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#305【フリートーク】担当編集者が地味に驚いた担当書籍に書かれていたトンデモ事実

このnoteは2022年1月11日配信のVoicyの音源「フォレスト出版チャンネル|知恵の木を植えるラジオ」の内容をもとに作成したものです。

渡部:フォレスト出版チャンネル、パーソナリティの渡部洋平です。今日は編集部の石黒さんと放送していきたいと思います。石黒さん、よろしくお願いします。

石黒:よろしくお願いします。

渡部:では、フォレスト出版チャンネルと言えば、いつも素晴らしいゲストが来てくれるので、今日もそんなゲストがいるんでしょうか?

石黒:いません。本日は私と渡部さんの2人です。

渡部:いないんですね。では、今日は石黒さんがどんなお話をしてくれるんでしょうか?

石黒:私が担当した書籍で、雨宮純さんとの著書の『あなたを陰謀論者にする言葉』を読んで、私が地味に驚いたことベスト3を発表したいと思います。

渡部:なるほど。石黒さんが担当された本を取り上げて、解説していただけるという感じなんですかね?

石黒:そうです。

渡部:なぜこの本を?

石黒:フォレスト出版チャンネルの245回、246回に著者の雨宮さんにご出演いただいたんですけど、結構評判がよかったので、リスナーの方も興味があるんじゃないかなと思いまして、取り上げたいなと思いました。

渡部:なるほど。ちゃんと反応を見てのチョイスなんですね。

石黒:そうです。

渡部:あと、地味に驚いたベスト3って、なんで地味になんですか?

石黒:この本って、ガチで驚く箇所がいっぱいあるんですよ。ただ、それをここで発表してしまうと、どうしても読む楽しみを奪うような気がしちゃったので、あえて地味に驚いたっていうふうにしているんですけど。それでもかなりインパクトがあると思います。

渡部:なるほど。つまり読者の方へのネタバレを防ぐと同時に、これよりもっとすごいことが書いてあるぞっていう、販促的なことを考えた、戦略的な・・・。

石黒:そうですね。販促的ではなく、戦略的なアピールです。

渡部:なるほど(笑)。わかりました。ということで、今日は雨宮純さんの著書の『あなたを陰謀論者にする言葉』の中から、編集担当の石黒さんに地味に驚いたベスト3を発表してもらいたいと思います。その前に、そもそもこの『あなたを陰謀論者にする言葉』をお読みでない方も多いと思いますので、簡単に解説していただけますでしょうか?

石黒:はい。やっぱりコロナ禍で、陰謀論が流行しましたよね。そうした陰謀論にハマることの危険性について警鐘を鳴らすことを目的にしているんですけど、同時にオカルトとかスピリチュアルとか、自己啓発的な事象、出来事っていうのが、実は陰謀論と繋がっているんです。点と点だったものが、実は一本の線で繋がっているんだよっていうのを歴史を追いながら綴っている本で、資料的価値もかなりある本じゃないかなと思っております。

渡部:そうなんですか。うちもスピリチュアル、自己啓発が多いので、ちょっとフォレストっぽくない本ではありますよね。

石黒:そうなんですよ。ある意味、スピ批判、自己啓発批判も含まれているので、カウンターとなると思うんですよ。ただ、まあフォレスト出版っていう社名通り、豊かな森には多様性があるのかなって。同じフォレスト出版の中にもベクトルが違う本が出ることは、むしろ健全なんじゃないかなと、私は考えています。で、会社もこの企画を通したっていうことは、そういった心意気を持っているということなので、私としても非常にありがたいことかなと思います。

渡部:なるほど。これは自社批判に溢れた本なんですね。

石黒:まあ、溢れてはいないですけど(笑)。

渡部:すみません(笑)。実はまだ読んでなかったので。石黒さんはそもそもスピリチュアルとか、自己啓発とかをあんまり手掛けていることがない気がしますが、あんまり好きじゃないんですかね?

石黒:まあ、普通の自己啓発とかは作っているんですけど、好きとか嫌いとかじゃなくて、僕自身あんまり熱中できないんですよ。のめり込めないって言うか。ただ陰謀論については結構突拍子のない話とかあるじゃないですか。ああいうものをネタとして面白がってはいるんですけど、スピとか自己啓発についても、それが自分が生きる上で力になったりとか、それで夢が叶ったとか、そういうことであれば全然問題ないし、むしろ否定するべきものではないとわかってはいるんですね。ただ、実はスピとか精神世界、自己啓発っていうものが反社会的な文化とか、わかりやすく言えばマルチ商法とか、あと陰謀論とか、そういう胡散臭いものの入り口になる可能性があるなとは思っていて、まさにそのことについて書いたのが、『あなたを陰謀論者にする言葉』っていう本になります。

渡部:なるほど。あくまで考え方とか、ツールと言いますか、よく言う「包丁は人を傷つけるのか、美味しい料理を作るのか」みたいな話もありますけど、近いですね。

石黒:確かに、そうかもしれないですね。

渡部:興味深い本なので、興味がある人は読んでほしいなあと思いつつ、ちなみにこの本は売れているんでしょうか?

石黒:はい。お陰様で初動がよくて、発売1週間ぐらいかな。重版が決まりました。うれしかったのが、ミュージシャンの大槻ケンヂさんが読んでくださって、ツイッターで紹介してくれたんですよ。ちょっとそのコメントを読ませていただきたいんですけど・・・

“雨宮純さん著「あなたを陰謀論者にする言葉」ライブ終わりのホテルで読了。スピ、ニューエイジ、陰謀論などの歴史が整理されとても面白かった。”

とても面白かったって、非常にうれしいですね。中学時代に筋肉少女帯の音楽とか、ラジオを聞いたりとか、あと大槻ケンヂさんが書かれた『グミ・チョコレート・パイン』シリーズを全部読んでいたので、非常に自分としては胸熱でしたね。

渡部:それはすごいですね。しかも歴史を整理したものとしても価値があると石黒さんがご自分でおっしゃっていたのを大槻ケンヂさんもおっしゃっていて、まさに・・・。

石黒:そうなんですよ。

渡部:素晴らしいですね。

石黒:はい。では、ちょっと前置きが長くなっちゃったのですが、雨宮純さんの著書、『あなたを陰謀論者にする言葉』を読んで、私が地味に驚いたことベスト3を発表したいと思います。

トンデモ事実① 山口県2カ月女児硬膜下血腫死亡事件

渡部:第3位は何でしょうか?

石黒:はい。「山口県2カ月女児硬膜下血腫死亡事件」です。これは、2009年に山口県で生後2ヶ月の女の子が硬膜下血腫で死亡したんですよ。なぜ死亡したかって言うと、赤ちゃんに必要なビタミンKを助産師が与えていなかったんですね。なぜ与えていなかったかって言うと、助産師の人が「ホメオパシー医学協会」っていう団体に所属していて、ビタミンKの代わりの「レメディ」っていう、彼ら、彼女らが言うところの「レメディ」っていうものを与えていたんですね。その中にはビタミンKなんて入っていないんですけど。で、それを与えていたのに母子手帳にはビタミンK投与と虚偽の記載をしていたんですね。それが原因で赤ちゃんは死んでしまったという事件が記されています。「レメディ」っていうのが、いわゆるホメオパシーにおける薬なんですけど、信じている方がもし聞いていたら申し訳ないんですけど、いわゆるオカルトですね。そういう科学的な知識よりも自分の信仰を優先させたことによって、無関係な乳児の命を奪ったというのは非常にやりきれないなと思って、ここで僕が思い出したのが、「ズンズン運動」っていうのが昔あったんですよ。

渡部:言葉だけ覚えています。

石黒:赤ちゃんとかの首をズンズンとねじったりすることによって、赤ちゃんの免疫力が上がるっていうことをやっているNPO法人があったんですよね。そこでもやっぱりその施術を受けた乳児が死亡するっていう事件があったんですけど、そのNPO法人が私の出身地でもある新潟県の法人だったので、すごくインパクトがあって、それに近いものがあるなという感じなんですよね。で、この「ズンズン運動」をやっていたNPO法人のホームページには「ズンズンというゆらぎの振動とこの抱っこで宇宙に包まれた私たちの体の成長を感じて生きていける」みたいなことが書いてあるんですよ。「宇宙に包まれた」、これって、この本で言えば、あなたを陰謀論者にする言葉だったりするんですよね。こういう表現があったら、ちょっと身構えた方がいいかなと思います。

渡部:ありがとうございます。これが第3位ということで、相当信仰に近い感じがしますね。第3位からちょっと気持ちが重くなるような事件でしたが。

石黒:そうですね。

渡部:では、第2位にいってみたいと思います。

トンデモ事実② ピザゲート事件

石黒:はい。第2位は「ピザゲート事件」ですね。これは簡単に言うと、2016年に発生したんですけど、ヒラリー・クリントン陣営から流出したメールに含まれるチーズとか、ホットドッグとか、ピザという食べ物に関する単語が児童売買を表す暗号であると陰謀論者が考えたんです。で、それが巡り巡って、いつの間にかワシントンにあるピザ屋の「コメット・ピンポン」の地下には児童売春施設があって、民主党の幹部が関わっているという陰謀論が瞬く間に広まったんですね。

渡部:すごいですね(笑)。

石黒:そんなばかな話、普通は信じないんですけど、これにハマっちゃった人はいて、実際に2016年12月4日に銃を持った男がピザ店に行って、銃撃事件起こしたんですよ。

渡部:ええ・・・。

石黒:陰謀論って、そこまで人を狂わせるんだなって思ってですね。

渡部:すごいですね。何を根拠にこういう実際ないであろうことが、その人の中で真実として出来上がっていっちゃうんでしょうね。すごいですね、これ。

石黒:そうなんですよね。これも面白いところが、結局その「コメット・ピンポン」っていうピザ屋さんに地下があるっていうふうに言われていたんですけど、実際地下室なんていうのはないんですよ。やっぱりこういう荒唐無稽な推測で理解できない行動に人を駆り立てるって、本当に陰謀論って恐ろしいなって思っていて、ただ彼らなりにも論理があるんですよ。例えば、この「地下室」というキーワードも1つのあなたを陰謀論者にする言葉なんですよ。というのも、「オルレアンのうわさ」ってご存じですか?

渡部:わからないです。

石黒:都市伝説として有名なんですけど、フランスの都市のオルレアンっていうところで流行した話で、「ブティックの試着室に入った女性が忽然と消えてしまう事件が相次ぎ、誘拐された女性は60人にもおよぶ。実は事件が起きている6件のブティックは地下通路で繋がっており、消えた女性は麻酔を打たれて地下に運ばれている」。こういう都市伝説があるんですね。で、日本に輸入された時は、それがいわゆる「だるま女」。「旅行先の試着室で忽然と消えた女子大生が別の国で見世物にされている」みたいな。そういう伝説もあるんですけど。こういう地下とか、地下室っていうのって、陰謀論者の心をくすぐるみたいなんですよ。だから、この「ピザゲート事件」の地下室っていう言葉も陰謀論者にとっては真実味があると言うか、引っかかる部分があったんだろうなというふうには推測しているんですけどね。

渡部:なるほど。何が本当で何が本当じゃないのか、わからないですね。新潟で子どもが誘拐されて、北朝鮮がやっているみたいな話も、当時としてはそんなはずがないって思っていたのが何十年か経ったら本当だったみたいな。

石黒:それは逆のパターンですね。

渡部:逆のパターンですよね。

石黒:実は陰謀論が真実だったというパターンは少なからずあったりはするんですけど、まあ、それはまた別の話ですね。

渡部:そうですね。もしかしたら石黒さんがまた話してくれるかもしれませんけど、自分がそうだと思ったら、バイアスがかかりますもんね。

石黒:そうなんですよ。だから、この間Voicyで雨宮さんがおっしゃっていたんですけど、ハマりそうだなっていう時に周りにちゃんとコミュニケーションを取れる友達がいるといいんですけど、そうじゃないネットの世界に入っちゃうと、同じような仲間しか周りにいないので、自分が信じた陰謀論の根拠、エビデンスをどんどん探すようになっちゃって、それで陰謀論に染まってしまうっていう、そういうパターンが見て取れますよね。

渡部:コロナとか、コロナワクチンもまさに分断を作った感じがしますしね。

石黒:本当にそうですよ。

渡部:ちなみに、前回の放送のURLもここに記載しておきますので、雨宮さんのお話しの回をまだお聞きでない方はぜひチェックしてみてください。

石黒:面白いですよ。ぜひ、聞いてみてください。

トンデモ事実③ ケイティ・メイ死亡事件

渡部:では、石黒さんが地味に驚いた第1位の発表をお願いします。

石黒:はい。地味に驚いた第1位は、「ケイティ・メイ死亡事件」。3位から1位まで全部事件なんですけど・・・。

渡部:僕はむしろ事件しかないのかと思いました、この本。

石黒:そういうわけじゃないんですよ(笑)。

渡部:そういうわけじゃないんですね。

石黒:「ケイティ・メイ死亡事件」っていうのは、本文ではなくて、注釈に入っている単語なんですよ。級数で言うと、中級くらいの小さい文字で書かれている事件なんですけど、内容としては、アメリカの「プレイボーイ」のモデルのケイティ・メイという方が脳卒中で亡くなったんですね。その原因はカイロプラクティックの施術を受けたことが原因だったんです。僕はびっくりしたんですけど、カイロプラクティックの起源ってスピリチュアルにあるって書いてあるんですよ。いわゆる代替医療。結構街中にもカイロプラクティックってあるじゃないですか。その起源がスピリチュアリズムにある。どういうことかと言うと、カイロプラクティックの創始者がダニエル・デヴィッド・パーマーっていう人なんですけど、この人は元々、スピリチュアリズムを信仰していて、カイロプラクティックについても、異世界からのメッセージを受け取って、開発したっていうことなんですよ。

渡部:そうなんですか。

石黒:異世界からのメッセージで生まれたのが、カイロプラクティックっていうんですよ。

渡部:へー。僕は普通に整体とかマッサージみたいな。そういうものなのかと。

石黒:だから、僕は地味にびっくりしたんですよ。「そうなんだ!」と。もっと科学的な根拠があるのかと思ったら、そっち系だったんだって。そういったお仕事をされている方もいるし、僕自身もそこまで危険なものとは思わないんですけど、やっぱりカイロプラクティックで検索すると、整形外科医の方たちが、「カイロプラクティックは危険で、施術を受けて病院にやってくる人も結構いますよ」みたいなコメントも結構あるので、「はぁ~」と思って、先に紹介した「ズンズン運動」ってあるじゃないですか。「ズンズン運動」は名前からして、ちょっと胡散臭いなと思うんですけど、カイロプラクティックって別にそんな胡散臭い印象はなかったので、びっくりしたっていうのを、衝撃すぎて、1位にしました。

渡部:はい。ありがとうございました。ここまで地味に驚いた3つを紹介してもらいました。驚いたのは驚きましたけど、へーって感じの。「何へー」みたいな感じで。

石黒:(笑)。そうなんですよ。

渡部:ありがとうございます。ただ注釈から持ってきたってことなので、本編も相当ヤバい事件が・・・。事件ばかりじゃないのか。

石黒:まあ、事件も他にもいっぱい出てくるんですけどね。「UFOアブダクション事件」とか。宇宙人に連れ去られたっていう話とかね。

渡部:なぜみんなが信じて広がっていくのかみたいな、仕組みとか、例えばそれがどう危なく利用されているのかみたいなことも書いてあるんですかね?

石黒:そうなんですよ。あと、「マーフィーの法則」とかあるじゃないですか。マーフィーも自己啓発の人とかがよく読む本なんですけど、あのマーフィーを日本に最初に紹介した人っていうのがまたろくでもない人なんですよ。

渡部:ろくでもない(笑)。

石黒:すごく僕の中では衝撃的だったんですけど、それはちょっと本編を読んでいただきたいので、ここでは話せないんですけど、結構「あれとあれって繋がっていたの!?」みたいな。そういった話が満載なので、400ページぐらいあって、結構分厚い本なんですけど、一気に読めると思います。

渡部:なるほど。何か意図を持って、誰かの都合がいいように持ってこられている情報みたいなものがあるんですかね?

石黒:ありますね。

渡部:それ自体が陰謀かもしれないみたいな。何を言っているのか、わからなくなってしまいますが(笑)、まずは『あなたを陰謀論者にする言葉』、おもしろそうなので、ぜひチェックしてみて欲しいと思いました。では、実は明日もまた石黒、渡部体制でお届けしていきたいと思います。

石黒:すみません。お付き合いください。

渡部:はい。少しでもタメになったなとか、面白いなと思った方は明日もぜひ聞いてください。明日もちょっと似たようなテーマと言えば、似たようなテーマですよね。情報の取り扱いと言いますか。

石黒:ちょっと近いですね。

渡部:わかりました。では、石黒さん、ありがとうございました。

石黒:ありがとうございました。

(書き起こし:フォレスト出版本部・冨田弘子)


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