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真に効率的なコスパ最強の本の読み方とは何か?

本好きであれば、ほぼ例外なく速読や多読に憧れを抱いたことがあるはずです。
弊社からも関連本が出版されていますが、私もご多分に漏れず、さまざまな速読本を買って練習したことがあります。その甲斐あって、「ほとんど独自の速読法」を身につけることはできました。簡単にいえば、理解度をある程度犠牲にする代わりに、スピードに特化した読み方です。

かつて、速読の達人には、何人かお会いしたことがあります。
私が書いた原稿用紙3枚の作文を20秒もたたずに読んで、感想をくれる人がいました。また、30ページほどのゲラをチェックさせたら、10分程度で戻してきて、入れた朱字も的確だったというスゴい人もいました。
話を聞くと、いずれも子どもの頃から速読の練習をしていて、いつの間にか読むのが早くなったとのこと(一人は公文で習ったと言ってましたが、今でも教えているのでしょうか?)。
そんな出会いもあり、時間をかけた修練が必要であることはもちろんのこと、「自分の読み方」が決まった大人になってからでは、なかなかその域までに達することは難しいと判断し、速読マスターへの道をあきらめたものです。
とはいえ、我流の速読法でも、そこそこ役に立っています。
たとえば、著者候補にお会いする前に、その方の既刊本にざっと目をとおして概要を理解したり、整理前の原稿の全体像を把握するためにスクロールするように眺めて流れを確認することに使っています。
しかし、内容もきちんと理解して、なおかつ速く読みたい!ものです。私のような我流の速読術は、つねに誤読と表裏一体です。速読できたところで、誤読していたら、時間もお金(書籍代)も無駄になります。

さて、そんな私の速読への憧れや不安を見透かしたかのような主張をする本が、7月に刊行されました。「そもそも、速読・多読は必要か?」という問いから出発し、真に効率的かつコスパのよい、本の読み方を解説しているのです。

本書では、インプットもアウトプットも何倍にもするビジネス書の読み方を「10倍読書」として解説しています。その中から、速読と多読について解説している箇所を一部抜粋、本記事用に改編してお届けしましょう。

オーディオブック案内

ちなみに、本書を購入し、巻末の案内にしたがうと、無料で本書のオーディオブックを入手できます。1倍速はもちろん、1.5倍速、 2倍速、3倍速でも聞けます。文字を目で追い、倍速の音声を耳で追えば、自然と速読ができます。ぜひ、お試しください。

速読・多読よりも時間・ページ当たりの学びの量

 世の中には、さまざまな「読書術の本」であふれています。忙しいビジネスパーソンにとって、特に人気が高いのは「速読」や「多読」でしょう。
「速読」の中には、「写真を撮るように本の情報を脳に送り込む速読術」や、「眼球の動きを鍛えることで、一定の時間内で多くの文字を読む速読術」などが知られています。
(中略)
 そして、「多読」をすすめる本では、次のように書かれているものが多い印象です。


●ビジネス書の中で重要なのは2割に過ぎない。その2割だけ拾い読みすればいい。
●2割を拾い読みすれば、1冊は30分程度で読み終えることができる。
●そうすれば、多読ができるようになる。

 しかし、こうした本の著者は、ほぼ例外なく月に30冊以上はビジネス書を読んでいる「読書猛者」たちです。
 一方で、筆者を含めビジネス書の読者の大半は、普通のビジネスパーソンのはずです。より直球で言ってしまえば、月に30冊も読めるほどの書籍代なんて、簡単には用意できないのが実情です。

 そもそも、読書術関連の本の多くは、「ビジネス書の中で重要なのは2割に過ぎない。したがって、重要な2割だけを読めば、速く、多くの本を読めるようになる」という主張をしています。
 しかし、この考え方は2つの点において違和感を覚えます。

 1つ目の違和感は、「速く、多くの本を読めるようになる」こと自体を目的にしている点です。
 ビジネス書を読むうえで重要なのは、「速く読めた」「たくさん読めた」などの「手段」ではありません。これはサッカーにたとえれば、「速く走れた」「たくさん蹴れた」と言っているようなもので、これらは手段ではあっても目的ではありません。あくまでサッカーの目的は「限られた時間内で、より多くの得点を重ねること」です。
 本書もそれにならい、「限られた読書時間の中で、どれだけ学びの量を最大化できるか?」を重視します。
 したがって、極端な話をすれば、1時間当たり1ページしか読めなかったとしても、そこから得られる学びの量が10倍なら、それでOKなのです。
「ビジネス書を読むうえでの生産性の高さ」とは、「どれだけたくさんのビジネス書を読めたか?」で決まるのではなく、「読書時間内に得られた学びの量が、どれだけ多かったか」で決まります。

ビジネス書から100%以上の学びを得る

 続いて2つ目の違和感は、「ビジネス書の中で重要なのは2割に過ぎない」という考え方自体が、「ビジネス書で学べる内容の上限は100%である」という前提を置いている点です。
 はたしてビジネス書から学べる内容の上限は、本当に100%なのでしょうか?
 たしかに、ビジネス書に対して「情報を得よう」「知識を得よう」という姿勢なら、著者の自分語りや回想、たとえ話や事例などを読み飛ばして、「重要な2割だけ」読めばいいのかもしれません。
 しかし、「情報を得る」「知識を得る」だけなら、それはスマートフォンでインターネット検索すれば済む話です。何も情報や知識を得るのに1500円を出費してビジネス書を買う必要はありません。
 よしんばビジネス書を買ったとしても、「重要なのは2割だけ」だとしたら、そのビジネス書の価値は1500円×20%=300円の価値しかないことになってしまいます。これでは、非常に投資パフォーマンスの悪い読み方になってしまうでしょう。
「10倍読書」が重視するのは、学べる上限を100%「以上」にすることです。
 この時点ではまだピンとこないかもしれませんが、第三章〜第五章をお読みいただければ、その理由を理解できるはずです。
 とにかく、ビジネス書を読むにあたって重要なのは、「重要な2割を拾って、速く、たくさん読むこと」ではなく、「限られた読書時間の中で、得られる学びを10倍以上にすること」なのです。

上記はあくまで、理論的な解説のほんの一部です。読書による具体的なインプット・アウトプット法について、本書の大半を費やして解説しています(amazonのカスタマーレビューでも触れられているように、それはかなり斬新な方法です)。
そして、我流の速読で理解できるほど、スカスカな本ではありません。
興味のある方はぜひ手にとってみてください!

追記
そもそも、本をたくさん読みたいというニーズは、「たくさん読んだという達成感がほしい」「読書マウンティングしたい」という欲求に根ざしているかもしれません。難しい問題ですね。

(編集部 石黒)

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