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「求人が豊富な有望資格」の罠 ~前編・問題編~

資格学校の宣伝文句で求人数の多さが喧伝されていることがありますね。

例えば、リハビリテーション関係の国家資格である「言語聴覚士」の養成校でこのタイプの宣伝がよく見られます。(ちなみに私も言語聴覚士です。)

少なくとも言語聴覚士についていえば、人手不足傾向が続いており、就職は比較的容易だと思いますが、宣伝手法として問題がないわけでもないなと思い、この記事を書くことにしました。

以下、言語聴覚士に限定せずに「求人倍率が高く、就職に強い資格」について、仮定の設例に基づいて考えてみます。

~設例~

あなたは「○○××士」国家資格取得のための学校への入学を考えています。
この資格を取得するためには国家試験に合格する必要があります。
また、国家試験の受験資格を得るためには指定された大学や専門学校を卒業しなければなりません。

学校の宣伝パンフレットを見ると、資格さえ取れれば就職の心配はないようです。

A校のパンフレット
「○○××士」資格は市場ニーズの大きい資格であり、当校の1学年の定員40名に対して、300件の求人が寄せられております。求人倍率は実に7.5倍です!
B校のパンフレット
「○○××士」資格は市場ニーズの大きい資格であり、当校への求人は一人当たり約7.5件に上ります!

A校もB校も同じようなことを言っています。
他にも数校が同様の宣伝を行っています。

どうやら、資格者数が少なく就職先に困らない資格というのは嘘ではなさそうです。

あなたはA校に入学することにしました。

数年後、あなたは含めた学生40名は全員が国家試験に合格し、資格を取得することができました。

しかし、就職が決まったのは30名だけでした。

就職が決まらなかった人は、「就職活動に出遅れた」とか「面接で大失敗した」とかいうわけではありません。
年齢等に関して、何らかの不利な条件を抱えていたわけでもありません。
「雇用条件が悪い求人を除外したら就職できなかった」ということでもありません。

また、在学中に求人市場の状況が急変したわけでもありません。
求人倍率は相変わらず7.5倍となっています。

~問題~

Q1. 7倍以上の求人倍率のはずなのに、40名中30名しか就職できないという事態はなぜ生じたのでしょうか?

Q2. A校の宣伝パンフレットには嘘が書かれていたのでしょうか?


※2021/10/24 後編・解答編を投稿しました。
 ぜひご覧ください。

#資格 #言語聴覚士 #国家資格 #専門学校 #就職率 #数字のトリック #養成校 #求人数 #消費者リテラシー

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