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<なつみの本紹介> #34 勿忘草の咲く町で 安曇野診療記/夏川草介

あらすじ

 美琴は松本市郊外の梓川病院に勤めて3年目の看護師。風変わりな研修医・桂と、地域医療ならではの患者との関わりを通じて、悩みながらも進む毎日だ。口から物が食べられなくなったら寿命という常識を変えた「胃瘻」の登場、「できることは全部やってほしい」という患者の家族…老人医療とは何か、生きることと死んでいることの差は何か?真摯に向き合う姿に涙必至、現役医師が描く高齢者医療のリアル!

感想

 夏川草介の描写の綺麗さに驚いた。美しい安曇野の風景と花の様子が、自然と浮かんでくる。自分は安曇野にいるのではないかと錯覚してしまうほど、この人の文章に引きつけられた。

 どんな人なのかと調べてみると、医者ではないか。医者が書いている文章とはとても思えない。というか、医者をしながら小説書くってとんでもないな。

 そしてもちろん長野県出身だそうだ。長野に住みながら自分の書きたいように小説を書く。そんな生活に憧れる今日この頃。

 この作品とは関係ないが、最近小説を書き始めた。ストーリーとしてはなかなかいい話だと思う。いつ出来上がるかはわからないが、今年中には書き上げたい。


グッとワード

 今回はぼくが気に入った文章を紹介させていただこう。

 畑地をつなぐ水路、水が張られたばかりの田、濡れた家屋の屋根に、国道の水たまり、そういった景色のそこかしこに光が踊って見えるのは、風に流れる雲のおかげで、光の加減が刻々と変化するからだ。鬱蒼と茂る眼下の雑木林の中に、またたくような光があるのは、上高地から松本盆地へと東流する梓川の水面であろう。

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