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絶体絶命のピンチをチャンスに変える人の発想法

こんにちは。
フォレスト出版編集部の寺崎です。

フォレスト出版に入社以来、これまでたくさんの本を担当してきましたが、そのなかでもとくに今のご時世に読んで役立てていただけそうな本を取り上げ、この場を借りて試し読みコンテンツを公開することにします。

本日、ご紹介するのは5万部を突破した『なぜかうまくいく人のすごい無意識』(梯谷幸司・著)です。

こちらは著者・梯谷幸司さんによる解説動画↓

自分基準のA君と他人基準のB君の人生の分かれ道

A君とB君は、同じ有名中学に入り、同じ有名高校に進み、同じ一流大学を卒業して、同じ一流商社に就職しました。
 
A君は社会に出てから活躍していますが、B君は途中でうつになり会社を辞めてしまいました。学歴は同じこのふたり、いったいどこで何が違ったのでしょうか。

そこでふたりにこんな質問をしました。

「A君はどうしてこの高校を選んだの?」
「僕は将来、こういう仕事をやりたくて、そのためにはこういう企業に入りたくて、その企業に入るためには、この大学に行ったほうが有利だと思ったので、そのためにはこの高校がいいと思ったからなんです」
 
B君にも同じ質問をしました。
「B君はどうしてこの高校を選んだの?」
「お母さんがこの高校に行きなって言ってたからです。学校の先生も、ここは君に合うよって教えてくれました」
 

A君は、やりたいことがあって、そこから学校も自分で決めました。この傾向を内的基準といいます。それに対してB君は、特にやりたいことがあったわけではなく、進学も就職も、決め手はお母さん基準、学校基準でした。これを外的基準といいます。

内的基準だったA君は社会に出て活躍し、外的基準だったB君は社会に出るとドロップアウトしてしまったのです。

自信の決め手となる自己有能感と自己決定感

自信には、自己有能感が必要です。自己有能感とは、行動を起こして目的を達成し、「自分はできる」という感覚のこと。でもこれだけではダメなのです。

会社に入るとみんな忙しく、仕事のトラブルもよく起きます。 
「部長、トラブルが起きました!どうしたらいいでしょう⁉」
「そんなもんは自分で考えろ!」

こんなやりとりは日常茶飯事です。
先ほどのA君は、内的基準で育ってきたので自分で考えられます。

「わかりました、自分で考えて何とかします」
 
こうしてタフに鍛えられていくのです。
それに対してB君は、誰かに指示を出してもらえないと動けません。

「どうしよう……」

 そしてまたトラブルが起きます。
「部長はまた自分で考えろと言うだろうし、先輩も忙しそうだし……。どうしたらいいだろう……」
 
そんなことが度重なって自信を失い、うつっぽくなってしまいました。自信には、自己決定感が必要不可欠です。物事を自分で決めたという感覚です。

そして、自己有能感と自己決定感がワンセットになってはじめて「自信」になるのであり、自己有能感だけでは「自信」はついてこないのです。

A君は、自分がやりたいことを自分で決めて達成したから自信があります。一方のB君は、周りにすすめられたことを選択し、自己決定感が不足したままでした。

そして、「この人生はお母さんの望みを叶えたものであって、自分の望みを叶えたものではない」「これは本当の自分ではない。偽りの自分だ」という感覚、「自信がない」「やりたいことが分からない」といった前提がつきまとい、場合によっては人生を立ち止まってしまうのです。

もしB君がもっと早い段階で内的基準になっていたら、そのあとの進路は全然違うものになっていたかもしれません。

こうして人は、さまざまな判断基準によって、無意識に日常のささいなことを決定しています。それがビジネスなり健康問題なりといった人生の命運を左右していくのです。

この無意識の判断基準を「メタ無意識」と呼びます。

経済恐慌が起きるとミリオネアが増える理由

ビジネスをしていると、社会的なアクシデントや災害に左右されることもしばしばあります。そんなとき、「景気が悪くなるぞ。お客さんが離れるかもしれない。どうしよう」と考えるのが悲観基準です。

「経済の混乱期には損する人と得する人がいる。自分にとって千載一遇のチャンスかもしれない。何をすればいい?」と考えるのが楽観基準です。

以前発売された『週刊東洋経済』の特集記事に、次のような「頭の良し悪し」についての大学の研究例が紹介されていました。

◎6歳の時点で「頭の良し悪しは、生まれつきのもの(=遺伝的なもので変えようがない)」という思い込みの人は、その後の学生時代の学力も伸びない。
◎ それに対して、「頭の良し悪しは、努力次第で何とかなるもの(=自分次第で何とかできるもの)」という思い込みの人は、学生時代の学力も伸び、社会に出てからも活躍する。

つまり、その人が大切に持っている信じ込みや、背景にある前提が、勉強の成績や、所得金額など、現実的な数値的なものにも影響を与えているのです。

これまで、オイルショック、ブラックマンデー、世界大恐慌、サブプライムローン問題、リーマンショックなど、経済的打撃を引き起こす大きな出来事がありましたが、所得番付などから億万長者の発生数を見ると、それらの経済的打撃を引き起こす大きな出来事があった年ほど、億万長者が多く誕生しているということがわかっています。

普通の人は、「リーマンブラザーズが倒産したか……経済が冷え込むぞ」と、「経済が冷え込む」点に焦点を当てるのに対し、ミリオネアになる人の多くは、「誰かが損をする時は、誰かが儲けるはず」という前提を持っているため、経済的打撃を引き起こす大きな出来事があるたびに、「今回、儲けるのは誰だ? どの業種だ? そこに集中投資しよう!」と動き出すのです。

事実、経済的打撃を引き起こす大きな出来事があった年ほど、ミリオネアが多く誕生するという歴史的現象が起きます。

つまり、世の中で起きていることや、自分が働く業界、また身の回りを見るとき、「そもそも、どういう前提から見ているのか?」「そもそも、どこに焦点を当てているのか?」によって、手にする成果が違ってきます。

そして、自分の前提や焦点を探るには、起きている結果から探るのが早道です。結果として何かがうまくいっていなければ、うまくいかない前提があり、うまくいかないことに焦点が当たっているのでしょうし、結果としてうまくいっているのであれば、うまくいく前提があったり、うまくいくことに焦点が当たっているのでしょう。
 
はたして、あなたは、どのような前提から、自分の仕事や世の中を見ているでしょうか?

うまくいくことに焦点を当てて見ているでしょうか?
うまくいかないことに焦点を当てて見ているでしょうか?

貧困脳とミリオネア脳の違い

私は27歳の時、独立起業しました。何も考えずに決断し行動したので、当時の預金口座にあったのは2348円だけ。

食べるために日雇いの仕事をしながら、夜は勉強し、起業家連合の団体を作って経営者のナマの話を聞き、経営について学んでいきました。

そこで、低所得者から5年ほどでミリオネアになった5人の人に出会い、どういう人格の作り方をすればそうなれるのか共通点を探っていったのです。それを真似していった結果、私もやがて彼らの仲間入りをすることができました。

30年近く、経営コンサルタント、ライフコーチとして、4万8000人のセッションをしてきてわかったのは、物事がうまくいく人とうまくいかない人は、脳の働かせ方が逆だということ。うまくいく人は、脳の働きを利用していました。

それは、貧困脳とミリオネア脳ともいえるある種のメタプログラムだったのです。


ミリオネアの人たちは何をハッキリさせているのか?

「貧富の差は、経済的な状況の差から生まれるものではなく、言葉のスキルの差から生まれるものである」
                   デヴィッド・R・ホーキンズ博士

好ましくない記憶を放置していると、望ましくない信念、つまり恐れに基づいた信念を作り出します。脳は、喜びよりも、恐れを現実化させます。恐れはそれだけ強いのです。

しかし、普通の人ほど、この好ましくない記憶にとらわれて、恐れから物事が悪化することは少なくありません。

では、この好ましくない記憶をどう扱えばいいのでしょうか。

左があるから右という概念が存在し、上があるから下という概念が存在します。脳の中の概念というのは、対比させることで存在することができます。

普通の人は、生き残ること、安心・安全を求めて人生を生きています。

「生き残りや安心・安全」を求めると、その対比として、脳はまず苦痛な記憶を想起して保存し、苦痛な記憶が強化されていきます。そして、苦痛な記憶を保存するために、苦痛なことを作り出し、それが貧困やビジネスのつまずき、事故や病気を引き起こしてしまうのです。

その結果、「苦痛な記憶」を存在させ続けるために、「生き残りや安心・安全」を求めるという、依存し合った関係になってしまいます。

しかし、苦痛な記憶やそこから作られた信念は、外部からの力には強固ですが、内部からだと変えやすくなります。

苦痛な記憶や好ましくない記憶を利用する

そこでミリオネアの人たちがやっていたのは、苦痛な記憶、好ましくない記憶を利用する方法です。

脳はストレスがない二分法を好み、対比させることで概念を存在させようとする性質があります。そこで、苦痛な記憶、好ましくない記憶をハッキリと意識に上げることで、その逆を用意させるのです。

「儲けさせろというだけのクライアントとは仕事をしない」とハッキリ自覚することで、「儲けさせろと求めない健全なクライアントを探さなくてはいけませんね」と、脳が動き出すわけです。

ミリオネア脳の人たちは、この苦痛な記憶、好ましくない記憶を整理していました。わかりやすくいうと、「やらないことリスト」を作るのです。

つまり、自分はこれを避けたい、こういうことはしないと、自分ルールを作っていきます。あるとき、ミリオネアの人のノートを見せてもらうと、毎年「やらないことリスト」が増えていき、びっしりと埋まっていました。

ここで、メタプログラムをマスターした人にとっては、「やらないことリスト」は問題回避型と違うのか、と思うかもしれません。それにお答えしましょう。


概念は対比によって存在します。
つまり、避けたいことがあるから、欲しいものがハッキリするのです。

そこで大切なのは、徹底的に自分基準となること
避けたいことが明確で、うまくいかなかったことを学習し、自分基準で「やらない」と決断したのです。そこには恐れの感情がついていないので、自分軸という器が広がるわけです。


願望は役に立ちません。むしろ避けたいこと、やらないことを明確にし、ネガティブなものは利用する。

これがミリオネア脳の使い方だったのです。

将来の収入は子どもの時点で決まる?

1980年代以降、先進諸国で所得格差が開いてきました。日本もそうです。
アメリカでも問題になり、「貧富の差が激しいのは何が原因か突き止めろ」というホワイトハウスからの指令が出ました。

調査機関が調べて発表したのは、「子供の頃の親の態度に違いがあった」ということでした。

たとえば子供が「ゲームを買って」と親にねだることはよくあります。
将来低所得者になる子供は、お母さんに「アンタはもうゲーム持ってるじゃない。ゲームなんかしないで勉強しなさい!」と感情的に叱られるというのです。その結果、子供はお母さん基準、つまり他者基準になってしまうのです。

一方、将来高所得者になる子供は、お母さんから「じゃあ、どうしてそのゲームが必要なのか、理由を聞かせてくれる?」と、理性的に理由を聞かれます。

子供はだんだん学習するので、おねだりするときは理由を聞かれるはずだからとプレゼンするようになり、子供の交渉能力が鍛えられると同時に、何のためにこれが欲しいのかという自分基準がハッキリしてきます。こうして自分基準で判断するトレーニングがなされて育った人が、将来高所得者になるというのです。

マーク・ザッカーバーグの父親の教育方針

高所得者といえば、総資産約800億ドル超、日本円で約9兆円、長者番付で世界トップクラスになったフェイスブックCEOマーク・ザッカーバーグです。
彼こそが、この自分基準で育てられてきたよい見本といえます。

世の神童といわれる人たちがどう育てられてきたか調査したテレビの特集で、彼の父親がこんなエピソードを話していました。

ザッカーバーグが子供の頃、「お父さん、このゲーム買って」と言いました。「よしわかった。でもどうしてそのゲームが必要なのか教えてくれるかい?」

 息子は言いました。「友達のスティーブもジョージも持ってたから」

「ノー。だめだ。それでは買わない」 

やがてマークが高校生になり、家でオリンピックの中継を見ていました。フェンシングの中継を観ていたマークはフェンシングに興味を持ち、「お父さん、僕、フェンシングがしたい」と言いました。

「どうしてフェンシングがしたいんだ?」
「強くなりたいから」

 
すると父親は、翌日には大人用のフェンシング道具を一式買い揃え、「さあやりなさい」と言ったそうです。父親いわく、「みんながやってるからとか、みんな持ってるからという理由の要求はすべて却下しました。その代わり、自分がこうなりたいんだというものはすべて買い与えたのです」。

つまり、他者基準のものはすべて却下し、自分基準から発することしかやらせませんでした。その息子がやがてフェイスブックを作り上げたのです。
リッチなはずなのに、服装はいつも質素なTシャツにジーンズ。同じ服が7着あり、毎日同じスタイルなのだそうです。

―――――――梯谷幸司『なぜかうまくいく人のすごい無意識』より

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いかがでしょうか。

少しでも気になった方はぜひお手に取って見てみていただければと思います。



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