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電気自動車のリアル

こんにちは。Forward to 1985 energy life事務局の服部です。
2023年5月末に電気自動車リーフを購入して1年ちょっとが経ちました。
今回は乗ってみての感想や、走行距離、電気代の"リアル"をお届けしたいと思います。


0.電気自動車(EV)の種類

まず電気自動車とは、その名の通り「電気を動力源として走行する車」のことです。EVとも呼びます。EVとはElectric(=電気) Vehicle(=車)の略で、ひとえにEVと言ってもいくつか種類があります。

https://evsmart.net/basic/article008/

このように4つに大別されます。

ハイブリッドカー(HV、HEV)はトヨタが1997年にプリウスを発売してもう27年になるので、イメージできる方も多いのではないでしょうか。エンジンとモーター、2つの動力を搭載しているのが特徴で、これらを効率的に使い分け、もしくは組み合わせることで低燃費を実現したものです。

電気自動車(EV、BEV、Pure EV)は「Pure EV」を日本語にすると分かりやすいと思いますが「純電気自動車」という通り、電気のみを使用する車です。外部電源から電気をバッテリーに充電し、モーターを回転させて走行します。代表車種・メーカーに日産リーフやサクラ、TESLAなどがあります。この記事では広義での電気自動車に対してPure EVと表現します。

最近耳にすることが増えてきたのがプラグインハイブリッド自動車(PHEV)です。代表車種にトヨタ プリウスPHVや三菱 アウトランダーPHEV、マツダ CX-60PHEVがあります。ハイブリッドカーとPure EVのあいのこのような感じでしょうか。ガソリンの給油も電気の充電も可能なのがこのプラグインハイブリッド自動車です。

最後に、まだ私は見たことがありませんが燃料電池車(FCEV)があります。他のEVとは違い、水素を燃料とするEVで、水素と酸素で電気を発生させる「燃料電池」が搭載されています。現在販売されているものにトヨタ ミライがあります。

昨年私が購入したのはPure EVの日産リーフです。今回はこのリーフの使用感などをご紹介します。

1.1985House in Beppuで使用している日産リーフ

リーフは2010年に発売された「初代」と、2018年に発売された「2代目」という、大きく分けて2つのモデルがあります。初代では航行距離が200km台だったのが2代目になって300~400km台になり、格段に1充電で走れる距離が長くなりました。

画像・スペックは日産ホームページより

私が購入したのは2代目で、登録年は2018年だったので購入当時で5年落ち、走行距離は24000km、電池容量40kWhのものです。
新車のサクラも検討していたのですが、納車に半年ほど待つということだったので今回は中古車で手を打ちました。

2.何km走れるか?カタログ値と実際値<街乗り>

Pure EVでまず気になるのは「何km走れるのか」です。それを左右するのが「電費」です。ガソリン車では「燃費」といいますが、電気自動車では「電費」と言います。

この電費、ガソリン車でもそうだと思いますが、カタログ値と実際値には開きがあります。そこで、カタログ値と実際値を<街乗り>と<高速>で比較してみたいと思います。

まず街乗りでは、日頃私が一番使うルートである1985House in Beppu(自宅)~事務所で実験しました。実験日は執筆日の2024年7月15日です。常時エアコンを稼働しました。

往復17.1km、行きは坂道をずっと下り、帰りはほぼ上りという道のりです。

まず往路。

スタートが電池残量76%でしたが、事務所に着いてもまだ76%!
これはモーターを使う車の特性で、減速している時に「回生ブレーキ」というものが働いて、失われるはずのエネルギーをバッテリーに蓄えて再利用するというものです。
回生ブレーキとは

初めてリーフで事務所に行った時に、電池残量があまりに減らないので故障したのかと思ってしまいました笑
これは、1985Houseが海抜230mにあるから成せる技です。

しかし、海抜230mということは帰りがキツいということ。

行きに1%も減らなかった電池残量が、帰りは8%も減ってしまいました。
この状況をカタログ値と比較してみます。

カタログ値ではフル充電で322km走れるということでした。
ということは1%あたり3.22km走れるはずということになります。
しかし、実際には8%で17.1km、1%あたり2.14kmしか走れませんでした。
つまり、上り下り(往復)平均での実際値はカタログ値の2/3だったということになります。
そして、行きは1%も減らなかったということは、実際には帰りの9kmで8%減ったということになります。これはカタログ値の1/3しか走らなかったということになります。

つまり、下りは回生ブレーキのおかげもあってとても優秀だけど、上りにはめっぽう弱いということが分かりました。

まぁ同じ道を往復する場合は、下れば必ず同じだけ上るので、上り下り(往復)の平均である「カタログ値の2/3しか走らない」を基準に考えておけば良さそうです。

3.何km走れるか?カタログ値と実際値<高速道路>

ガソリン車では、停車・発進の多い街乗りの方が燃費が悪くなります。電気自動車ではどうなのか、今度は高速道路での状況を見てみます。テストしたのはこの車を購入した2023年5月28日です。

車を購入したのが福岡だったので、福岡で車を引き取って、そのままIKEAに行き、IKEAから1985Houseまでの消費電力を見てみました。

結果としては、143kmのほとんどを高速道路上を走って64%減という結果でした。
出発時の残量表示が214km、ナビでの残り距離が143km、数字の上では大丈夫なはずですが、初めての電気自動車での高速走行。途中で電欠したらどうしよう・・・とかなり不安でした。

帰って安堵して数値をまとめてみました。

街乗りよりは少し電費は良かったです。

結論、走行距離に関しては「カタログのWLTCモードの65~70%ほど走る」と考えておけば良さそうです。(なお、この数値は日産HP等に掲載されている他のユーザーさんのコメントとも合致しています)

4.いくらで走れるか?

「どれだけ走れるのか?」を見たところで、今度は「いくらで走れるのか?」を見ていきたいと思います。

まず、納車された2023年5月28日から執筆時の2024年7月15日までの総走行距離は15,562kmでした。

1ヶ月あたり1,150km走行したことになります。
これを、プリウスで走行したときのガソリン代と比較してみたいと思います。

先程までは1%あたりの走行距離で示していましたが、ここでは計算のために1kWhあたりの走行距離(電費)に直しています。街乗りと高速の平均で40kWh(=100%)あたり218.5km走れるので、218.5km÷40kWh=5.46km/kWhとなります。

プリウスだと11,029円/月のところ、リーフだと3,073円/月で済むということになりました。
別府は特にガソリン代が高いんですよね・・・全国平均より高いです。
そして、九州は電気代が安いんです。
その開きもあって、これだけ差が出ました。
どおりで、別府ではよくリーフを見かけます。我が家の近所だけでも3軒がリーフに乗っています。

ちなみに上記のリーフの計算は、太陽光発電で充電せずに、純粋に九州電力から電気を買って充電した場合の金額です。

では1985Houseではどうかというと・・・

ということで、1年と1ヶ月半合計しても18,995円分しか支払わなかったということが分かりました。残念ながら「家も車もエネルギー自給」とはいきませんでしたが、でっぱった1,034kWhは「来客を福岡空港(往復300km)まで迎えに行った」とか「観光に連れて行った」という時に使ったものなので、日常自分が使う分は自給できた。。。ということでご容赦頂けたらと思います(実際、日常使用分は太陽光発電での充電で賄えています)。

ちなみに1年と1ヶ月半で18,995円だったということは、1,413円/月ということになります。プリウスとの差額が9,616円/月、ということは115,392円/年の差になります。太陽光発電の設置価格(イニシャル)が85万円だったので、7.4年リーフに乗るだけで太陽光発電設置費用をペイできるということになります。

さらに家での自家消費と売電もあるので、我が家では4.17年で太陽光発電設置費用が回収できてしまうという結果になりました(ヤッター)。

電気自動車導入を検討されている方は、是非併せて太陽光発電の導入もご検討下さい!

5.イニシャルの比較

ここまでランニングコストの比較をしてきましたが、イニシャルコストも比較してみたいと思います。

2024年現在、クリーンエネルギー自動車導入促進補助金でリーフの場合85万円も補助されるので、プリウスとほとんど同じ価格で購入できるということが分かりました。

ちなみに私の場合は中古で210万円で購入したのでクリーンエネルギー自動車導入促進補助金は使えませんでしたが、家の方の補助金(次世代ZEH+)で190万円頂けたので、20万円の手出しだけで車を購入することができました。

6.メリット・デメリット

最後に、1年ちょっと乗ってみて知ったメリットとデメリットを挙げてみます。

<メリット>
・イニシャルは決して高くない(ハイブリッド車と同じ)
・ランニングが圧倒的に安い(ハイブリッドの1/3以下)
・補助金・エコカー減税以外に、車検や保険料も安い
・30万km以上走る(寿命がガソリン車の3倍)
・エアコンがすぐ効く
・初速が早い
・走行感が滑らか
・電源をつけたまま車を出られる(排気ガスが出ない)
・静か
・回生ブレーキがエラい

<デメリット>
・充電スポットが限られる
・充電に時間がかかる
・車種が限定される
・家で充電するなら充電設備が必要

個人的には「エアコンがすぐ効く」と「静か」というのがとても良かったです。
毎日温泉に入る都合上、体が熱くなっていることが多いので、すぐ冷房が効くというのが本当にありがたい・・・

そして、本当に静か。音楽がよく聴こえるし、友人との会話も聞き取りやすいので、ドライブがとても楽しくなりました。

また、デメリットについては、
・充電スポットが限られる
→現在充電スポットの数はガソリンスタンドの6割ぐらいの数があるそうです(肌感でもそれぐらいの感じです)。アプリやナビでも調べられるので、私の場合は長距離移動のときは事前に調べておいたり、充電設備のあるホテルを予約するなどして対応しています。

・充電に時間がかかる
→基本的には日中の太陽光発電で充電していて、前日に事務所に行った分ぐらいだったら晴れた日なら45分もあれば満充電にできます。遠出をする際に日中1~2回充電をするときがありますが、30分もあれば50%は充電残量を回復することができるので、ドライブの休憩や観光の時間を利用して充電しています。たまに困るのは、充電設備があるはずだと思って行ってみたら故障中という時です。そういう時のために、近場に2~3ヶ所充電スポットがあるようなところに駐車できるよう行程を組むようにしています。

というわけで、この車を買うまで電気自動車に乗ったことのなかった私の1年ちょっとのレポートでした。総じて「とても良い。オススメ!」です。

1985House in Beppuに来ていただいた方には試乗して頂いてますので、是非お気軽に乗りに来てくださいね~

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文章ではお伝えしきれなかったところはYouTube Liveでご紹介します。
2024年7月20日(土)10:00~生配信、
以降アーカイブ配信致します。

ご視聴はこちらから!
Forward to 1985 energy life YouTube
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エネルギーを自給自足する家『1985House in Beppu』の全貌はこちら!

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