もりすけ

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  • じゃれ本

    ショートショート連作ゲーム「じゃれ本」で作った作品集

  • ランダウのスープ

    ランダムなウミガメのスープ、略してランダウのスープの対戦ログ

  • 詠み人知らず

    一文字ずつ書きあって滅茶苦茶な川柳・短歌を作るゲームの記録

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じゃれ本作品『未来への天ぷら』

「平太!」 曇天に響く声は、ここコロモ商店街の風物詩だった。 「いっけねぇ、忘れるとこだった。サンキュー母ちゃん!」 家から飛び出す少年平太、彼はまだ知らない、自分がこの世界の救世主となることを。 そう、シケッたこの世界のテンションをアゲアゲに揚げる天ぷらの物語はここから始まる。  *  *  *  平太は出前の定食を載せて自転車で走りだした。 「今日は植木屋のヤス吉おじさんの所か。あっ、天ぷら定食じゃんか。冷めねえうちに急がねえと。」 平太は自転車のスピードを上げた。魚

    • じゃれ本作品『あの子は寿司』

      「腹が減ったなぁ」 原川が言うと二人が頷いた。いつも通りの帰り道だが、今日の授業は3限終わりで、昼メシはまだであった。 「そうだ、最近駅前にできたレストランに行かないか。」 織田が目を輝かせて言った。  *  *  *  「うん、行こう。」原川と中野は織田の意見に賛同した。そのイタリアンレストランに入ると、カウンター席に座った少女が目に入った。 黒いワンピースに身を包み赤い帽子をかぶった、まるで鉄火巻のような少女だ。  *  *  *  「かわいい、、」 原川は席につ

      • じゃれ本作品『ラスト桃太郎』

        時は西暦3000年。 島に隕石が落ちた。 隕石は全て破壊した。 桃太郎は死んだ 猿は桃太郎の死を知り 埋めることにした。 そして骸から木が生え 大きな林檎が実った。 猿は林檎の木に登り、 もいだ実を蟹へ投げた 蟹は実を受け取り、 重さで潰れてしまう。 潰れて液状化したら、 蒸発し、消滅した。 そして、世界に新たな トリビアが生まれた。 「千利休の本名は、 ジョニーデップ」 納得せざるを得ない。 「やむなし」 そう叫ぶとお爺さんは 「八

        • じゃれ本作品『春野菜とエンドウ豆のポタージュに浮かぶ贖罪』

          ここは亀海町の郊外にある「キッチン・ウミガメ」。若い頃はフランスで修行を積んだという主人とその妻が切り盛りする小さなレストランで、お手頃な価格で美味しい家庭料理が楽しめると地元住民から評判である。 いつものように地元のご婦人方が少し遅めのランチに花を咲かせていると、ある男が入店した。 「いらっしゃいませ、1名様?」 店の接客を担う店主の妻が聞くと、男は黙って頷いた。男は季節外れの黒いコートを身にまとい、これまた黒い帽子を目深に被っている。男は店のご婦人方の奇異の視線を一身に

        じゃれ本作品『未来への天ぷら』

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        記事

          第4回ランダウのスープ「九十九里浜のウミガメ」

          わたしはその日を待っているよ、カメオ。 ランダウのスープは出題者のいないウミガメのスープです。一般的には「ランダムウミガメのスープ」「無限ウミガメのスープ」として知られています。 ルールなどの詳細は、こちらをどうぞ。 参加者 今回からハチが参戦。彼は「聞く専」ですが、エキセントリックなお題や質問に定評のあるトリックスターです。 正誤判定はbotであるもりすけ君がランダムに行い、参加者を追い詰めます。 問題 昔々、2019年のお話です。とある九十九里浜にウミガメと田島藍

          第4回ランダウのスープ「九十九里浜のウミガメ」

          じゃれ本作品『路地裏の逃走』

          でも私、もう少し自分で頑張ってみようと思うの。 複数人でショートショートを連作する「じゃれ本」という遊びがあります。 ルールは基本的にリレー小説と同じですが、「じゃれ本」では直前の人が書いた文章しか読むことができません。この縛りにより、不思議な物語ができあがります。 この記事では私たちが生み出したショートショート作品を紹介します。 『路地裏の逃走』賑やかな街を行く人々は見向きもしない。いや、そこに空間があることにすら気づかない。 そこは路地裏、すべてが通り過ぎる街の余

          じゃれ本作品『路地裏の逃走』

          第3回ランダウのスープ「地図から消えた町」

          ランダウのスープはランダムなウミガメのスープとして知られる、出題者のいないウミガメのスープです。「ランダウのスープ」は私たちが勝手に読んでいる名前で、インターネット上では「ランダムウミガメのスープ」「無限ウミガメのスープ」などとして知られているゲームです。 ルールはこんな感じ。 問題を考える必要がないのでいくらでも遊ぶことができますが、すべての手がかりがランダムに決まるのでプレイヤーの想像力が試されます。 詳しくはこちらをどうぞ。 参加者 正誤判定は私たちのSlac

          第3回ランダウのスープ「地図から消えた町」

          じゃれ本作品『アメイジング真実』

          「おじさん、一緒に歌おう」 複数人でショートショートを連作する「じゃれ本」という遊びがあります。 ルールは基本的にリレー小説と同じなのですが、「じゃれ本」では直前の人が書いた文章しか読むことができません。この縛りにより、ひとりでは書けないような不思議な物語ができあがるというものです。 私たちのSlackにはこの「じゃれ本」をオンラインで遊ぶためのbotが生息しており、暇を持て余したメンバー達が筆力を競い合っています。 この記事では私たちが生み出したショートショート作品

          じゃれ本作品『アメイジング真実』

          じゃれ本作品『天から零れ落ちたスイカ』

          君はこちらにいるには――スウィートすぎたのだ 複数人でショートショートを連作する「じゃれ本」という遊びがあります。 ルールは基本的にリレー小説と同じなのですが、「じゃれ本」では前の人が書いた文章しか読むことができません。この縛りにより、ひとりでは書けないような不思議な物語ができあがるというものです。 私たちのSlackにはこの「じゃれ本」をオンラインで遊ぶためのbotが生息しており、暇を持て余したメンバー達が筆力を競い合っています。 この記事では私たちが生み出したショ

          じゃれ本作品『天から零れ落ちたスイカ』

          詠み人知らず作品集・弐(短歌)

          私たちのSlackワークスペースには「詠み人知らず」botが生息しており、時折各々が暇なときに「詠み人知らず」というゲームで遊んでいます。 「詠み人知らず」とは、五七五の一文字ずつを別の人が書き込んでいくことにより、変な俳句や不思議な俳句を読んで楽しむ遊びです。 ご本家様のルールでは五七五の俳句となっていますが、私たちは五七五七七の短歌でも遊んでおり、文字数が多い分訳のわからないものができやすいため好評です。 また、最近はできた歌や句に対して勝手に解釈をつけて教養を深める

          詠み人知らず作品集・弐(短歌)

          詠み人知らず作品集・壱(短歌)

          私たちのSlackワークスペースには「詠み人知らず」botが生息しており、時折各々が暇なときに「詠み人知らず」で遊んでいます。 「詠み人知らず」とは、五七五の一文字ずつを別の人が書き込んでいくことにより、変な俳句や不思議な俳句を読んで楽しむ遊びです。 ご本家様のルールでは五七五の俳句となっていますが、私たちは五七五七七の短歌でも遊んでおり、文字数が多い分訳のわからないものができやすいため好評です。 また、最近はできた歌や句に対して勝手に解釈をつけて教養を深めるなど、独自の

          詠み人知らず作品集・壱(短歌)

          第2回ランダウのスープ「グラスを傾けて」

          ランダウのスープはランダムなウミガメのスープとして知られる、出題者のいないウミガメのスープです。簡単に言うと、 ①問題の前半と後半を別の人が考えて問題を生成する ②質問に対するYES/NO答えをランダムに判定する ③それと矛盾しない回答をプレイヤーが提示する ④正誤判定をランダムに判定し、正解判定でクリア というゲームになっています。 「ランダウのスープ」という名前は私たちが勝手につけて勝手に呼んでいます。 詳しいルールは次の記事を参照してください。 1回目の様子は次の記

          第2回ランダウのスープ「グラスを傾けて」

          第1回ランダウのスープ「スモウレスラー・カメオ」

          ランダウのスープはランダムなウミガメのスープとして知られる、出題者のいないウミガメのスープです。簡単に言うと、 ①問題の前半と後半を別の人が考えて問題を生成する ②質問に対するYES/NO答えをランダムに判定する ③それと矛盾しない回答をプレイヤーが提示する ④正誤判定をランダムに判定し、正解判定でクリア というゲームになっています。 詳しいルール説明は、以下の記事を参照してください。「ランダウのスープ」という名前は私たちが勝手につけました。 質疑応答の部分が長いので、手っ

          第1回ランダウのスープ「スモウレスラー・カメオ」

          ランダウのスープで遊んでみよう!

          この記事では、ランダウのスープというゲームの遊び方を紹介します。 ランダウのスープは、私たちが勝手に呼んでいる名称で、もともとはランダムなウミガメのスープとして知られています。 ランダムなウミガメのスープに関しては、以下の記事も参考にしてください。 ランダウのスープとはランダウのスープは、ウミガメのスープをランダムにしたゲームです。 ウミガメのスープを遊んだことのない方は、以下のサイトなどを参考に是非そちらから遊んでみてください。 通常のウミガメのスープは、ある問題

          ランダウのスープで遊んでみよう!