刺さる台詞:ときには考えないこと(ヒロシマ・モナムール)
「世界がつきつけるこうした困難のことを、ときには考えないようにしたほうがいいんだわ。そうでもしないと、世界はまったく呼吸できない場所になる」
Il faut éviter de penser à ces difficultés que présente le monde, quelquefois. Sans ça, il deviendrait tout à fait irrespirable.
(マルグリット・デュラス、工藤庸子訳『ヒロシマ・モナムール』)
第2次世界大戦をくぐり抜けた男女の言葉の重みよ。
マルグリット・デュラスの本は読んだことがなく、『愛人/ラマン』と『かくも長き不在』の映画2本でその世界に触れた程度だったが、このたび初めて『二十四時間の情事(Hiroshima mon amour)』を見て、そのすごさを知った。邦題にだまされて20年間も食わず嫌いだった自分に反省。
コロナ禍で苦しい毎日。原爆で家族を失った日本人男と、ドイツ兵の恋人を自国民に殺されたフランス人女に比べれば大抵の苦しみは大したことない。ただ、最初に挙げた言葉は万人に有効だろう。
ちなみに英語字幕では、
Sometimes we have to avoid thinking about the problems life presents.
Otherwise we'd suffocate.
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?