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フェラーリ、見事なチームプレー!——F1フランスGP予選

今年、グダグダな作戦で醜態を晒し続けたフェラーリがついにやった!予選Q3でサインツがルクレールにトゥを与える見事なチームプレーを見せ、ルクレールが今季7回目のポールポジションを獲得した。フェルスタッペンに対するコンマ3秒のタイム差よりも、フェラーリが周囲の懐疑的な目をよそに完璧な作戦を遂行したことに、彼らの本気を見る思いがした。今年のF1は熱くなるぞ!

サインツのQ3進出でフェラーリの作戦が明らかに

フェラーリは予選前の段階で、サインツがパワーユニット交換ペナルティで決勝の最後尾スタートが確定している状態。にもかかわらずサインツは予選に出走し、Q2を1位で通過した。なぜ無意味にPUを酷使してまでQ3に進むのか?

その答えはQ3の最初のアタックでサインツ→ルクレールの順でインラップを走ったことで明らかとなった。サインツが風除けのような役割でルクレールにトゥを与え、ストレート速度を稼がせる。

狙いはシケイン状の9コーナーを立ち上がったミストラルストレートの第2区間。DRSを使えるストレート第1区間よりも、第2区間での加速を助けることを重視したようだ。

ポールリカールサーキットのコース図。サインツは9コーナーから11コーナーの区間でルクレールを引きつけ、加速をアシストした

2回のアタックとも、第1セクター終わりの6コーナーの時点で2台には7秒ほどの空間があり、狙い通りにトゥを与えられるかやきもきさせたが、9コーナー立ち上がりでサインツはルクレールを真後ろに引きつけ、11コーナーまで引っ張った。ルクレールもそれに応え、11コーナーで見事なターンインを見せる。

昨年最終戦アブダビGP予選で同様にフェルスタッペンにトゥを与えたペレスの動きを思い出した。超一流ドライバーが操れば、ここまで綺麗に作戦を遂行できるというお手本のようなシーンだった。

去年のアブダビでレッドブルがやったチームプレーを、今回フェラーリがやり遂げた意義は大きい。フェルスタッペンに対するコンマ3秒のタイム差を考えると、サインツのトゥがなくてもルクレールは1位だったかもしれないが、そんなことは問題ではない。サインツをサポート役に据える想定で事前に作戦を立て、完璧に実行したことが大切なのだ。

トゥを与える場所が我々にとって予想外であるうえに、極端なスロー走行でインラップを走る周囲のクルマとの車間を考えると相当困難なミッションだったと思われるが、きっちり遂行したエンジニアと2人のドライバーに敬意を贈りたい。

ついにチーム対チームの総力戦に

私は今年、チームオーダーをためらうフェラーリを散々バカにしてきたが、ついに彼らは闘いの意志を見せた。レッドブル勢も2位、3位にフェルスタッペンとペレスのレッドブル2台がつけ、ルクレールを包囲する。フランスGPに限らず、今年後半はフェラーリvsレッドブルのチームの総合力の戦いになる。そう確信した予選だった。

気がかりなのは、ストレートが長いコースでフェラーリのPUが持つかどうか、という点だ。


なお、今回の予選中継で驚いたのは、フジテレビNEXTの通訳さんがルクレールの英語だけでなく、地元向けのフランス語のコメントも翻訳したことだった。英仏両方の語学に堪能とは!おかげでペレスのインタビューの記憶は吹き飛んでしまった。


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