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人の「行動特性」は再現性が高い――過去にとった行動にはウソがない

フォレスト出版編集部の寺崎です。

今日はこちらの記事の続きです。

前回記事では面接の際に「エピソードを引き出すこと」の重要性についてお伝えしました。

ところが、そこで終わってしまってはいけないと著者の小野さんは釘を刺します。いったいどういうことか?

ベストセラー『経営×人材の超プロが教える人を選ぶ技術』(小野壮彦・著)からひもといていきます。

「それで? それで?」を繰り返すディープ・ダイブの技術

 ただし、ここで注意したいことがある。
 それは、単にエピソードを聞いただけでは、表面的な話で終わる可能性があるということだ。
 例えば、「それまでやっていたやり方だと、1日に50個しか送れなかったんですが、私の考えたやり方に変えたら、1日に120個送れるようになりました」という元流通関係者のエピソードに対して、「なるほど、そうですか」で終わってしまったら、判断材料としては全く足りない。
 
〇「その50から120にするときって、どれだけ大変だったんですか?」
〇「それに対して反対する人たちはいましたか?」
〇「その結果、会社の新しい事業につながったりしましたか?」

 
 このように、「そうですか」で終わるのではなく、気になるポイントがあったら、深掘りしていくことが大事である。これを「ディープ・ダイブ」という。

〇「そのエピソード面白いですね。で、どうなったんですか?」
〇「それはあなたが考えたんですか?」
〇「それをやろうと思ったきっかけは何だったんですか?」

小野壮彦『経営×人材の超プロが教える人を選ぶ技術』より

ただ、ちょっと気になるのは、こうした「ディープ・ダイブ」でどんどん詰めていくことはズケズケと相手の懐に踏み込むことにならないでしょうか?

これに対して著者の小野さんは「気にすることはない」と断言します。

 ズケズケと踏み込むことに躊躇(ちゅうちょ)する人もいるだろうが、ベースのエピソードは基本的に〝自慢話〟のはずなので、そこにディープ・ダイブされても、あまり人は嫌な気分にはならない。

小野壮彦『経営×人材の超プロが教える人を選ぶ技術』より

なるほど、たしかに「自慢話」だから、そんなイヤな気持ちにはならないかもしれません。というか、逆に気持ちいいかも。

採用面談をする機会があるビジネスパーソンであれば、この「ディープ・ダイブ」はぜひ覚えておきたいテクニックの一つです。

本書では、こうした「エピソードから入る面接の本質的なメリット」についても触れています。

人選びに必要なのは「意見」ではなく「ファクト」

 エピソードから入る面接の本質的なメリットは、「事実=ファクト」のみを、純粋に抽出することができることにある。
 例えばチームマネジメントについて聞きたい場合、「あなたの理想のチームマネジメントスタイルは?」と聞いてしまうと、「ひとりひとりをエンパワーして、みんなの力が、10から100になるようなチームをつくることです」というふうに、単なる「意見=オピニオン」を聞かされるだけで終わってしまう可能性がある。
 しかし、「チームマネジメントでうまくいったときの話をしてください」と突っ込んで聞けば、意見ではなく事実を話すしかなくなる。もちろんウソをつくことは可能だが、「そのときにどうしました?」「どんなかたちでしたか?」「どんな状態でしたか?」とディープ・ダイブをしていくことで、メッキをはがすことができる。
 必要なのはファクトであって、オピニオンではない。しかし、多くの面接会場が、「そのような場合は、こうするべきだと思います!」といったインタビュイーの意見表明の場になってしまっている。意見はあくまでもフィクションだ。その人の実態でも、能力でもない。人を見る上では必要のないことである。
 加えて、「感情」も人を選ぶ際には不要な要素である。「そのときどんな気持ちだったか?」「怒ったのか?」「うれしかったか?」……そうした感情は「再現性」があまりない。そのときの雰囲気やシチュエーションに左右されるからだ。
 それよりも、大事なのは前述の「行動特性」である。
 エモーションではなく、何をしたかというファクトである。
 なぜなら行動特性は再現性が高いからだ。
 例えば、〝多くの人たちが反対していても、やるべきだと思ったら突破する〟というエピソードを語っている人は、似たようなことが起こった場合、やはり同じような行動を取る可能性が高い。

小野壮彦『経営×人材の超プロが教える人を選ぶ技術』より

ここまでの話をまとめると・・・
①あくまでも「エピソード」を引き出すことに注力する
②ディープ・ダイブすることで「意見」ではなく「事実」を抽出する
③再現性がない「感情」の要素は排除する

・・・ということになります。

ひと言でまとめるとすれば――

「行動特性は再現性が高い」

だから、インタビュアーは相手の行動特性を引き出す質問を繰り返す必要があるというわけです。

まさに今日の午後、中途採用の編集者の採用面談が1件あるのですが、本書『人を選ぶ技術』のメソッドを駆使して、ディープ・ダイブしたいと思います!


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