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辞表と離婚届はあなたを強くする

フォレスト出版に転職するまで、そこそこの数の会社を経験しましたが、振り返ると本当にブラック率が高かったと感じます。
とくに新卒で入った編プロは零細企業にもかかわらず、今でも5ちゃんにスレッドが立っているし、口コミサイトでは大手よりも多い数のコメントが並んでいます。もちろん、すべて低評価。
それもそのはず、このような会社でした。

◎パワハラ・セクハラ、イジメ、無視は当たり前というか、トップが率先して行う。
◎人格否定や家族に対する罵詈雑言も。20代の上司に「お前の親の教育が悪かったんだよなー」と言われたときはさすがに泣いた。
◎怒鳴り声、物を投げつける音、デスクを蹴る音など日常の一部。
◎1カ月に3日しか家に帰れない時期もあった。帰りは良くて終電、逃すと会社に宿泊か徹夜。慢性的な睡眠不足。
◎みんな臭い(帰れないから)。幹部から「臭えよ!」と罵られる。
◎入院中にゲラが届く。
◎ボーリング、クリスマス会、バーベキュー、社員旅行など、社内レクリエーションやクソ福利厚生が満載。
◎社内恋愛禁止。(どうでもいいけど)
◎飲み会禁止。(反乱分子の増殖を抑えるため)
◎今は監視カメラが設置されているらしい。
◎もちろん、情けないほどの薄給。

「すぐに辞めればいいじゃねーか!」と思うでしょうが、退職願を出してから、最終出社日までの1カ月はイジメが続きますし、仕事が忙しすぎて転職活動をする時間もありません。そして、当時は「3年間は勤めないと“すぐやめるヤツ”と思われて転職できない」と言われていたので我慢したのでした(結局、2年半で辞めましたけど)。

まあ、辞めてスッキリしましたよね。
これを読んでいる人のなかにも、現在勤めている会社に不満を持っていて、爆発寸前という人がいるでしょう。
そんな人のために、心理カウンセラーの根本裕幸さんから『なぜ、あなたは他人の目が気になるのか?』の中から、辞めるべきか残るべきか踏ん切りができない人へ向けた箇所を一部抜粋してお届けします。

それはあなたのお守りに! ポケットに辞表を忍ばせて

† 感情の背景を探れ

 仕事を続けるのがいいのか、転職すべきなのか……カウンセリングでは当然そうした話題に触れることも多くなります。私はカウンセラーなので、「どうして辞めたい気持ちになるのか?」という感情、気持ちについての質問が多くなります。
 たとえば、「仕事が面白くないから」という気持ちにも、さまざまな感情的背景が考えられます。仕事の中身が単純作業の繰り返しで飽きてしまっている場合もありますし、職場の人間関係がギスギスして居心地が悪い場合もありますし、苦手な上司と馬が合わなくて苦労している場合もあります。
 そのとき、私は「自分がしたいことは何?」という質問をよくさせていただくんです。正直な気持ちは何?という意味で。
 たとえば、上司が変わったら今の会社にいることが幸せに感じられるのでしょうか? それとも、上司が変わろうが変わるまいがこの仕事を辞めたいと思うのでしょうか?
 そこでポイントとなるのが「自己評価」です。

† 過激だが効果絶大の宿題

 あなたは自分のことをどれくらい信じられるでしょうか?
 どれくらい自分のことを高く評価しているでしょう?
 つまり、どれくらい今の自分に自信が持てるか? が大事なんです。自己評価が低いと、他者評価に依存することとなり、他人軸になってしまいます。それだと自分が行動を起こす際にどうしても受け身に回ってしまいます。
「こんな実力のない自分なんて転職しても同じことを繰り返すだけ」とか「ほかの人はうまくやっているのにあの上司とうまくできないのは自分がダメだからだ」と思い込んでしまったら、思い切った行動はできませんよね。
 それは転職すべきかどうか?という課題のときはもちろんですが、ふだんの業務のなかでも、自分が取り組みたいプロジェクトがあってもそれを提案することに躊躇してしまうでしょうし、部内の意思疎通に問題があると気づいたときも改善案を提出する勇気が持てないでしょう。
 そんな職場において自己評価が低くなっている方に、ちょっと過激な宿題を出してみることがあります。
「辞表を書いてみてください」

† 辞表と離婚届はあなたを強くする

 一度、辞める、ということに意識を向けてみることで、視点を変えるのです。「死んだ気になりゃなんでもできる」という昔ながらの言葉がありますが、それをアレンジしたようなものです。
 何人ものクライアントさんにこれを書いてもらいました。
 そうすると、不思議なことに気持ちが強く、大きくなります。たとえば、今までなら我慢してしまっていたことも上司にどんどん言うようになったり、取引先に対しても今までとは違うより強い態度に出られるようになります。
 もちろん、その一方で辞表を書いたら清々しい気持ちになって、「やっぱり本当にこの会社を辞めたいと思っていたんだ」と本音に気づいた方もいます。
 ある人は、いつもスーツの内ポケットに辞表を忍ばせて出勤していました。
 彼は古い考え方の上司といつも衝突し、ずっと我慢を繰り返してきたのですが、「いざとなればこの辞表を叩きつけてやる!」と思いながら、上司と話をしてみると、不思議なことにそんなに抵抗なく彼の意見を上司が受け入れたのです。
 その後も、不思議と彼の意見を上司は尊重してくれるようになったんです。ある日、上司との面接で彼は意外な言葉を耳にします。
「最近の君はとても頼もしく思っている。以前は実力はあるがどこかひ弱な感じがして、素晴らしい提案を持ってきてくれてもイマイチ説得力に欠けていた。しかし、最近の君は一皮剥けたように意志の強さを感じるし、きちんと筋が通った提案をいつも上げてくる。何かあったのかね?」
 辞表を書く、というのは「覚悟を持つ」ことにつながります。そうすると自分では気づかないうちに意識が変わり、積極的だったり、強く出られたり、意思をはっきり持てるようになったりするのです。
 ご紹介したのは仕事編ですが、夫婦編でも相談に来られた方に「離婚届」を書いてみることをおすすめすることがあります。一度、意識を反対側に振ってしまうことで見方が変わるし、しっかり「今」と向き合おうという覚悟が生まれるのです。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。

(編集部 いしぐろ)


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