写真が手元に無いなんて、ちょっと考えられないと思えてくる。そんな一枚が、あなたにもあるのではないでしょうか。

そして、これって不思議なことだと思いませんか。たしかに理屈で言えば、その写真がずっと心の中にあって、だんだんと、あるのが当たり前に思えてきただけなのかもしれないけれど。

いずれにせよ、こういう経験を幾度かすると、こんどは自分から、そんな出逢いを求めるようになっていきます。もちろん最終的には運を天に任せるしかないのでしょう。けれど少しでも自分に何かできないかなと考えてしまうものです。

タイミングに恵まれるために

わたしが心掛けているのは、縁を大事にすることで、これをけっこう真面目に信じています。

理屈じゃ説明できないので、人に勧めるっていうのではないです。でもわたし自身は納得してやっていることなので、ここでふたつ紹介させてください。

ひとつは、撮りたい目的のシーンがあって訪れた場所では、たとえそのシーンが空振りであっても、がっかりするだけで終わらせず、他の出逢いを探すようにしています。

何か持ち帰らなきゃ気がすまないと、そういう気持ちもあるのかもしれません。でもそれだけじゃないのです。

私は、対象にレンズを向け、シャッターを切り、写真におさめると、その場所やその存在と自分が、どこかでつながるのではないかと思っています。それはハッキリと説明できるような何かではないのですが。

だから当初の目的にフラれても、その場所とつながるために、何か写して帰るようにしています。もちろん何でもいいからっていうような、いい加減な態度じゃなくて。今日というタイミングで出逢うべき何かが、他にあるんじゃないかなと考えるようにしています。

けっきょくその時は不作で終わることもあります。でも次に訪れたとき、素晴らしい光景に出くわしたり、タイミングに恵まれたりするんですよね。

私にとってのベストシーズン

何かと出逢うために、シャッターチャンスに恵まれるために心掛けていることのふたつ目は、「舞い込んできた話には乗る」とか、「思い立ったが吉日」と考えて、動くことです。

誰かから持ち掛けられた話で、それがちょっと迷うようなものだったとしても、できるだけそれに乗るようにしています。それは何かの知らせかもしれないと考えるようにしています。たとえその場所のベストシーズンが夏だったとしても、話が舞い込んできたり、行きたいと思ったら、行くようにします。

この記事のTOP画像は、北海道の美瑛で写しました。北海道のベストシーズンは一般的に7月と言われていますが、これは9月に訪れたときの写真です。

じつは9月の北海道で、その季節ならではの目を引く風景があるのかどうか、確信は持てていなかったけれど、行ったんです。ある人から(撮影とは別の)の誘いがあって、それに乗ったんですね。

実際に行ってみると、美瑛の丘はソバの花の白い絨毯で覆われ、周辺の田んぼでは稲穂が黄金に輝いている風景が広がっていました。

訪れてみると、情報だけでは知り得なかった様々な風景を目にして、気づけばそっちに夢中になっていた、なんてことはないですか? たとえ多くの人にとっては夏がベストシーズンであっても、自分にとってのベストシーズンは今かもしれないってことです。私も今や、北海道へ行くなら9月がいいと人に勧めていたりします。

これも写真の醍醐味

縁を大事にしているってことで、ふたつ紹介させてもらいました。ひとつは被写体との縁。その土地とか存在との縁です。そしてもうひとつは、自分の周囲との縁です。

写真って、どんなに頑張ったとしても、自分の力だけで良い写真が撮れるものではなく、“もたらされるもの”だと思っています。どこまでいっても最後は運まかせですが、予期せぬ幸運に出会うことも、写真の醍醐味のひとつだったりしませんか?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?