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「学校に行きたくなきゃ、行かなくていいよ」と言い切れるオトナになりたい。
フォレスト出版編集部の寺崎です。
この電車広告を見て以来、気になってしかたがなかった『冒険の書』。
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「最近読んだ本の中でも破壊力は抜群で危険なレベルである。私が古代中国の皇帝だったら著者ごと焚書にしているだろう」
こんな読者コメントをよそに、高らかに笑う著者・孫泰蔵さんの写真。
これ、「なんだ、なんだ?」って、気になるに決まってるじゃないですか!
・・・というわけで、昨日の夜、帰宅の帰り道に丸善丸の内本店寄って買ってきましたですよ。
![](https://assets.st-note.com/img/1686369044225-AxNaaKj3hQ.jpg?width=800)
読み始めました。
たしかに、これは破壊力ある。
なにを破壊してしまうのか。
「学ぶこと」「教育」「社会」をめぐる、これまでの常識をことごとく破壊していきます。そして、それがまた「たしかに孫さんの言うとおりだわ」と納得してしまうレベルなのです。
「真の発見の旅とは、
新しい景色を探すことではない。
新しい目で見ることなのだ。」
マルセル・プルースト
『失われた時を求めて』
そもそも「能力」とはなにか?
僕はこれまで起業家として、たくさん新しいことにチャレンジしてきました。そして、たくさん失敗してきました。多くのお金や信用を失ったとても苦い経験もあります。あの時ああすればよかったのか、なぜこの時こうしなかったのかと後悔し、自分には才能がない、能力がないと自己嫌悪におちいったりもしました。
それでも新しいことを思いついてしまうと、どうしてもやらずにはいられない自分がいます。こりずに何度も何度も失敗を繰り返しているうちに、たまに成功することがあり、それを人は「すごい才能だ」「とても優秀だ」と評価してくれます。それでよく「成功の秘訣は?」と聞かれるのですが、「それは僕が教えてほしいです」としか言えません。これは決して謙遜ではなく、「成功するにはどういった能力が必要か?」と聞かれても、どうにも答えられないのです。
成功するのに必要な「能力」ってなんなのだろう?
そもそも「能力」っていったいなんだ?
冒頭からこんな問いかけが始まります。
「能力」とはなにか?
学校の教育についても同様です。僕は世界中の人工知能(AI)を開発している会社にたくさん関わっていますが、人工知能のパワー、その発達のスピードには目をみはるばかりです。その一方で、「このままだと、なんかマズイんじゃないか?」という不安も感じます。最先端の人工知能にふれればふれるほど、学校で行われている教育の内容がその意味をどんどん失いつつあると感じるからです。
時代はこんなにも変わっているのに、学校の教育は、僕が受けた40年前くらい前と内容もスタイルもほとんど変わっていません。当時の僕でさえ、「こんなつまんない勉強して、いったいなんの意味があるんだろう」と思っていたので、今の子どもたちがそう思うのはなおさらでしょう。
学びって本来はすごく楽しいことのはずなのに、どうして学校の勉強はつまらないのだろう? 人生は本来すごくワクワクするもののはずなのに、どうしていつも不安を感じながら生きていかなければならないのだろう?
そして、問いはこんな形へと展開し、「第1章 解き放とう――学校ってなんだ?」から始まります。
「当たり前」を疑え
この本の作りの面白さのひとつに「著者と過去の偉人の対話」のスタイルがあります。著者が「●●ってなんでこうなってんだろう?」という問いの答えを求めて、先人たちの業績にあたっていくわけですが、彼らとの対話を通してさまざまな発見をしていきます。
現在の「当たり前の教育システム」のルーツはどこにあるのか。その歴史の最深部として『世界図絵』(1658)のヨハン・アモス・コメニウスにまずぶち当たります。
「教育なくして人間は人間になることはできない」
「世界を正しく認識したうえで、正しく語り、行動することができる人間こそ、社会の混乱に終止符を打ち、新たな社会を創造しうる実行者たりうる。世の中から悲しい争いをなくすためには、あるべき世界を伝えることによって人間を人間らしくする以外に道はない。そうじゃろう?」
30年戦争の混乱のさなか、祖国を追われ、妻と子を失い、絶望の淵にいたコメニウスは「人類の破滅を救うには青少年を正しく教育するより他にない」と考え、そうした信念のもとに作られた『世界図絵』が、その後の絵本、教科書、百科事典のルーツとなりました。
「社会を変えるためには教育を変えるしかない」
「すべての人に世界のあらゆることを教え、立派な人間に育てる」
コメニウス先生のこのご宣託が、現代につながる教育のルーツだ。
そして、その宣託を忠実に守っているのが学校だ。
しかし今、学校の存在が
様々な問題を生み出す原因にもなっている。
学校はこのままでいいのか?
それとも変えるべきなのか?
そもそも学校ってなんだ?
そこで僕は、学校とはなにかを
探るところから旅を始めることにした。
答えようとするな。むしろ問え。
そんな冒険の旅はコメニウスから始まり・・・
◎「万人の万人に対する戦い」という300年続く呪文を生み出したトマス・ホッブス
◎パノプティコンという「監獄の設計」に教育や社会の原型を見いだしてしまったミシェル・フーコー
◎学校の「クラス」の起源を発明したジョセフ・ランカスター
◎「学年制」を生み出したサミュエル・ウィルダースピン
◎「発達段階」という概念を発明したエリク・エリクソン博士
これらの先人たちとの対話を通して、これまでの「学校」という常識を破壊していくのが第1章。続く章は以下。
『冒険の書――AI時代のアンラーニング』
第1章 解き放とう――学校ってなんだ?
第2章 秘密を解き明かそう――なんで学校に行くんだっけ?
第3章 考えを口に出そう――なぜ人は勉強しろっていうの?
第4章 探求しよう――好きなことだけしてなぜいけないの?
第5章 学びほぐそう――じゃあ、これからどうすればいいの?
モノクロ画家・あけたらしろめさんのイラストが独特の紙面の雰囲気を醸し出しています。
子どもの教育について疑問に思ったり、迷ったりした経験がある人にとっては「ドキッ」とさせられる考えがたくさん詰まった本です。
ちなみにデザインはフォレスト出版でもおなじみのtobufuneさん。担当編集はミリオンセラー『ファクトフルネス』はじめ、『HARD THINGS』『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』などヒット作を手掛けられた中川ヒロミさん。
本づくりにおいてもいろいろ参考になりそうなので、この週末、研究しようと思います!
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