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あなたの評判が上がる「社外パートナー」との付き合い方

フォレスト出版編集部の寺崎です。

昨今、ビジネス環境の変化が著しいなか、仕事の一部を外部化するケースも増えているかと思います。いわゆる「外注」ですね。

書籍編集者の世界では大きく分けて、書籍1冊つくるために必要な「外部パートナー」が常時6~7人くらいいます。

デザイナー、カメラマン、イラストレーター、校正者、DTP会社の営業、印刷会社の営業……といった感じです。

こうした方々に自分ひとりではできない仕事をお願いするわけですが、このときに私が気を付けている言葉遣いがあります。

「○○を発注する」

・・・という言い方は絶対にしないようにしていて

「○○を依頼する」「○○をお願いする」

・・・という言い方にこだわっています。

なぜか。

単なる「発注者」「受注者」の関係を超えた関係から生まれるコラボレーション、化学反応を期待しているからです。受発注の関係ではなく、対等なパートナーでありたいという想いがあります。

実際、そうした意識を持ったほうが仕事はスムーズにうまく運びます。

このような話が『最高の成果を生み出す ビジネススキル・プリンシプル』(中尾隆一郎・著)という本に出ていて、編集を担当しながら膝を打った覚えがあるので、ここにご紹介したいと思う。

コラボレーションの効果を最大化する簡単な秘訣

 昨今、すべての仕事を社内だけで完結している組織はとても少ないと思います。基本的には外部の会社に仕事を依頼するケースも多いでしょう。その社外の会社・人々をここでは「社外パートナー」と呼ぶことにします。
 社外パートナーとの付き合い方を少し変えると成果が大きく異なると感じています。
 本来は、発注と受注の関係はイコールのはずです。サービスもしくは製品とその対価であるお金が釣り合ったので商売が成立したのです。
 ところが日本ではお金を支払う発注者が偉いという間違った価値観が蔓延(はびこ)っています。大概の発注者は、意識・無意識にかかわらずこのメンタルモデルを持っています。
 ということは、もしみなさんが発注する立場で、このメンタルモデルを変えることができれば、社外パートナーとの関係を劇的によい方向に変え、成果を大きくできるということなのです。

私自身、20代のころ、編集プロダクション(略称・編プロ)と呼ばれる出版社の下請け業に6年ぐらい勤めていたことがあるのでよくわかります。

下請け業者を「対等な仕事のパートナー」と捉えてくれる社員(Aさん)に対しては、期待以上に応えたいとがんばれます。一方、下請けを奴隷のように扱う社員(Bさん)もいます。そういう人が相手の仕事は、事なかれ主義でテキトーに済ませたいと思ってしまうのが、残念ながら正直なところでした。

結果、Bさんにとっても出版社にとってもデメリットにしかなりません。

「時給脳」でしか考えられない残念なクライアント

 先日、あるコピーライターさんとの会話で大笑いしたエピソードを紹介します。そのときのコピーライターさんと発注者(クライアント)の会話です。

発「 今回のコピー凄くいいですね。完璧です。どれくらいでこのコピー思いついたんですか?」
コ「 今回はすぐに書けたので2日ですね」
発「 そんなに簡単に書けたんですか!だったら値段を半分くらいにしてくださいよ」
コ「 え、それ、本気で言っています? そんなに簡単だと思うならでやればいいでしょう」
発「 バカなこと言わないでください。自分でできるなら、○○さんに発注しませんよ」


 この発注者、本当におかしいですよね。本来、ステキなコピーが短期間でできたとするならば、Q(品質)もD(納期)もレベルが高いわけです。C(コスト)が高くなってもおかしくない話なのです。ところが頭が「時給脳」の人は、「短期間でできた=安くできる」という発想になるのです。このような人の周りに優秀な「社外パートナー」は寄りつかなくなります。

この「時給脳」の弊害はいままさに深刻に進行中です。

リモートワークが普及すると「残業」という概念もなくなりますので、時給換算すると、時給1000円の人から時給1万円のひとまでさまざま生まれるでしょう。というか、もはや「時給」という概念が時代にフィットしないのです。いまだ一部の守旧派に残る「残業代を稼ごう」といった発想は早晩死に絶えていくでしょう。

「当社の第二〇〇部」と位置づけると成果が変わる

 別の事例になりますが、もしみなさんが採用に携わっているとするならば、人材紹介会社という社外パートナーとの付き合い方のポイントをご存じですか。これは、他の社外パートナーとの付き合い方にも通じる重要なポイントがあります。
 人材紹介は、人材が採用できれば、採用できた人の年収の20%程度から40%程度の報酬を支払う成功報酬モデルです。パーセンテージはもっと低いケースもあれば、年収100%の場合、事前に着手金を支払うケースなど様々ですが、基本は成功報酬、後払いモデルです。ところが採用する企業側は、発注者気取りで偉そうな態度を取るのです。
 例えば、典型的な偉そうな態度は「優秀な人材を送ってこない」と人材紹介会社をなじるのです。ところが、この段階では企業は人材紹介会社に対して報酬を払っていません。つまり正確に表現すると発注者ではないのです。これが先に報酬を払う広告型モデルであれば、まだ少しは理解できます。ところが、発注もしていないのにクレームをいうのです。おかしいですよね。
 ところが、大半の顧客はそうなのです。
 もしあなたがイケてる発注担当者になりたければ、このおかしなメンタルモデルを変えればよいのです。「人材紹介会社は成功報酬なので、我々はまだ発注者ではない。それどころか、他社ではなく、我々に優秀な人材を優先的に送ってもらうために、我々がきちんと有効な企業情報を送らなければいけないのだ」という風に態度を変えるのです。
 私は、これを人材紹介会社担当者のみなさんに「当社の第二人事部になってもらう」と表現しています。発注者と受注者という関係ではなく、仲間、文字通りパートナーだと考えてコミュニケーションするのです。
 これを実践すると関係性が変わり、成果が大きく変化します。
 このことは人材紹介会社との関係だけの話ではありません。あらゆる社外パートナーを「当社の第二〇〇部」だと再定義してみてください。それで発注者の思考が変わり、行動が変わり、関係性が変わり、成果が変わります。これ、本当に効果があります。ぜひ試してみてください。

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ちょっとした「意識付け」の差で仕事の成果が変わるというお話でした。

これって、冒頭に紹介した「(仕事を)発注する」ではなく「(仕事を)依頼する・お願いする」という言葉遣いの違いの話にとてもよく似ています。

意識掛けひとつで周囲とのコミュニケーションの質が上がり、結果、仕事の成果も上がる。

ぜひ、実践してみてください。

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