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子どもに伝えたいことは「そのまま伝えて」はいけない

フォレスト出版の寺崎です。

先日、こんな記事を上げました。

今日からさっそく具体的にどんな言葉かけを親がすべきか、いくつかご紹介したいと思いますが、その前に「言葉かけの基本」とすべき考え方があります。

本書『子どもがまっすぐ育つ言葉かけ大全』には5つの言葉かけの分類があります。

  1. ほめ言葉

  2. 叱り言葉

  3. はげまし言葉

  4. 問いかけ言葉

  5. 挑発言葉

つまり、言葉かけにはバリエーションがあり、必要に応じて使い分ける必要があります。

しかも、「伝えたいことを、そのまま伝えない」ようにするのがコツだそうです。

いったいどういうことか、本書から紐解いていきます。

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言葉かけのバリエーションをもつ

ここでは、言葉かけのバリエーションについて考えてみましょう。
 親は、子どもに対してワンパターンな言い方をしてしまうことがあります。
 まずは、やりとりの例を見てみましょう。

BEFORE
子:……。〔食事後に、立ち上がって部屋に戻ろうとする〕
親:ちょっと待ちなさい。「ごちそうさま」を言ってないでしょう。
子:……言ったよ。
親:言ってない。ちゃんと言いなさい。
子:ごちそうさま。
親:食事後は、そうやってきちんと言うんだよ。
子:……。
(ああ、うざい!)

 日常生活の中で、子どもたちをしつけなければならない場面は多々あります。そういうときに、こちらのケースのように「伝えたいことをそのまま伝える」ことは、よくあるものです。
 つまり、「ごちそうさま」を言わないときに、「ごちそうさまと言いなさい」と伝えるやり方です。伝えたいことをそのままの形で言うというのは、手っ取り早いし、分かりやすいし、一言で済んでしまいます。
 しかしそれは、極めて安直な言葉ともいえます。伝えたいことをそのまま伝えて、それで子どもが言うことを聞くのであれば、子育てはとても簡単なものになることでしょう。
 ただ、現実問題として、そう簡単に子どもは言うことを聞いてはくれません。子どもに伝わるようにするためには、言葉のかけ方を工夫する必要があります。
 どうすればよいかというと、「伝えたいことを、そのまま伝えない」ようにします。
 つまり、違った角度から声かけしていくようにするのです。
 言葉のかけ方には、大きく5種類あります。
 それが、本書で展開する「①ほめる」「②叱る」「③問いかける」「④はげます」「⑤挑発する」の5つです。
 順番に、具体例を見ていきましょう。

AFTER
①ほめる
子:……ごちそうさま……。
親:おっ! 
きちんと、ごちそうさまが言えているね。いいね!【ほめ言葉】
子:うん。
(ほめてもらえた! また言うようにしよう)

②叱る
子:……。〔黙って立ち上がる〕
親:ちょっと待ちなさい。もう一度、座りなさい。
ご飯というのは、いろいろな人が準備してできているんだよ。「ごちそ
うさま」という言葉は、そうやって大変な思いをして食事を準備して
くれた人に対して感謝の気持ちを伝える言葉だよ。【叱り言葉】

子:(……そうだったのか……)
親:だから、食べ終わった後は、きちんとごちそうさまを言おうね。
子:……ごちそうさま……。

③問いかける
子:……。〔黙って立ち上がる〕
親:ちょっと待った。席に戻って。
何か忘れているように思うんだけど、分かるかな?【問いかけ言葉】
子:……ごちそうさま?
親:そう。食べた後は、きちんと言おう。マナーだからね。
子:ごちそうさま。

④はげます
子:……。〔黙って立ち上がる〕
親:ごちそうさまは、きちんと言えたかな?
その気持ちは分かる。わざわざ声に出すのは、ちょっと恥ずかしいも
んね。お母さんも、子どもの頃よく怒られていたものよ。
子:へえ……。
親:でもね、おばあちゃんが、とっても厳しい人でね。
いただきますとかごちそうさまを言わないと怒られたんだよ。
それで、言うようにしたら、習慣になった。
ごちそうさまを言うことで、食べ物とか、食べ物を集めるために用意
してくれた人に感謝できるようになったんだよ。【はげまし言葉】
ごちそうさまとか、あいさつは、なんだかちょっと気恥ずかしい。
でも、とても大事なことなんだよ。今度からは、きちんと言おうね。
子:うん。ごちそうさま。

⑤挑発する
子:……。〔黙って立ち上がる〕
親:あれ? よーく考えてね。
何か、忘れているような気がするけどなあ〜?【挑発言葉】
子:えーと……。あっ! ごちそうさまでした!
親:おっ! よく思い出したね。

 このように、「ごちそうさまを言う」という場面ひとつでも、5種類の角度から言葉をかけることができます。どの言葉が子どもに響くのかは、子どもによって異なるので、見極めが必要となります。
 
 さらに、それぞれの種類の言葉かけには10の技法があります。
 本書を読めば、言葉かけには相当に多くのバリエーションがあることに気づくことができるでしょう。「伝えたいことを、そのままの形で伝えない」ということを、子どもに言葉かけするときに心がけてみましょう。
 きっと、子どもに響く新たな言葉かけが発見できることでしょう。

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ついつい、親の立場からすると、伝えたいことをそのままストレートにぶつけてしまいがちですが、一枚上手な親はこうして子どもを促していくのですね。




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