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優等生が好きな上司、劣等生が好きな上司

上司というのは、デキる部下を求めるものです。
しかし、そんな部下はめったにいません。使い物にならなかった自分の若い頃を棚に上げて、ないものねだりをしてしまうわけです。
一方で、デキない部下を好む上司も、一定数いるそうです。
どういうことでしょうか?
部下にマウントを取れたり、自分の地位が脅かされないからでしょうか。
5月の新刊の鈴木邦成『はかどる技術』を読むと、そんなショボい理由ではなさそうです。

以下、関連した箇所を抜粋して掲載します。
これを読むと、むしろデキない部下を好む上司のほうが合理的な考え方をし、かつ上司の考え方として正しいことに気づかされます。


優等生が好きな上司と劣等生が好きな上司

 上司にとって「理想の部下」とはどんな部下なのでしょうか。
 理想かどうかということではありませんが、「どのような部下を好むか」は2種類に分けられます。
 それは「優秀な部下が好きな上司」と「できない部下が好きな上司」です。
 優秀な部下が好きな上司というのは至極当たり前でしょう。誰でもしっかり仕事をこなしてくれる部下がいれば「鬼に金棒」と考えることになるのですから。
 しかし、ある意味、不思議に思えますが「できない部下を好む上司」というのが一定数いることも否定できません。
 プロ野球の名監督として知られた野村克也は「再生工場」の異名を持つほど、ダメになった選手を立ち直らせたことで知られています。またダメになった選手だけでなく、くすぶっていた選手、才能を十分に発揮できていなかった選手を一流に育て上げるのを得意としていました。
「それなら最初から優秀な選手をそのまま育てればいいじゃないか」と思うかもしれませんが、そうではなくて「できない選手を覚醒させる」というところに才能があったようなのです。

伸び悩む部下の滞りを解消できる上司

 江戸時代中期の米沢藩の大名で名君といわれた上杉鷹山も不遇な人物を重用し、改革を断行したことで知られています。
 優等生というのは、何事もそつなくできたり、意識も高かったりすることから、上司が何もしなくてもタスクをうまくこなしてしまいます。そのため「部下の手柄は自分の手柄」のように感じることがうれしい上司ならば、できる部下は大歓迎といったところでしょう。
 ほんの少しだけヒントをいえば、何もかもわかってくれることもあります。難易度の高いプロジェクトや最高峰を目指す際には不可欠な存在ともいえるでしょう。
 その代わり、少しでもよい条件の職場があったり、やりがいの感じられるポジションが与えられたりしようものなら、取り込み中のタスクを放棄してもそちらに移ってしまうということもあります。
「現在の仕事は面白いと思いますが、よりやりがいがあって、条件もよい仕事が見つかりました」といわれて、去っていくことも十分、考えられるのです。

 もっといえば、そもそもそれだけの人材はなかなか集められないかもしれません。
「優秀な部下がいればなんとかなるのに」と思っても、それこそ現実離れした希望かもしれないのです。
 けれども、優等生ではない人材の場合、むしろ「その場に居場所を見つけないといけない」と考え、必死になることも少なくありません。そこに効果的なアドバイスやサポートが加われば、大化けする可能性も出てくるのです。
 先に述べた野村克也や上杉鷹山といった優秀な上司はそうした「才能ある劣等生」を見逃したりはしませんでした。彼らが大化けすれば、生来の優等生以上の大戦力となることを知っていたのでしょう。
 劣等生の滞りをいかに解消するか―これも上司の大切な役割といっていいと思うのです。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。

(編集部  石  黒, )


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