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本業フリーランスとして安定収入を得るために気をつけておきたい3つのこと

先週、先々週と2週にわたり、北野哲正『フリーランスになって、「こんなはずじゃなかった!」と思ったら読む本』の抜粋記事を掲載しました。

基本的に私の記事は、他の編集者が書いた記事よりも「いいね」の数が少ないのですが、上記2本の記事については比較的たくさん評価をいただいています。おそらく、このnote読者にも多くのフリーランスの方がいらっしゃるのだろうと思います。
実際、近年はフリーランス人口が増えています。

ランサーズ『新・フリーランス実態調査 2021-2022年版』より

昨年、政府も増加するフリーランスが不当な不利益を受けることがなく、安定的に働くことができる環境を整えるために、フリーランス保護新法を成立させ、今年の11月から施行される運びとなっています。

弊社でも先日、フリーランスとの方とビジネスパートナーとして良好な関係を継続すべく、同法に関する研修会が行われたばかりです。

さて、そんな注目を集めるフリーランスですが、やはり当事者として、特にフリーランスになったばかりの人が気になるのが、フリーランスとして安定的な収入を得ることができるかということでしょう。
以下、前掲書『フリーランスになって、「こんなはずじゃなかった!」と思ったら読む本』から、安定的かつ継続的な仕事を獲得するため気をつけなければならない3つのポイントをまとめた箇所を一部抜粋・改編して掲載します。


①薄利多売はあなたを疲弊させるだけ

 本業フリーランスは仕事を獲得できなければ死活問題ですから、会社員としての収入があった副業時代よりも、同業者の存在を意識することになります。
 仕事のクオリティに変わりがなければ、仕事を発注するクライアント側にとっては、言葉は悪いですが「誰でもよい」というのが現実です。だからこそ、同業者のライバルよりも誠実に納期を守って、自分でなければ提供できない付加価値を身につける必要があります。
 ところが、一部の本業フリーランスはこう考えてしまうのです。
「ライバルに仕事を奪われたくないから、単価をもっと下げて、ライバルよりも多くの仕事を受注しよう!」
 もし値下げをして仕事を増やすことができたとしても、ライバルがより低い報酬で仕事を受けるようになったら……あなたならさらに値下げを検討しますか?
 前述したように、スキルと知識を売り物にして請負仕事をしているフリーランスにとって「労働量=報酬量」です。つまり薄利多売というスタイルは、あなたの人的リソースを激しく損耗することを意味します。
 あなたの時間、体力、気力のすべてが、見る見るうちに疲弊していくことになるからこそ、薄利多売に手を出してはいけないのです。
 中には「でも受注が途切れないなら、仕事を通して知識や技術が磨かれるので悪いことではないのでは?」と考える人もいるかもしれませんが、薄利多売には疲弊すること以外にも大きなデメリットがあります。
 それは既存の顧客に対して値上げが難しいということ。
 副業や本業を問わず、現役でフリーランスとして活躍している方なら共感してもらえると思いますが、既存の顧客に対して「今後は〇〇〇円値上げします」と伝えた場合、「じゃあ、他の人に頼みます」と逃げられてしまうリスクがあるのです。

②その仕事はコストに見合っている?

 フリーランスとして働き続けるためには、「コスト」についてもきちんと見積もる必要があります。なぜなら、せっかく仕事を受注してもコストが見合わない仕事なら、長期的に受注すればするほど損をしてしまうかもしれないからです。
 ここで言うコストとは、経済的なコストだけではありません。身体的コスト、時間的コストを含む、すべての「手間」のことです。

(中略)

 手間とその仕事で得られる報酬を天秤にかけたときに、時給がいくらくらいになるのかを計算してみましょう。その金額が低かったうえ、負担が大きいせいで合間に他の仕事を引き受けられなかった場合、割に合わない仕事になります。

(中略)

 もちろん、コストに見合わないという理由だけで仕事を断ったり諦めたりしろとは言えませんが、そのせいで割のいい仕事を受注できなくなり、見えない損失がかさんでいくリスクについては、常に心に留めておく必要があります。

③細く長い仕事をたくさん取ろう!

「骨折り損のくたびれ儲け」とでもいうような、コストに見合わない仕事はできるだけ避けたいものですが、だからといって、高額の仕事ばかり狙うのもよくありません。
 たとえば、あなたが中堅の経営コンサルタントで、週に一度、1時間ほどの打ち合わせで1年間に200万円の報酬がもらえる、非常に「おいしい仕事」をある中小企業と契約できたとします。しかし、クライアントは売上のアップや経営の改善を期待して年200万円の外注費をあなたに支払っているのですから、効果を実感してもらえなければ、翌年の契約更新は難しくなります。つまり、一気に収入が200万円減ってしまう可能性があるわけです。
 翌年も200万円の売上がある見込みで生活をしていたのに、それがなくなってしまうと困ってしまいますよね。
 そのため本業フリーランスは「細く長い」仕事を、複数取るようにしたほうがいいのです。
 具体的には、月5万円をもらえてコストがあまりかからないような、継続的に受注できる仕事が「細く長い」仕事です。
 月5万円の仕事を3件受注して年180万円の収入が見込めるほうが、1件で年200万円もらえる仕事よりも、実は長続きする可能性が高くなります。
 なぜなら、月5万円ほどの出費ならば、クライアントの企業に何か問題が起きても契約を解除してくる確率は低いからです。
 また月5万円の仕事の場合、3件のうち1件が不運にも契約解除となっても、年200万円の仕事がなくなるよりダメージが小さく、他の仕事で損失を補填しやすいのです。

 そして、これまで解説してきた①~③を守るために大切になってくるのが、営業のための料金表を用意することです。
 自分の報酬を自由に設定できることは、フリーランスのメリットの1つです。
 事前に自分の単価を計算し、わかりやすい料金表をつくっておくことで、営業をスムーズに行えるようになりますし、料金トラブルも未然に防ぐことができます。
 業種にもよりますが、フリーランスはクライアントと雇用契約を結ぶわけではないので、時給換算で2500円を下回る場合は一般的に注意が必要となります。
 とはいえ、クライアントの価値基準も関係してくるため、料金表は同じものを使いまわすのではなく、クライアントごとに変えてもOKです。また、既存の顧客に値上げするのは難しいですが、経験を積んでから獲得した新規の顧客に対しては、できるだけ更新した料金表を提示するようにしましょう。


今回ご紹介した本はこちら。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

(編集部 石ぐろ)

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