「学校に行きたくなきゃ、行かなくていいよ」と言い切れるオトナになりたい。
フォレスト出版編集部の寺崎です。
この電車広告を見て以来、気になってしかたがなかった『冒険の書』。
「最近読んだ本の中でも破壊力は抜群で危険なレベルである。私が古代中国の皇帝だったら著者ごと焚書にしているだろう」
こんな読者コメントをよそに、高らかに笑う著者・孫泰蔵さんの写真。
これ、「なんだ、なんだ?」って、気になるに決まってるじゃないですか!
・・・というわけで、昨日の夜、帰宅の帰り道に丸善丸の内本店寄って買ってきましたですよ。
読み始めました。
たしかに、これは破壊力ある。
なにを破壊してしまうのか。
「学ぶこと」「教育」「社会」をめぐる、これまでの常識をことごとく破壊していきます。そして、それがまた「たしかに孫さんの言うとおりだわ」と納得してしまうレベルなのです。
「真の発見の旅とは、
新しい景色を探すことではない。
新しい目で見ることなのだ。」
マルセル・プルースト
『失われた時を求めて』
そもそも「能力」とはなにか?
冒頭からこんな問いかけが始まります。
「能力」とはなにか?
そして、問いはこんな形へと展開し、「第1章 解き放とう――学校ってなんだ?」から始まります。
「当たり前」を疑え
この本の作りの面白さのひとつに「著者と過去の偉人の対話」のスタイルがあります。著者が「●●ってなんでこうなってんだろう?」という問いの答えを求めて、先人たちの業績にあたっていくわけですが、彼らとの対話を通してさまざまな発見をしていきます。
現在の「当たり前の教育システム」のルーツはどこにあるのか。その歴史の最深部として『世界図絵』(1658)のヨハン・アモス・コメニウスにまずぶち当たります。
30年戦争の混乱のさなか、祖国を追われ、妻と子を失い、絶望の淵にいたコメニウスは「人類の破滅を救うには青少年を正しく教育するより他にない」と考え、そうした信念のもとに作られた『世界図絵』が、その後の絵本、教科書、百科事典のルーツとなりました。
答えようとするな。むしろ問え。
そんな冒険の旅はコメニウスから始まり・・・
◎「万人の万人に対する戦い」という300年続く呪文を生み出したトマス・ホッブス
◎パノプティコンという「監獄の設計」に教育や社会の原型を見いだしてしまったミシェル・フーコー
◎学校の「クラス」の起源を発明したジョセフ・ランカスター
◎「学年制」を生み出したサミュエル・ウィルダースピン
◎「発達段階」という概念を発明したエリク・エリクソン博士
これらの先人たちとの対話を通して、これまでの「学校」という常識を破壊していくのが第1章。続く章は以下。
モノクロ画家・あけたらしろめさんのイラストが独特の紙面の雰囲気を醸し出しています。
子どもの教育について疑問に思ったり、迷ったりした経験がある人にとっては「ドキッ」とさせられる考えがたくさん詰まった本です。
ちなみにデザインはフォレスト出版でもおなじみのtobufuneさん。担当編集はミリオンセラー『ファクトフルネス』はじめ、『HARD THINGS』『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』などヒット作を手掛けられた中川ヒロミさん。
本づくりにおいてもいろいろ参考になりそうなので、この週末、研究しようと思います!
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