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6月日記

晴耕雨読とはまったくいかず、仕事プライベート共にごたついてあまり本を読む時間が取れなかった6月。
でも映画はたくさん観たよ。とても楽しかったよ。本と違って必要確保時間が明確に分かるのが映画鑑賞のよいところ。

■映画(映画館で観たもの)

・流浪の月

大好きな李相日監督の作品。
「悪人」の時の港や「怒り」の時の浜辺など、これまで水辺の撮り方が印象深かったが、今作も月に続く湖畔のシーンが綺麗でそこだけでもずっと見ていたくなった。
カーテンで現在/過去に切り替わる演出や、傘の中に入った瞬間音がフッと消えるシーンが小説では出せない味が合って良かった。
ただこれまでの作品を担当していた久石譲、坂本龍一の音楽が好きだっただけに、今作はあまりBGMが耳に残らなかったのがやや残念。


・カモンカモン

自分の気持ちを上手く言語化出来ないが故に、別の誰かになり代わって喋ったり、嘘をついたり、知らない風を装ってしまう。
それが更に「風変わりな子」としての印象を加速させてしまい、より本音を心の中に閉じ込めてしまう。
そんなジェシーに無理矢理話させるのではなく、本当の感情とまず向き合ことから始めようとするジョニーの姿勢が素敵だった。


パリ13区

何かが起きそうで何も起きないthe フランス映画みたいな作品。
多様な国籍、言語、文化のキャラクターが出てくるものの、最近ありがちな「多様性認めよう」みたいなストーリではなく、むしろその差異に全く触れないことで「ラベル云々関わらず結局みんな別の人間だよね」というようなメッセージを感じた。


犬王

史実やストーリー構成含め「なんでもあり」のゴタゴタエンタメ作品。
序盤の正統歴史物ぽい感じにブレイクダンスやテクノポップといった現代演出が入り始めたタイミングで、その「なんでもあり」感を楽しめる頭に切り替えられるかどうかが作品全体の満足度を左右しそう。

他のアニメ映画とは似ても似つかないズッシリとした個性の映画を見たなという満足感は得れるものの、松本大洋の作画にしかり湯浅監督の演出にしかり、諸々のクセが強く、見る人を選ぶ作品だなと感じた。


神は見返りを求める

「さがす」の佐藤二郎に然り、普段コミカルなイメージの俳優さんがシリアスな演技をする時のゾクゾクする感じが好き。
ヒメノアールの時も感じたけど、人間の「多面性」を肯定も否定をせずに表現しきる監督さん凄い…。


■本(初めて読んだもの)

生命式

うわっ!クレイジー沙耶香だ!!というような作品盛り沢山の短編集。
相変わらずぶっとんだ倫理観の内容が多いものの、他作品に比べ主題が明確に提示されている分読みやすく、人に村田沙耶香をおすすめする際の一作目として適当な本棚と思った。
他の人の感想を読んでると「生理的に不快だった」と書かれている人も一定数いたが、ではなぜ不快と感じるのか?を自問自答してみると、今まで認知していなかったアイデンティティに気づけるかもしれない。


わたしの美しい庭

映画で見た流浪の月が面白かったので、凪良ゆうさんの著作を初読。
言葉選びや話の展開が特別独創的なものではないものの、ネガティブな状態に陥っている人の心情とその周りで寄り添う人との距離感を表現するのがとても上手な書き手さんだなと感じた。


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