社会教育実習体験記
2024年9月、静岡市女性会館へ社会教育実習に来てくれた大学生の体験記です。居場所事業「ちるり」の運営や講座企画に携わってくれました。
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こんにちは。6日間の社会教育実習に参加させていただいている大学生です。実習の体験について記録させていただきます。
今回この実習に参加したのは、大学の資格過程の一環です。地元静岡県の社会教育について関心を持ち、実習先を探す中で静岡市役所の教育総務課の方から女性会館を紹介していただきました。大学の授業で学んだジェンダーの知識と社会教育を結び付けて考えたいと感じたことがきっかけでした。
1日目
ガイダンス
まずはじめにガイダンスを受けました。静岡市女性会館の設立から現在の取り組みや日本のジェンダー指数や男女格差の具体的な数値など現在のジェンダーの概要について教えていただきました。
施設案内
次に施設案内をしていただきました。施設内はとても広く、さまざまな活動ができる充実した設備が揃っていました。当初、女性会館の利用者は女性が多く男性の利用者は少ないのではないかと感じていましたが、男性の利用者も多く男性が主体となった団体活動も行われていることを知り驚きました。
講座企画
講座企画の立案に向けたガイダンスを受けたあと、実習の担当者の方に相談にのっていただいたり調べ学習を行ったりしました。講座を考える上で自分自身の身の回りにあるジェンダーに関する現状や課題、社会に出た時に直面すると思われる課題などをあげ、そこから講座の目的や対象者について考えました。担当者の方は親身になって相談にのってくださり、アドバイスをいただいたことで目的や対象者を明確にすることが出来ました。
2日目
本日はまず初めに朝礼に参加させていただき、葵生涯学習センターの皆様にご挨拶させていただきました。
施設管理
施設管理の一環として子ども室のおもちゃの消毒や点検を行いました。子どもが安全におもちゃを使えるように定期的に消毒と点検を行い、衛生的な状態を保っているとのことでした。
午前中の時間の合間に2023年度の事業報告を読み、講座参加者の属性のデータを見た際に10代の学生の参加者が一番多いという事実を知り、実習前に立てていた高齢者の参加者が多いのではないかという仮説が覆り驚きました。
講座準備・ちるりの準備や運営
本日は主にU-22限定女の子のための居場所、ちるりの運営準備や明日以降に行われる講座の準備に携わる機会が多かったです。ちるりの準備では使用するコップの準備やPOP作りを行い、講座の準備では、使用する配布資料を束ねる作業を行いました。2つの準備を通して、講座を企画したり、運営したりする際にどのような目的や想いを持っているのかということを直接お聞きすることができた貴重な機会となりました。ちるりの運営に参加し、さまざまな活動ができるよう充実していることがわかりました。また、ちるりの担当者の方は普段から居場所事業を行うことで災害時などの緊急の際に、女性の居場所を確保することができるとおしゃっていたことが印象に残っています。
3日目
図書コーナー業務
午前中は図書コーナーの業務を体験させていただきました。まず、クリッピングという新聞記事を切り取りファイルに保管する作業を行いました。切り取る記事は主に女性に関することやジェンダーに関することなど多岐にわたり、さまざまな新聞社の新聞からそれらを探して切り取る作業をしました。時事問題や女性の活動家の記事があり、想像以上に女性にまつわる話題が取り上げられていることが分かりました。
講座参加
午後は看護学生と一緒にDVに関するワークショップを受講しました。DVの種類はさまざまで身体的な暴力に限らず、精神的な暴力や社会的な暴力も含まれ多くの形態が存在し、女性の5人に1人がデートDVの被害にあっており、身近な場所で起きている可能性が高いと認識することが出来ました。周囲の人が被害を受けていた際に自分自身ができる事や日頃から意識しなくてはならないことを知ることが出来た良い機会となりました。また、講座の内容や構成など参考になる点が多かったため、講座企画を練る際に活かしていきたいと思いました。
4日目
アンケート集計
本日はまず初めに3日目におこなわれた看護学生を対象とした講座のアンケート集計を行いました。この講座は実際に私も参加していたため看護学生が書いたアンケートを集計することで同じ部分に興味関心を持っていたり、違う角度や看護学生ならではの視点から感想を述べていたりしたため、自分自身の講座の振り返りとして役立てることが出来たと感じました。午後は、女子高校生を対象とした講座のアンケートの集計を行いました。学科の生徒ごとに着目したり関心を持ったりする内容に特色が表れている点が集計をして面白いと感じました。講座企画では、高校生を対象とした講座を考えているため、アンケートを読みながら高校生の関心や理解度を計る良い機会となりました。
講座企画
1日目に考えていた講座企画が頓挫してしまったため、何個か案を練った内の一つに方向性を変えて企画を進めていくことにしました。企画の際に必要な情報を集めるためにインターネットで情報を集めたり、本を読んだりして対象者や目的を考えました。担当者の方が企画と関連する本を勧めてくださったり、相談にのってくださったりしたため少しずつ講座の企画を練ることが出来ました。
5日目
図書コーナー業務
本日の午前中は図書コーナーでの業務を行いました。3日目に行ったクリッピングという作業を行いました。前回クリッピングをした時よりも本日は切り取る記事が少ない日ではありましたが、切り取るべき記事をスムーズに見つけることが出来たと感じました。同様の話題を扱っていても新聞社ごとに見出しの付け方が異なるため、見比べながら作業をするのは面白かったです。おすすめの本を紹介するPOPのような紙を記入したり、3日目の時には行わなかった返却図書の作業も行いました。返却作業を行いながら図書コーナーをまわってみると女性にまつわる蔵書の多さに改めて驚きました。
講座企画
いよいよ明日は講座企画の発表日です。そのため、図書コーナー業務前や午後の時間は担当者の方にたくさん相談にのっていただきました。講座の講師候補や対象者を絞った経緯を内容に盛り込むと良いというアドバイスをいただきました。午後の時間は足りない情報を取集したりパワーポイントを作成したりしました。方向性を変えた時は企画がまとまるか不安でしたが、少しずつ形になってきたことが嬉しく感じました。明日の発表は精一杯頑張りたいと思います。
6日目
施設管理
本日はまず初めに食工房の施設管理を行いました。食器の数を確認したり、食器の欠けている部分がないかの点検を行ったりしました。施設管理の担当者の方からは、食工房の年末の大掃除は利用者である団体さんが協力してくださっているおかげで施設の維持ができていると話されていてとても印象に残りました。この作業は昨日からインターンシップに参加している大学生と一緒に行いました。作業の合間や休み時間などに、お話をさせてもらい刺激になりました。
発表準備
施設管理の業務が終わったあとに、発表に向けての準備を進めました。実習の担当者の方に最後に相談にのっていただいたおかげで、足すべき情報が明確になり内容をより具体的なものに落とし込むことが出来たと感じました。実習当初は、講座の企画を行ったことがなく企画内容に見当もつかない状態でしたが、何度もアドバイスをいただいたり相談にのっていただいたりしたことで形にすることが出来ました。
発表
発表はとても緊張しましたが、準備したものを精一杯伝えることが出来たのではないかと思います。普段から講座を企画し運営しているプロの方たちに聞いていただける機会はないため、とても貴重な経験となりました。発表後のアドバイスはとても参考になり、注目してくださった観点は自分では気づかなかったことばかりで「どのようにしたら講座の参加者が講座の内容を自分事として捉えてくれるのか」ということを考慮しながら講座の内容を盛り込むことを意識することの重要さに気付かされました。また、自分自身が講座を通して伝えたかったことを汲み取ってくださったことや講座内容や講座企画の際の過程を褒めて頂いことはとても嬉しく、自信へと繋がりました。
実習を通して
6日間の実習では、大学でのジェンダーに関する授業や社会教育に関する授業では気づくことはなかったことに、現場に立ち会わせていただき実感することがたくさんありました。初めてジェンダーに関することに向き合い、実習を通して行動することの大切さに気付くことが出来ました。講座企画でハラスメント被害について取り上げたり、DVのワークショップを受講したりしたことで身の回りの被害を見過ごすしてはならないこと、行動することの大切さを知りました。何が被害にあたるのか、どのように対処すべきか、相談窓口の存在などを知ったことで、自分自身が被害そのものを減らすことは出来なくても困っている人や被害にあっている人の傷が少しでも軽減するように相談にのったり窓口を紹介したりする寄り添う行動を取ることが自分にできることのではないかと考えました。万が一自分が被害にあった時に自分を守る手段も身に付けることができたと感じます。講座の企画を通して社会の課題を見つけ、その課題にアプローチした講座を作る必要性や講座の参加者が当事者意識をいだいてもらうための工夫が必要な事を実感しました。この視点を養えたことは自分の大きな糧になりました。社会教育実習を通して学んだことや感じたことを大切に、今後の社会教育の学習に活かしていきたいです。
朗らかな雰囲気の職員の皆さまにたくさんお世話になりました。
6日間本当にありがとうございました。