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価値観の話

初めての彼氏は、人生で1番好きな人だったと思う。(現時点で記録更新なし)
優しくてお人好しでいじられキャラで少し背が高くてかっこよかった。

大学時代の私は彼に1年片思いした後、見事付き合う事ができた。
人生で初めての彼氏、1年もずっと好きだった人。
天にも昇る思い。人生のピークはあの時だったと思う。

しかし初恋は実らないというもので、めちゃくちゃ幸せではあったものの彼とは3ヶ月で別れてしまった。
見た目も性格も全てが大好きな彼だったが、1つだけ受け入れられない価値観があった。

付き合って1ヶ月が経った時、彼は短期留学の為中国へ行く事になった。
1ヶ月会えないのは寂しかったけれど、毎日メッセージでのやり取りや電話をしていたので心の距離が離れたとは感じなかった。
1ヶ月の勉強期間を終え、遂に彼が帰国。
東北に住んでいたが彼の為なら羽田空港まで迎えに行った。
久しぶりに彼の顔を見る事ができ、大好きな彼の香りを感じ、彼の大きな手を握り、「あぁ、やっぱりこの人の事本当に好きだな」と改めて実感した。

数日後、彼がお土産を渡したいと言ってくれたので会う事に。
袋から取り出されたのは赤い中華服を着た可愛いパンダのぬいぐるみ。
ぬいぐるみはもともと好きなので凄く嬉しかった。
「これ、お揃いなんだよ。俺のは青。」と小声で言っていた。
今でも忘れられないほど嬉しい。
更にぬいぐるみに続いて小さな巾着のようなものを渡された。

これはなに?と聞く。
彼は「ミニ財布だよ、喜ぶと思って」
こんなに沢山の物を戴いてしまって良いのだろうか。
それに、「貰える」事よりも彼が私に「贈る」という行為をしてくれている事実が何よりも尊かった。

ドキドキしながら巾着袋を開けると中からヴィトンのミニ財布が出てきた。
突然のハイブランドにとても驚き、彼の顔を見た。
彼は満面の笑顔で、
「喜んでくれたみたいで良かった!これ、ヴィトンに見えるけど偽物なんだ。精巧に作られてるよね。」と言っていた。

なんだろう。
その瞬間めっちゃ冷めた。というか覚めた。
好きな人に偽物贈るか?
ていうかヴィトンのミニ財布くらいちょっと頑張れば買えるだろ。
ていうかこいつは「偽物」である事を分かっていて使えるタイプなのか。
ていうかそもそも私ヴィトン大嫌いなんだよな。
刹那ではあったが様々なツッコミが頭の中で舞っていた。

なんか分からないけどせめて「偽物」である事を隠して「本物」としてそれを渡してくれたらまだ許せた。(それもどうかと思うが)
しかしこいつは嬉々として「偽物なんだよ!凄いよね。合成皮革に見えない。」などとのたまわっていた。(めちゃくちゃ合成皮革にしか見えなかった)

これがきっかけで別れた訳では無いが、好き100%でここまでやってきたがこの出来事で結構好き度は下がった。
その後知ったがあいつ、まんが村ヘビーユーザーだったっていうのも本当に嫌だった。

物に対して「正当な価値を払えない」というのは私にとって受け入れ難い価値観だった。
百年の恋も冷めるくらい。
価値観って大事だね。

彼から貰った偽ヴィトンのミニ財布(笑)は、その後巾着袋から出されること無く捨てた。
パンダのぬいぐるみも引っ越す時捨てた。

YouTubeでファスト映画を見まくっていた自分の事は棚に上げて、この文章を書きました。

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