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<なつみの本紹介> #29 そして、バトンは渡された/瀬尾まいこ

あらすじ

 幼い頃に母親を亡くし、父とも海外赴任を機に別れ、継母を選んだ優子。その後も大人の都合に振り回され、高校生の今は二十歳しか離れていない”父”と暮らす。血の繋がらない親の間をリレーされながらも出逢う家族皆に愛情をいっぱい注がれてきた彼女自身が伴侶を持つとき。

感想

 圧巻だ。素晴らしい作品だ。というのが読了後の素直な感想である。物語の構成がうますぎる。この物語は、高校生の優子を中心に進められていて、過去の回想シーンを挟みながらいろいろな事実が明らかになっていく。始めのページの伏線回収は見事である。

 何より、タイトルにある「バトン」とは何なのか。バトンって、人と人が繋ぐものであり、この物語の中でいうバトンとは一体何なのか。僕は「優子の幸せ」なんじゃないかなと思う。優子の幸せというバトンをそれぞれの親たちが繋いでいったのだと解釈しよう。それはそれは温かくて、幸福に溢れたバトンだ。親はたくさん変わったけれども、優子はしっかりと愛情を注がれて育った。素敵な話だ。

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