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大人の「問いかけ」で子どもが育つのはなぜか?

フォレスト出版編集部の寺崎です。

これまで『子どもがまっすぐ育つ言葉かけ大全』(三好真史・著)から引用して「ほめ言葉のポイント」「叱り言葉のポイント」をご紹介してきました。

今日は子どもをグンっと伸ばす効果がある「問いかけ言葉」について、『子どもがまっすぐ育つ言葉かけ大全』から一部抜粋してご紹介します。

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問いかけ言葉とは

 これから先は、未知の時代がやってくると言われています。
 AI(人工知能)が発展して、人間の知識をAIが超えるシンギュラリティ(技術的特異点)も近いのではないかといわれています。
 AIがAIを作り出すような世界が、これからやってくるかもしれないのです。
 そうなれば、どんな問題が起こるか分かりません。
 未知の問題に対応できる力を身につけておかなくてはいけません。
「言われたことを言われた通りにだけできればよい」のではなくて、自分の頭で考える力が必要となるのです。
 では、どうすれば「考える力」を育てることができるのでしょうか。
 そのカギは、「問いかけ言葉」にあります。
 問いかけ言葉とは、親から子どもに投げかける質問の言葉です。
 問いかけ言葉は、生活面のあらゆる場面に活用することができます。
 問いかけにより出される答えは、親からの押しつけではありません。
 子どもが自ら考えて出した答えです。
 親は、子どもが考えた意見を達成できるようにサポートします。

 ここで、その「気づき」が起こる仕組みをミクロレベルから考察します。

 上の図は、A細胞が情報を発信して、B細胞の受容器がそれをキャッチする様子を表しています。
 このように、近隣の細胞へ作用することを「パラクライン」と言います。
 ところが、A細胞から発信された情報は、自分自身にも作用していることがあります。
 これを「オートクライン」と言います。
 人でいうならば、AさんはBさんに応こたえながら、自分自身にも話をしているということになります。
 ちょっと難しいでしょうか。

 では、実際にやってみましょう。

「あなたの身の回りに、赤いものはありますか?」
「丸いものはありますか?」
「布でできたものはありますか?」

 ……さて、探すことができたでしょうか。
 今、あなたはこれらの質問に答えようと、部屋の中をグルグルと見渡したはずです。
 そして、答えを見つけ出しました。
 答えを探す過程を経てから、あらためて周りを見てみてください。
「こんなところに、赤い時計を置いていたんだ」とか、「部屋の片隅にボールが2個あるんだな」とか、「カーテンが2枚ある」というように、元からあるものを再認識しました。
 これによって、より部屋の様子がクリアになったのではないでしょうか。
見ているものは変わらないはずだけど、質問されることによって、改めて見渡して、答えを探すことにより、部屋の様子が鮮明に見えるようになるのです。
 子どもの思考についても、同じことが言えます。

親:○○くんは、高校を卒業した後には、何になりたいんだ?
子:うーん、文章を書くのが好きだし、まとめるのが得意だから、将来は
新聞記者になりたいかな……。
親:じゃあ、大学でやることは、何にすればいいのかな?
子:うーん……文系の大学に行って、知識の幅を広げることかな。
(そうか。自分はこんなことを考えていたのか。将来のことが、ちょっと見えてきたぞ……)

 親から問いかけられることで、子どもは答えます。答えを探すことによって、子どもは自分が何を考えているのか、何を求めているのか、何をしたいと思っているのかを明らかにしていきます。
 答えは、子どもの中にあるのです。
 それを見つける手伝いをするのが、「問いかけ言葉」であるといえるでしょう。

 問いかけ言葉を伝えると、答えが出るまでに時間がかかるものですから、じれったく感じられるときがあるかもしれません。しかし、問いかけることにより、子どもは自ら考え、学び取り、行動を自己決定していくことができるようになります。
 アドラーは、「人間は、自分自身の人生を描く画家である」という言葉を残しています。子どもが子どもの人生を切り開くのは、まぎれもない子ども自身です。まさに子どもが、人生の主人公であるということを感じさせなくてはなりません。
 時間がかかろうとも、ねばり強く、子どもの答えが出るのを待ちましょう。

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いかがでしょうか?
問いかけ言葉の意義を簡単にご紹介しました。
では、実際にどのように問いかけ言葉をかければよいか。
また改めて別の記事でご紹介してまいります。


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