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【ココナラ 勘舎氏】チャレンジするなら今しかない。体感したSIerとスタートアップで求められる共通項

フォースタートアップス株式会社(以下、フォースタ)では、エンジニアに特化した専門チーム「エンジニアプロデュースチーム」を開設。スタートアップに対してキーマンとなりうるCTO・VPoE・エンジニアの採用支援をしております。

株式会社ココナラ(以下、ココナラ)は「一人ひとりが『自分のストーリー』を生きていく世の中をつくる」をビジョンに掲げ、日本最大級のスキルを売り買いできるプラットフォーム『ココナラ』を開発、運営しています。

今回は同社の技術戦略室・室長として活躍する勘舎 弘氏に、入社の経緯や仕事に向き合うスタンス、今後のビジョンなどについて幅広くお話を伺いました。

勘舎 弘 氏
大学卒業後、大手SlerのTIS株式会社(以下、TIS)に入社。数々のシステム構築やプロジェクトマネジメントを経験。2019年10月にココナラ入社後は、SREチームにて、サイトの安定稼働やデータ分析基盤の開発などに携わる。現在は技術戦略室の室長として、『ココナラの未来を作る』といったチームミッションの下、5年後、10年後を見据えた開発体制の整備に取り組む。



新卒から16年間働いた企業を退職し、スタートアップへの新たな挑戦

──勘舎さんのこれまでのキャリアについてお聞かせください。

勘舎:大学時代は経済学を専攻していましたが、ITの領域に関心を持ち自主的にプログラミングの勉強をしていました。卒業後は大手SIerであるTISに入社し、エネルギー関連の事業を展開するお客様のシステム開発に携わっていました。手を動かして色々開発しましたし、数多くのプロジェクトマネジメントも経験しましたね。

16年ほどTISに在籍した後、2019年の10月にココナラにSREとして入社し、サイトのモニタリングができる体制の整備やユーザーの利用動向のデータを集める仕組みの構築に従事しました。1年半程前から技術戦略室に所属しています。

──前職では期間が長く、関わる人数の多いプロジェクトを数多く経験されたと伺っていますが、どんな姿勢が身についたと思いますか?

勘舎:まず、どんなに難しい状況でも諦めずにやり抜く姿勢と、どうすれば自分たちとお客様双方が望む方向にプロジェクトを進められるかを考え抜く力が身につきました。

トラブルが発生したプロジェクトの立て直しを任されることが多かったんです。本来なら詳細設計を詰めなければならないフェーズなのに、土台の設計が計画通り終わっておらず、納期まで明らかに時間が足りないといったような、なかなかハードな経験をしましたね。

しかしお客様に「できません」とは言えないので、まず起きている課題を分解し、次にやるべきことを整理していきました。プロジェクトをより円滑に進めるために、お客様と対話を重ねることを重要視していました。
目の前の事を精一杯やり抜けば、一見不可能に見えるプロジェクトも完遂することができました。そうした成功体験を重ねていくことで、エンジニアとして仕事に向き合うスタンスを確立していきました。

──16年間ご活躍された中のご転職は大きなご決断だったと思います。どういったきっかけで転職を決められたのですか?

勘舎:自分の手がけるシステムが、世の中に貢献できている実感を得たいと感じたことです。
Slerは、クライアントのためにシステムを作るのが基本であり、その先にいるエンドユーザーの反応は見えにくいものです。ユーザーの反応をダイレクトに感じられる事業会社にいこうと決めていました。

──事業会社の中でもスタートアップを中心に転職先を探されたそうですね。

勘舎:事業会社の中でも、大手企業では裁量が限られているイメージがあったのです。自分の力次第で世の中に大きく貢献できそうだと感じたので、スタートアップを視野に入れていました。

しかし、16年間同じ会社に勤めてきて、スタートアップで自分の実力が通用するのか分かりません。40代を目の前にして不安は大きかったですし、環境を変えてうまくいかなかったら後戻りできないという怖さもありました。

──その不安をどのように解消されたのですか。

勘舎:まず、時間をかけて自分がどんな挑戦をしたいのか考え続けました。

趣味の登山をしている時にもつい自問自答をしていた程です。
最後に、背中を押してくれたのは、『ファーストマン』という映画です。初めて月に降り立った男、「ニール・アームストロング」の人生を描いた物語で、テクノロジーを駆使しながら壮大な挑戦を成し遂げる姿が、私の目指す姿と重なり心を動かされたんです。

月に降り立つということを実現するために、テクノロジーを駆使したり、困難を乗り越えながら、やり遂げる姿に勇気づけられて、自分も「テクノロジーを武器にチャレンジしたい」と想いを掻き立てられました。
そして、「年齢的にもチャレンジするなら今しかない」という決断に至り、転職を決めました。

──ご自身の思いに向き合い続けた結果のご決断ですね。そのタイミングでお会いした弊社の宮本健太の印象はありますか。

勘舎:転職サイトに登録して、数々のメッセージをもらった内の1つが、フォースタさんでした。会社名に「スタートアップ」と入っていることに興味が湧いたんです。

宮本さんは、私の思いを丁寧に受け止めてくださる方でした。そして紹介されたのがココナラです。最初はココナラのことを何も知らなかったのですが、話を聞いたり自分で調べたりするうちに、とても面白そうな会社だなと。結局、転職活動中はココナラしか受けなかったほど、心惹かれておりました。

──最終的にココナラへの入社を決めた理由は何でしょうか。

勘舎:「一人ひとりが『自分のストーリー』を生きていく世の中をつくる」といったビジョンに共感したからです。ココナラであれば、その人が実現したいことを後押しできて、多くの人に貢献できる仕事ができると思いました。

ココナラのサービスをみて、様々な出品者様が自分の得意なことを出品されているのを目にしました。例えば、「イラストを描くことを仕事にしたい」と思っていても、中々それを仕事にすることを決断できない方が多いかと思います。そこでココナラがあると、今のお仕事をしながら、自身で描いたイラストを出品することで技術を磨くことができます。
実際に、イラストを描く仕事を本業にしたい人が、ココナラをきっかけに独立して生計を立てている話を聞いたこともあります。まさにビジョンを実現できている感覚があってうれしく思いましたね。


技術負債を解消し、仲間の働きやすい環境を作る。未来を作るために重ねる対話

──現在ココナラでは、技術戦略室の室長としてご活躍されています。具体的な役割を教えていただけますか。

勘舎:現在は、『ココナラの未来を作る』といったミッションの下、5年後、10年後を見据えた開発体制の整備に取り組んでおります。

プロダクト開発部署は、日々新しい機能の実装に力を注いでいるため、裏側でどうしても技術的負債が蓄積してしまいます。それらの負債を解消し、未来への道筋を作っていくことが最大の使命です。

足元では、ココナラのシステム全体のマイクロサービス化と、テストの自動化に取り組んでいます。

マイクロサービス化とは、複雑なソフトウェアの機能を扱いやすく分割して、変更や修正を迅速に行える状態を作るといった取り組みです。ココナラのサービス開始は2012年なのですが、この10年間でプロダクトが複雑化しています。わずかな変更を反映するにも、多大な時間がかかるケースが起きているので、それらを改善できる環境作りに力を注いでいます。

テストの自動化も同様です。プロダクトが大きくなるにつれ、エンジニアが手動でテストをする負担も大きくなり、他の業務に手を回しづらくなっています。テスト自動化により、エンジニアの負担軽減と業務の効率化に貢献できるよう取り組んでいます。

──働く上で、大切にしている姿勢を教えてください。

勘舎:前職同様、難しいことでも諦めず、いかにやり遂げるかを模索するようにしています。また、それを実行していく中で、どうしても自分の力だけでは物事を進められない場面が出てきます。そんな時はメンバーと積極的に対話して、連携しながら物事を進めていく姿勢を大切にしています。

──素敵なスタンスですね。ココナラで、その姿勢が表れたエピソードはありますか?

勘舎:サービスの出品者と購入者がメッセージのやり取りをできる『トークルーム』という機能があるのですが、そのリニューアルを手がけた際に感じました。

通常のチャットは、相手からメッセージが届いたら、ブラウザに自動反映される仕組みになっていますが、当時のトークルームは、その都度ブラウザを更新しないとメッセージが反映されない仕様になっていました。出品者様から「使いにくい」とフィードバックを受けていたのでいち早く改善したかったのですが、従来のやり方だと相当時間をかけなけければ難しい状況でした。

ある日、既存の仕組みをうまく応用する方法をひらめきました。すぐに行動に移そうと、フロントエンドとバックエンドを試しに調整したら、メンバーから「このやり方ならすぐできる」とポジティブな反応をもらえたんです。これはいける、と数人に協力してもらいながらデザイン調整と本実装をしたところ、あっという間に改善できたんです。

──諦めずに課題に向き合​​われる勘舎さんらしい姿勢だと感じます。その経験からどんな学びを得ましたか?

勘舎:周囲と信頼関係を築く重要性です。

作業を通して、メンバーからの信頼を得ることができたとともに、代表の鈴木にも、主体的にプロダクトに向き合った姿勢を評価してもらえました。このように、常にプロダクトに向き合って、仲間を巻き込みながら取り組む積み重ねが、信頼関係を築く大事なポイントになると感じています。

現状を踏まえて、自分の意見を率直に話していけば、皆、前向きに真剣に耳を傾けてくれます。その積み重ねが信頼関係構築につながり、物事がうまく進む鍵となると考えます。

ココナラは、経営陣をはじめエンジニアの立場での意見を真剣に聞いてくれて、理解を示してくれる人が多い企業です。難しい問題を楽しみながら解くのが好きな人が集まっている印象もありますね。そんな雰囲気が、サービスやプロダクトの成長に直結していると思っています。


論理的思考力・問題解決力・対話力。大手企業でもスタートアップでも、求められるスキルは変わらない

──スタートアップへ飛び込まれるエンジニアさんに向けて、勘舎さんのお考えを聞かせてください。スタートアップへの転職し、苦心された部分はありますか?

勘舎:実は、あまり苦労したことはありません。というのも大手のSlerでもスタートアップでも、エンジニアに求められているものは共通していると思うんです。例えば「論理的思考力」や「問題解決力」、そして「対話力」はどの企業に属していても活きてくるのではないでしょうか。入社前は、「初めてのスタートアップで、果たして通用するのか」ととても不安を感じていたものの、入社してみると、意外にもこれまで培ってきたスキルがそのまま活かせました。
「対話力」に関して、前職時代にお客様との連携が全く取れておらず、明らかにこちらが信頼いただけていないプロジェクトの調整役として、アサインされたことがありました。

私はそこで諦めずに、お客様の求めているものが何か対話を重ねながら、双方にとってメリットのある提案を行う姿勢を貫き続けました。その結果、まずは相手側の担当者が私の味方になってくれて、さらにはその上司などプロジェクトの決裁権を持つ人も、こちらに協力してくれるようになったんです。対話力を磨くことで、今まで信頼のなかった相手でも味方に引き込めることを実感した経験でしたね。この経験は、ココナラでも多分に活きています。

また、事業会社とSIerという違いはいい意味で大きいかもしれないですね。SIerは、作ったシステムがどのようにユーザーの喜びを埋めているかはわかりませんでした。一方でココナラのようなサービスですと、本当にユーザーの声がダイレクトに聞こえてきて、世の中に貢献できているという実感を感じますね。

──「求められているものは共通している」というのは、スタートアップへの転職を考えているエンジニアにとって、勇気が出る言葉ですね。

勘舎:逆に、指示されたことだけをやるようなスタンスですと、入社後に苦労やギャップを感じるかもしれません。とにかく新しいことに挑戦したい、難しい場面でも楽しみながら乗り越えたいといった気概のある人は、スタートアップで活躍できると思います。

ちなみに、大手企業からのスタートアップ転職は、私が特殊な例ではありません。以前私と同じ会社で働いていて、ココナラに転職を決めた方がいるのですが、その人も今大活躍してますよ。

──最後に、勘舎さんが今後実現していきたいことを教えてください。

勘舎:『ココナラの未来を作る』といったミッション通り、将来5年後、10年後の成長を見据えてユーザーがより快適に使ってもらえるサービスに整えていきたいです。

ココナラは、私が入社した時よりエンジニアの人数が圧倒的に増えていて、新しいプロダクトも次々と作られています。

マイクロサービス化をはじめ、エンジニア一人ひとりが効率的にプロダクトに向き合える環境を作っていくかは、まだ模索中です。
そのためにも現状に満足することなく、諦めずにやり抜く信念と、仲間との信頼関係を大事にしながら、ココナラの未来に貢献できるチャレンジを重ねていきます。

──勘舎さんのますますのご活躍と、ココナラの未来を切り拓くための取り組みを楽しみにしております。本日はありがとうございました。


 インタビューご協力: 株式会社ココナラ 

執筆:矢野 桃

取材・編集:for Startups エンジニアプロデュースチーム


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