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壮絶なバトルも、SC、VSC、黄旗が明暗を分ける——サウジアラビアGP決勝

(2022年3月28日記述)

フェルスタッペンがルクレールをレース最終盤でかわして優勝。開幕戦リタイヤの鬱憤を晴らした。

開幕戦に続き、フェルスタッペンとルクレールの火の出るようなバトルがレースのハイライトだった。ゴール寸前にこれだけ抜きつ抜かれつのバトルをするのはF1では記憶になく、まったく眠さを感じなかった。

ただ、やや疑問に感じたのが追い抜きを有利にするDRSの存在で、DRSの権利を得るためにお互いが最終コーナーで順位を譲り合う様子はどう見ても滑稽だった。今年のマシン規定で前車との差を詰めやすくなったため、DRSの影響力が増えすぎたのかもしれない。

レース残り4周の47周目にフェスルタッペンが前に出るが、49周目にルクレールがDRSでフェルスタッペンの真後ろに迫る。しかし、目の前のアルボンとストロールの接触の影響で黄旗が出て1コーナーは追い抜き禁止に。これがフェルスタッペン優勝の決め手になった。

レース序盤を引っ張ったペレスがタイヤ交換直後にセーフティーカー(SC)が入った不運で後退し、中断で奮闘したハミルトンはレース後半のバーチャルセーフティーカー(VSC)でタイヤ交換できなかったことで大きく後退し、残り2周でルクレールがフェルスタッペンを抜きにかかったときに黄旗で阻まれた。他車のクラッシュやトラブルが微妙なアヤとなって明暗を分けた気がした。

スタートからトップを快走したペレスは不運。ルクレールのアンダーカットを防ぐために先にピットに入ってタイヤ交換したものの、その直後にラティフィのクラッシュによってセーフティーカーが入ってしまった。その影響で4番手に落ち、以降は目立つことなくレースを終えた。

ハミルトンの10位は衝撃的だ。レース後半にアロンソ、リカルド、ボッタスが立て続けにトラブルに見舞われ、うち2台がピット入り口でストップしたとき、ピット入り口が閉鎖されるのを見越してマグヌッセン、ストロールが即座にタイヤ交換したものの、ハミルトンはコース上にとどまった。その結果、VSCの間にタイヤ交換できず、レース再開後のピットインを余儀なくされ大きく順位を落とした。

昨年までのメルセデスはこういうときに的確にピットインの指示を出せたが、判断がわずかに遅れた(2019年のイタリアでピットクローズが絡むペナルティがあったが、あれはタイミング的に不可抗力だろう)。単にマシンの不出来だけではなく、こういうところにもチームの混乱が見える。

ルクレールは2位に終わったが、サインツも3位に入ってフェラーリは手堅くポイントを重ねた。フェルスタッペンに最後は抜かれたとはいえ、レース運びに余裕も感じる。今年のフェラーリの強さは本物だ。

レース序盤のアロンソとオコンのアルピーヌの接触寸前の同門対決に加え、随所にバトルが見られた。やはり今年のF1は面白くなりそうだ!

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