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悩みに答えを出すノート術③~自由のためのノート術
自分の内にある感情や言葉をノートに書き出すのは、吐き出してスッキリさせるというより、そのあとに起こる不思議な出来事を呼び起こしたいから。前回はそういう話でした。
書き切った時に現れるもう一人の私
心にわだかまっている思いの全てを書き切ったとき、それはいきなり飛び出してきます。「そうはいってもね」と。それまでとは逆の立場を取る自分が、内側から現れて、こんなことを言い始めるのです。
そうはいっても、あの状況では、相手だって仕方のない行動だったんじゃないか。そうはいっても、相手の立場を考えれば、あんなことを言うことも分からなくはない。そうはいっても、あの時の私にも、行き過ぎたところがあったのかもしれない。
こんな風に、思いも寄らなかった考えや意見が、内側から飛び出してくるでしょう。意外な言葉が飛び出し、それに戸惑ったとしても、これらを全て、素直に書き出すようにしてください。
「え、これが不思議な出来事? そりゃあ誰だって、言い過ぎたら少しは訂正したり、自然と反省の気持ちも出てくるでしょう。」
そうかもしれません。でもこの時に出てくる言葉の意外さに、あなたもきっと驚くにちがいありません。その考えはいったい、どこから飛び出してきたのか。そんな風に考えたこともなかった。いったい心のどこに潜んでいたのかと不思議に感じるでしょう。まるで自分の中に、もうひとり別の自分がいたような感覚になります。いったい誰が話しているんだ? って、きっと思うんじゃないでしょうか。
飛び出してきた言葉が、少なくとも今のあなたの正直な気持ちであることは事実です。
たとえば誰かに同じことを相談していたとして、その相手から同じことを言われたら、納得できなかったかもしれません。「いや、でも...」と反論していたかもしれません。でも自分のなかから出てきた言葉なら、素直に受け入れられるのではないでしょうか。
それにこの体験は、これで終わりじゃありません。もうひとりの自分の考えを書いていくうちに、また「そうはいってもね」と、さらに別の立ち位置からの意見が飛び出してくるのです。
それは“最初の私”が再び息を吹き返したのではありません。第3者が現れたと言っていいでしょう。最初の考えをフォローする部分もあるかもしれませんが、それとは別な3つ目の視点です。いったいこれは誰の言葉なんだ? と、きっと不思議に思えてくるでしょう。
ただ、ここまでスムーズに進まないこともあるかもしれません。何度も言うようですが、ここに至るためには、自分の心に正面から向き合って正直になること、心にある全てを書き切ること、この2つを守ることが条件です。
勘違いしないでほしいのですが、これは、敵のように感じていた相手の気持ちをも思いやろうとか、自分の反省点をあぶり出すためにしているんじゃないのです。あくまで自分自身のために行うのです。
思い出しただけで感情が動くのは、いまだにそのことの何かが心に引っ掛かっているからです。いったい何に自分は囚われているのか。そこをはっきりさせない限り、この先もずっと、その問題が居座り続けるでしょう。いやもっと怖いのは、どんどん膨らんでくることです。いつまでもそのことに、貴重な心のリソースを使うのは勿体ないと思いませんか。
ひとつの立場を取って徹底的に書く。書いていった先に現れる意外な言葉も含め、溢れる言葉を全て書き切ったとき、ようやく、ふっと心が凪ぐ瞬間が訪れます。そうか、そうだったのか! と思える瞬間がやってきます。
自分は何に腹を立てていたのか。何に感情を振り回されていたのか。前提となっている価値観は何だったのか。腹立ちの中には悲しみもあったのか。そして、あの時どうすれば良かったのか、どうすることも出来なかったんじゃないのか。
理不尽なこともあったのかもしれない。でも、モヤモヤする気持ちの理由がはっきりしただけでも、随分と心は軽くなります。心のわだかまりを解消するには、そんな風に自分を理解してあげることが大切なのです。
長年ずっと抱えていたこと、根の深いものなら、いちどで全てが解消できる、とはいかないこともあります。そういうときは、翌日もまたノートに向かえばいいのです。今日いちにち、もがいて答えの出なかったことが、一晩寝て起きただけで解決することってあります。なぜなら今日の私と明日の私は同じじゃないからです。
今日の私と明日の私は同じじゃない…それはまた次々回にお話します。
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