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【フォレスト出版チャンネル #43】ゲスト|音響心理学で心の不調を解消する

このnoteは2021年1月13日配信のVoicyの音源「フォレスト出版チャンネル|知恵の木を植えるラジオ」の内容をもとに作成したものです。

“アテンションメソッド”“マスキングメソッド”

渡部:フォレスト出版チャンネルパーソナリティの渡部洋平です。今日は昨日に引き続いて京都精華大学教授・音響心理学者の小松正史先生とフォレスト出版編集部・石黒さんに来ていただいています。お二人とも今日もよろしくお願いします。

小松・石黒:よろしくお願いします。

渡部:昨日、小松先生に来ていただいて音響心理学とはなにかというところとASMRという最近流行っている言葉、この2つについてお話いただきました。もし聞いてない方がいましたら昨日の放送も是非チェックしてください。
では、今日は具体的に2つのメソッドについてお話いただくことになっていますが、まず先生、新刊の心の不調が消える聞くだけ音トレ!』を書かれていますが、この本についてどんな内容なのかというのを簡単に教えていただけないでしょうか。

小松:はい。現代を生きる我々にとって心理的なストレスとかイライラというのは絶対あると思うんですね。その原因が音にあるんではないかなと捉えて、そうした心身の不調を音の聞き方を変えることによって、よくしていこうと言うか、不調が消えるところまで持っていきたいところなんですけど、そうした好転を目指してこの本を考えて書いてみました。
例えば、鬱とかHSP・繊細さんと呼ばれる方、不眠、耳鳴り、聴覚過敏みたいな方が最近どんどん増えていっている状態なのですが、その状態をゼロではないにしろ少しでも不快を減らしていくようなかたちで、音の聞き方でお手伝いできないかなというところが大きな目的になっています。

石黒:先生は、ヤマハミュージックエンタテイメントホールディングスさんから出されている『耳トレ』というシリーズ本があるのですが、そちらの本では、どちらかと言うと能力開発系のお話を書かれていると思うのですが、今回の『心の不調が消える聞くだけ音トレ!』についてはどちらかと言うと能力開発というよりも心の不調をいかに治すかというところを重点的に解説している本になっています。
中では2つのメソッドがありまして、“アテンションメソッド”“マスキングメソッド”。“マスキングメソッド”というのはこの本に付属でついてくる15の音源を使った方法になります。“アテンションメソッド”と“マスキングメソッド”について先生のお言葉で説明していただいてよろしいですか?

小松:はい。わかりました。普段我々は音を聞くということを無意識にやっているので、いい音、悪い音全てが耳の中に入ってきているわけです。それを一旦受け止めてみんな行動するわけですが、不調の方というのは嫌な音をどんどん聞いてしまうような傾向が結構あるので、そうした嫌な音に対して注意をあまり向けさせなくさせるために今回のメソッドを考えてみました。具体的に言うと過剰な音とか嫌な音、不快な音を音の聞き方によってちょっと変えていくという、例えば嫌な音が周りにあったとしたら、自分の呼吸とか身体の内部にある音とか感覚に意識を向けることによって外にある音の注意が内側に向いて少し不快感が減少していくようなやり方などが本書には書かれております。

石黒:今のはどちらかと言うと注意を切り替えるという“アテンションメソッド”の方の説明が多かったかと思うのですが、今回の本では“アテンションメソッド”がうまくいかなかったときには“マスキングメソッド”がありますよというような提案をしているのですが、“マスキングメソッド”についても先生もう少し詳しくお話いただけますか?

小松:わかりました。“アテンションメソッド”でどうしてもうまくいかない場合はもっときつめのと言いますか、要は別の音を新たに聞いて不快な音に別の音を被せることによって不快な音が目立たなくなるような、いわゆるマスキング効果というものを狙ってその効果について具体的にうまく機能しそうな音源を15個くらい新たに作りまして、それを活用して目立たなくさせる方法も載せております。

“マスキングメソッド”に使う特殊音源がダウンロード可能

石黒:そういうふうに“アテンションメソッド”がなかなかうまくいかない時には“マスキングメソッド”を使う感じです。本書ではQRコードがついていて、そこから“マスキングメソッド”に使う特殊音源がダウンロード出来るようになっています。CDはついていません。CDがつくと本自体が高くなっちゃうんで(笑)。うちうちの話になっちゃうんですけど・・・。なので今回QRコードでスマホで簡単にサクッと読めるようになっていますので、是非お聞きいただければな、と。すごくバラエティー豊かな音源になっています。

渡部:音がテーマなだけあって本の方に簡単に音源が聞けるものがついているということなんですね。是非興味がある方は手に取って聞いてみてください。かなり色々な楽曲、音源が入っているそうですが、この音源というのはどういうふうに作っていったんですか、小松先生。

小松:そうですね。大きく分けて2種類の作り方をしまして、1つは音楽的要素の強い音源ですね。ピアノの音が持続的に鳴っているとか、ストリングスみたいな持続音がずっと鳴っていることによって不快な音の印象を減らすような音楽的なアプローチが1つあります。
で、もう1つは環境音と言いましてASMRみたいなずっと鳴っている生活音のようなところなんですけれども、例えば火のパチパチという音とか夏の川とセミの音とか、秋の川と虫の音みたいな。ずっと同じような音調で鳴り続けているような音というのは実は世の中探していくとありまして、その音を使っております。
もっと具体的に言うと、耳鳴りで苦しんでおられる方の周波数みたいなものがあって高音の嫌な音がずっと聞こえているという状態になって、耳鳴り自体を減らすことはどうしても難しい状況なので、それに近いセミの音とか川の音とかその当たりをかませることによって嫌な音、つまり耳鳴りの音をマスキングさせるという方法で制作をしております。
とは言っても、聞いているとどうしてもノイズっぽい音がしてしまうので写真も実はつけています。マスキングしている音が何の音かわかることによって、自然で鳴っている音が今聞こえているんだとか、火のパチパチしている音が鳴っているんだとわかるようにこの本にも写真を載せていますし、QRコード先のサイトにもカラーで写真が掲示されておりますので、その写真と音を聞きながら、こんな音があるなと思って、マスキングメソッドで使っていただくとより効果が倍増になるかなと思います。

つねに録音機が欠かせない「音フェチ」ならでは

石黒:先生は京都にお住まいなので、お住まいのお近くの森とか川とかに行って収録したり、中には沖縄の海の波の音の音源なんかもありますよね?先生はいつもこんなふうに色々な音を拾うというのはライフワークとしてされているんですか?

小松:そうなんです。やっぱり音フェチなので、録音機は常に片手に持っている感じです(笑)。旅行に行ったらおもしろいです。本当に音の宝庫なので、波の音だ!沖縄の音はおもしろいなってリーフの音って特徴的な音があるので、それを撮ったりとか色々とサンプリングしたものを今回は対応させてもらっています。

石黒:録音機ってテレビのクルーの人達みたいのが持っているデカいやつなんですか?マイクがついた。

小松:あれだとバッグに入らないので、片手でもいけるやつが最近はかなり高性能なものがあるので、使っております。小さいやつですね。

石黒:ICレコーダーよりももっと感度が高いみたいやつですよね、確か。

小松:そうですね。ICレコーダーのちょっと発展版みたいなかたちになりますね。

石黒:周囲の音を録音するために常に持ち歩いている人っていうと小松先生くらいじゃないですかね。

小松:そうですね。あとASMRの発信者とかね、やっていると思います(笑)。

渡部:かなり音フェチ・・・。音フェチというか、先生ならではのこだわりで撮られた音源なんだと思うのですが、今聞いていて、もしかしたら本にも書いてあるのかもしれないですけど、こういう音源というのはどういう時に聞けばいいんですか?

小松:そうですね。“アテンションメソッド”でどうしても音の注意力を切り替えられない、不快が減らない場合に使うということで。例えば寝る前って結構音に敏感な時ってあるじゃないですか?

渡部:何か聞こえるような気がするみたいになって集中出来ないとか、寝れないとかなったりする感じですかね。

小松:そうですね。蛇口のポツンポツンという水滴で寝れなかったりとか色々あると思うんですけど、そういう時に別の音をちょっと被せるというか、スピーカーでもイヤホンでもいいんですけど聞いていただくことによって嫌だなというような音、逃げられないような音があったとしたらその音をちょっと減らす。心理的に不快感を減らしていくというようなそういう聞き方になりますね。

渡部:例えばオフィスワークをされている方で、周りで皆が話しているのが気になっちゃうなとか、電話の音が気になって集中出来ないとか、通りの車の音がうるさくてとか、色々あると思うんですけど、そういう時とかに聞いてもいいんですか?

小松:いい使い方だと思います。そんな時によく音楽聞く人っているじゃないですか。音楽だと注意して聞かなければならないような刺激を持っているのでマスキングには適さないところがありまして、マスキングに適した心地よい音というのがあるので、それを積極的に今回も対応することにしました。

渡部:是非仕事の最中に集中できないとかそういう方に使ってみてほしいですね。石黒さんも仕事されている時になにか聞いていますもんね?

石黒:聞いてますね。私はヒップホップを聞いていますね。

渡部:ダメじゃないですか(笑)!

石黒:気分が暗くなるのでちょっとアップテンポの曲でオラオラって感じにして仕事をこなしていく。そんな感じですね、私は。

渡部:これちょっと今の、小松先生のアプローチとはまた違う(笑)

石黒:(笑) もちろん先生の今回の本の音源も使っていますよ(笑)。

背景音として聴けるヒップホップを制作中

小松:今、実はヒップホップの曲を作っていて。

石黒:ほんとですか!?

小松:背景音として聞けるヒップホップで、ピアノ曲的なものを今作っているんですよ。ローハイヒップホップっていうジャンルになるんですけども、

石黒:ロウバイ!?

小松:High―Highの逆のLaw―Highです。ローハイだと聞き流せるんだけども仕事もモチベーションを上げれるみたいな。

石黒:なるほど。

小松:両方ですね。消極的な部分と積極的な部分の間を音楽に今している状態でして、是非聞いていただきたい。

石黒:いいですね。誰かラッパーとかDJと組んでたりするんですか?

小松:声だとやっぱり注意力を向けさせてしまうので、ピアノとドラムのループとストリングスみたいなかたちで、ちょっと静かなヒップホップみたいな感じですね。

石黒:なるほど。ボトルビートに使える感じではないけど、ノリノリな感じの?

小松:そうですね。ゆっくりノッていくというような・・・。

石黒:なるほど。

小松:ジワリジワリみたいな感じです。

石黒:それほんと楽しみです(笑)

小松:お送りします。

石黒:ありがとうございます。

渡部:では、どうしましょう・・・。

一同:(笑)

渡部:小松先生が作られている音源て、どこかで聞いたりできるんですか?

小松:そうですね。音楽的要素があるものは最近のサブスクリプションのシステムでAmazonであるとか、Apple MusicとかSpotifyなどで「小松正史」で検索いただいたら出てくると思います。

渡部:なるほど。先生のお名前で検索してもらえると聞けるそうなので、是非リスナーの方も興味があれば。そのうちヒップホップも出てくるということですね。

小松:そうですね。はい。ぜひとも。

石黒:はい。すみません。今回初めてのVoicyに登場ということで、登場と言うと偉そうなんですけど、すごく緊張してわけわかんないことしゃべっちゃって恐縮なんですけど・・・。それは置いておいてですね、今回の『心の不調が消える聞くだけ音トレ!』、本当にこれ画期的な本です!と言うのも音に対する注意の向け方で心の不調が治る、そういうふうに先生の方で学術的なエビデンスをベースにして語っている非常に信頼のおける内容になっています。是非ですね、「最近眠れないなぁ」とか「ちょっと私敏感すぎない?」みたいな、そういう人がいらっしゃったら是非手に取っていただけたらなと思います。

渡部:ありがとうございます。では、小松先生からもお願いします。

小松:はい。音トレって高額な機械もいらないですし、難しいことでもないので、心がけ1つで人生と言いますか、生活の意識がこんなに変わるんだというようなことを実感していただけると思うので、そういう感じで一生ものとして捉えていただければとてもうれしいです。はい。

渡部:それでは2日間にわたってお届けしてまいりました。是非『心の不調が消える聞くだけ音トレ!』、興味がある方は手に取っていただけるとうれしいです。京都精華大学教授・音響心理学者の小松正史先生とフォレストの石黒さんにお届けいただきました。お二人ともありがとうございました。

小松・石黒:ありがとうございました。

(書き起こし:フォレスト出版本部・冨田弘子)


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