見出し画像

2021年を乗り切るためのビジネスパーソン必携のスキルを紹介!

およそ1年前になりますが、私が担当した次の本がフォレスト出版から発売されました。

著者は「広告代理店」と「外資系ビジネスコンサルティングファーム」を行き来したハイブリッドキャリアを持つ羽田康祐さん。
Mission Driven Brandという、ロジカルシンキング系の本を紹介しているブログが好評です。おかげさまで、読み応えのあるビジネス書を求める方を中心に、高い評価をいただいており、先日4刷が決まりました。

本書が出たのは2020年1月、そう、まだほとんどの日本人が新型コロナウイルスに脅威を感じていなかったころです。それから数週間後には、未曾有ともいえる状況になることを、どれだけの方が予想していたでしょう。
そんな時期に、「推論」とタイトルに入った本が奇しくも出版されたわけです。
2020年3月には、以下のようなバナーで本書のamazonページにリンクさせたFacebook広告を出したのですが、かなりの反応がありました(このころは、まだ東京オリンピックを意識して、こんな写真にしました)。

画像1

本書では、基本的な推論の3つの技法である帰納法、演繹法、アブダクションをビジネスに落とし込んで活用する具体的な方法を記しています。
ただ、そもそもなぜビジネスにおいて「推論」の技術が必要なのでしょうか?
その理由はいくつかあるのですが、以下では、「分析力」というテーマにしぼって解説した箇所を抜粋し、本記事用に一部改編して掲載させていただきます。

分析力の向上に欠かせない


 分析とは、物事の特徴を正しく捉えた上で、それぞれの物事の間にある「関係性」を見抜くことだ。分析手法の種類はどうあれ、どの分析にも共通していえるのは、世の中に存在する多くの物事はさまざまな要素が複雑に絡み合っており、ただ漠然と全体を捉えただけでは有益な示唆は得にくいという問題意識だ。
 複雑に入り乱れた物事を正確に捉えるには、ただ全体を捉えるだけでは不十分であり、「個々の中身を吟味し」「それぞれの関係性がどうなっているのか?」まで深掘りしていく必要がある。
 誤解を恐れずにいえば、この世の中にあるあらゆる物事は「事実」と「その関係性」で成り立っている。「事実」は目に見えるものなので捉えやすいが、「関係性」は目に見えないものである以上、「推論」でしか捉えることができない。そして、もしあなたが「目に見えない関係性」を推論で捉えることができなければ「分析が甘い」という状態に陥る。
 つまり、分析とは「事実」と「事実同士の関係性」を推論で解明していくプロセスであり、そのために必要不可欠な能力が「推論力」だ。

●関係性を読み解く発想
 より理解を深めるために、例を使って解説しよう。
 もしあなたが量販店チェーンの分析担当者だったら、と仮定しよう。目の前に、漬物とタオルの売上推移データがあったとする。このデータでは、漬物の売上が上がっている時期にはタオルの売上が上がり、漬物の売上が下がっている時期にはタオルの売上も下がっていることが確認できた。
 このデータを見たときに、もしあなたに「推論力」がなければ、漬物の売上データとタオルの売上データの「関係性」を分析する発想には至らない。漬物のデータとタオルのデータを個別のものとして捉え、「あれはあれ、これはこれ」という状態でスルーしてしまうことになる。その結果、データからは何の示唆も導き出せず、成果を上げることはできない。
 一方で、もしあなたに「推論力」が備わっていれば、「漬物の売上とタオルの売上には、何か関係があるかもしれない」という「関係性を読み解く発想」に思い至ることができる。
 そうすれば、

●「漬物の売上が上がれば→タオルの売上が上がる」という因果関係が存在するのか?
●それとも逆に「タオルの売上が上がれば→漬物の売上が上がる」という因果関係が存在するのか?
●それとも、まったく別の第三の要因が存在するのか?

 という問いを立て、「関係性の分析」を進めていくことができるはずだ。
 そうすればやがて、

●気温が上がれば→食欲減退・塩分不足予防のニーズが生じて、漬物の売上が伸びる。
●気温が上がれば→汗を拭くニーズが生じて、タオルの売上が伸びる。
●漬物の売上とタオルの売上には「気温」という隠れた共通要因が存在している。
●漬物とタオルの売上に、直接的な関係性はない。

 という結論に辿り着くことができる。そしてここまで来れば、あなたは早い段階で天気予報のデータを手に入れ、気温が高くなると予想される日には漬物やタオルを店頭の目立つ場所に置く、というアクションを起こすことができる。そうすれば、推論力を働かせずに「あれはあれ、これはこれ」で終わってしまうより、はるかに高い成果を生み出すことができるはずだ(図1)。

画像2


 このように「推論力」の有無は、分析の質を決定づける極めて重要な要素となる。もしあなたが高い分析力を身につけたいなら「推論力」は欠くことのできない能力だ。

上記はあくまで「推論力」の必要性を解説したものですが、本書全編を通して、非常に論理的に具体的なテクニックの解説をしています。
VUCAと呼ばれる時代において、ただ目の前の変化に翻弄されるだけか、あるいはその変化から何かしらの因果関係を見つけ出し、ビジネスチャンスを探ることができるか――。
その違いを決定づけるのが「推論力」です。
この期に及んで、本当に五輪が開催されるかどうかもわからないような混沌とした2021年を生き抜くための大切な能力なのです。

(編集部 石黒)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?