出産の国有化──子どもの「中央銀行」──

かの偉大な経済学者ジョン・メイナード・ケインズは言った。「いって見れば、人々が月を欲するために失業が生ずるのである。欲求の対象(すなわち、貨幣)が生産することのできないものであって、それに対する需要も簡単に抑制することができない場合には、人々を雇用することはできないのである。救済の途は、公衆に生チーズが実際には月と同じものであることを説得し、生チーズ工場(すなわち、中央銀行)を国家の管理のもとに おくよりほかにはないのである。
つまり人は将来にビビる(月を求める)から、通貨を欲しがる。だから貯める。そうするとみんな金を使わないから景気が悪くなる。景気が悪いと失業が起こる。この文は、「完全雇用の実現を妨げているのは、人々の通貨そのものへの需要なのだ」と言っている一文であり、またその解決には、政府がその代替財(生チーズ)を「月と同じである」と民衆に信じさせ、その生産手段(生チーズ工場)を政府の管理下に置き、そのみんながビビって貯めてしまっている分(過剰貯蓄されている貨幣)を政府が(生チーズで)補填してあげる必要があるのだと述べている文である。

皆さんはここまで読んでこう思っただろう。「で?」と。経済学者の言葉を引用して何がしたいの?知識マウントでもする気か?と思われたことだろうが、そういう訳では無い。
私がこれから述べたいのは、この文で述べられたような考え方を少子化対策にも使えないだろうかということである。

いって見れば、人々が将来にビビるために少子化が生ずるのである。欲求の対象(すなわち、子供のこと)が簡単に生産することのできないものであって、それに対する需要も簡単に抑制することができない場合には、人々を社会に必要充分なレベルで生産することはできないのである。救済の途は、公衆に生チーズ(女性が出産した訳ではない子供)が実際には月(女性が出産して生まれた子供)と同じものであることを説得し、生チーズ工場を国家の管理のもとにおくよりほかにはないのである。
という感じで考えられないかということである。
そして生チーズ工場とは何か、それが「人工子宮」である。

冷蔵庫や自動車のように、子供を人工的に生産するということだ。もちろんまだ人間では実現はしていないが、仮にこれが人間で実現すれば、先程述べた「言ってみれば〜」の一文を完全に実現出来るだろう。子供を人工的に生産することによって、少子化を解決するのだ。ちょうどデフレを解決するために中央銀行が通貨量を増やすように。「人工子宮」という子どもの「中央銀行」が実現すれば、少子化問題などあっという間に解決するだろう。

問題は、「人工子宮」で少子化問題が解決した後、違う問題が発生することだ。それは親の問題である。「人工子宮」で作られた子供は、少子化解決のために作られた子供だ。つまり本来なら生まれなかった子供なのだ。それはその子供には親が存在しないことを意味する。では誰がどう育てるのか?という問題が発生するということである。その解決策としては、そういう子供を抱え込むための児童擁護施設のようなものを作り、そこで子供を世話する保育士の数を増やして対応する等が挙げられるだろう。きめ細かい対応は難しいだろうが、大家族のそれだと思えばまあ行けるだろう。この問題は、やれば解決できそうな課題だ。もう一つ、「親」の問題がある。これは、「じゃあ子供の素となる精子と卵子をどこから供給するのか」という問題だ。これには全国民にそれを提出させてランダムに対にするみたいな、ちょっと非現実的な対策が必要だろう。これについては、まだ有効な手立ては無いと思う。ここが解決した時が、本当に「人工子宮」が人類の救世主となる時だと思う。

人工子宮」は非常に夢のある技術だ。一刻も早く実現させるためにも、日本政府にはそれこそ「異次元の少子化対策」として、「人工子宮」への異次元の投資を行うことを期待する。日本が「人工子宮」で少子化問題を解決することを祈って、このnoteを終わりにしたいと思う。

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