自分や相手の“今”の感情を特定できる『感情リテラシー事典』
あなたは“今”の自分の感情がわかりますか?
あなたが同僚に対して感じている「怒り」、本当は「嫉妬」かもしれません。
また、あなたのパートナーへの「信頼」、傍からは「服従」や「自己犠牲心」に見えるかもしれません。
人は、自分の感情であっても、その本質をとらえられないケースが多々あります。
だからこそ、感情に振り回され、意思決定を誤ったり、とるべきではない行動をとることになるのです。
一方、自分の感情を正確に把握することができ、その感情の性質を理解していれば、振り回されることなく適切な行動をとることができます。
「でも、そんなこと、可能なの?」
そう思っている人がほとんどでしょう。
しかし、可能なのです。いえ、次の新刊がそれを可能にしたのです。
本書では、心のパワーとご機嫌レベルを測る「The Mood Meter」、感情を解剖する感情モデル「プルチックの感情の輪」という、“今”の自分や周囲の人の感情を正しく把握するツールを提供し、40以上の感情の解説と感情が乱れた際の対処法を伝えます。
著者は国内トップクラスのEQカウンセラーの大芝義信さん。
以下、『自分や他人に振り回されないための感情リテラシー事典』の「まえがき」を公開します。
まえがき 「心の機微」を理解し、感情をコントロールできる人になろう
私たちは毎日の生活の中で、一瞬ごとにさまざまな出来事から刺激を受け、感情を変化させています。
そんな中、「子どものことが心配で一日中、考えてしまう」「イライラして同僚に乱暴な言い方をしてしまった」「気分が浮かれて調子にのり、失言してしまった」など、感情に影響を受けて、好ましくない言動をしてしまうこともあります。
さらに、受験や就職など進路を決めるときや、結婚を決意するときなど、人生の岐路での重要な決断を感情に左右され、失敗してしまうこともあります。
そもそも感情は、私たちを苦しめたり、人生を混乱させるために存在しているものではありません。自分の命や大切なものを守るための防衛反応であったり、幸せな未来を築くための警告であったり、基本的な感情はどれも私たちに有益なものばかりです。
ただし人間が文明生活を始めて以降は、取り巻く環境も、人間の思考や欲求も複雑になり、それにともなって感情も複雑化していきました。そのため日常的に無用な感情に苦しめられたり、感情のせいで意思決定を誤ってしまったり、感情のせいでとるべきではない行動をとってしまうケースがしばしばみられるのです。
だからこそ、快適な毎日や幸せな人生を築く上で、感情をマネジメントするスキルが求められています。
自分の感情を正確に把握することができ、その感情の性質を理解していれば、振り回されることなく適切な行動をとることができます。
もちろん感情に苦しめられている周囲の人々――すぐに怒鳴り声を上げる人、悲しみに打ちひしがれている人、過去の失敗経験による不安から消極的になっている人、嫉妬や攻撃心から悪意を向けてくる人など――についても、どのように対処すれば自分が不快な思いをしないですむのか、相手を助けてあげられるのかを判断し、適切に行動できるようになります。
社会生活における問題のほとんどは人間関係によるものだといわれますが、感情リテラシーはそれらを予防、解決する大きな力になるのです。
ところが義務教育の課程において、感情を学ぶ機会が極端に少ないのはご存じのとおりです。
文学に触れて、感情に関する言葉や性質、そして人間の心の機微を学んでいる人は感情のリテラシーが身につき、自然と感情をマネジメントする力も育まれているでしょう。
でも、残念ながらそのような方はごく少数です。
私は「経営」と「IT」と「EQ(Emotional Intelligence Quotient:感情知能指数を伸ばす知識とトレーニングの体系)」の専門家として、おもに企業をクライアントとしてコンサルティングをおこなっていますが、さまざまな会社の従業員の皆さんをカウンセリングしていると、感情のリテラシーが低く、その影響で仕事やプライベートがうまくいかない方があまりにも多いのです。
本書は、すべての方々が感情マネジメントのスキルを身につけられるよう、基本となる感情のリテラシーを提供するものです。
「自分はどうしてもイライラして怒りっぽい」「心配性で、つねに不安を抱えている」「いつも尻込みして新しいことに挑戦できない」など自分に悩んでいる方、または周囲にそんな方がいて困り果てたり、救いたいと思っている方には、とくに役立つ知識になると思います。
この機会に感情への理解を深め、また本書を何度も読み返して、知識を自分のものにしていただきたいと思います。自分の心を観察し、深く理解し、理性的にコントロールして、感情を自身の最大の武器にしていきましょう。
本書はビジネスや子育てなどの日常で、かなり役立つはずです。
ぜひ、チェックしてみてください。
(編集部 いしく"ろ)
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