コロナウイルスをばらまいてしまっても何も悪くないの?(解説込み版)
(続き)第11回 コロナウイルスを意図的にばらまいた愛知の件、法的責任や損害賠償は?
突如現れ話題をかっさらっていったコロナウイルス。
インフルエンザに罹った時にこう思ったことはありませんか?
電車でめちゃくちゃ咳き込んでたあの人からうつされたわ
今も連日ニュースにてバスの運転手から広まっていく、武漢から帰ってきた人が検査を受けずに帰ったことでそこから感染のリスクがあるというようなニュアンスで報道されていると思います。
今回はこれらにちなんでウイルスってばらまいても問題ないのかということをお話ししようと思います。
要約した結論だけを見たい場合は以下の要約編をどうぞ!
第4回 コロナウイルスをばらまいてしまっても何も悪くないの?【要約編】
https://note.com/formula_kokugo/n/nd9d527ea556b
まずはコロナウイルスとは、ということを確認しましょう。
国立感染症研究所(NIID):コロナウイルスとは
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/9303-coronavirus.html
次に人に病気をうつすということは、人の健康を害するということになります。
人を傷つけるということに関する罪は暴行罪、傷害罪、殺人罪。
まずは暴行罪。
刑法第208条(暴行)
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
この暴行には、有形力の行使が該当します。
具体的には、殴る蹴るといったものがあたりますので、
今回のウイルスを感染させることは該当しないと思います。
次に傷害罪。
刑法第204条(傷害)
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
傷害罪で保護されるものは、人の安全であり、これが健康も含むことは以下の判例で性病をうつした場合でも該当することからわかります。
昭和25(あ)1441 刑集 第6巻6号795頁
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=54383
傷害罪の構成要件は以下の通りです。
① 実際に行われたこと
② 障害という結果があったこと
③ 行ったことと結果の因果関係
④ 故意かどうか
例えば、ニュースになっている様な方が、コロナウイルスを広めた時にこれが該当する場合は、
実際に感染したという結果があるうえで、
それに故意と因果関係があることが証明される必要があります。
因果関係の証明については以下の判例からも注射器等まで具体的な因果関係が必要かと考えられます。
平成16(受)672 民集 第60巻5号1997頁
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=33231
最後に殺人罪。
刑法第199条(殺人)
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。
こちらも傷害罪と異なる点として殺人を行う意図が必要となります。
傷害罪の延長として殺人となった場合は傷害致死罪です。
ウイルスを感染させることに関しては、
自分がコロナウイルスを持っていることを自覚したうえで、そのウイルスを感染させた場合殺人を行えるという意図までが必要と考えられます。
ただ、本日のニュースを見ている限り、新型コロナウイルスの感染による致死率は2-5%ということである以上、どれだけ意思があっても殺人を行うつもりでうつそうとしたということの立証は難しいのではないかと思います。
以上より結論としては、
この人に俺のコロナウイルスを感染させるぜという意図をもって目の前で咳き込むなどして感染させた上で、相手が感染、そして発症した場合、傷害罪に該当する可能性があります!!!
まあ実際は誰からうつったかなんて特定できず、文句を言う先も見つけられない可能性が非常にたかいので
手洗い・うがいなど予防と自衛の方を頑張りましょう!!!!
うつす側に関しては幇助になりたくないのでノーコメントとさせていただくことをご容赦下さい。
おわり。
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