目指すは究極の山 自伐型林業をインタビュー
近年自然災害による被害が頻繁に目につくようになったと思いませんか。
各地で集中豪雨や大型台風の発生、猛暑、土砂災害など多くの災害が懸念される日本ですが、これらの災害は防ぐことのできないものだったのでしょうか。
土砂災害の中には、林道や作業道の崩壊が原因のものあります。広い道を作ることはその分大きなリスクを背負うことになっています。
つまり広い道を作らないことで災害を未然に防ぐことができるかもしれません。
先日弊社の社有林にて「崩壊しにくい森林作業道作設研修会」が行われました。森林の環境を守るためにもこのような研修会はとても大切だと思いました。
↑ 講習会の様子
崩壊しにくい道にするためには、広い道よりも狭い道の方が良いんです。
今回は狭い道をつけていく「自伐型林業」についてお話ししたいと思います。
自伐林業とは言葉の通り、自ら伐採する林業のことです。
🥺 < 言葉の意味は分かるけど具体的に教えてよ!
そう思われた方もいるのではないでしょうか。
正直私にも説明するほどの力はありません...😓
そこで!
今回は、フォレストバンクで自伐型林業に携わっている伊藤さんと庄野さんにインタビューを行いました!
(安福)本日はよろしくお願いいします!
(伊藤さん、庄野さん)お願いします!!
今後は以下のように省略して表記します。
伊・・・伊藤さん
庄・・・庄野さん
安・・・安福
①なぜ自伐型林業なのか
(安)なぜ自伐型林業に取り組もうと考えたのですか?
(庄)現在日本では皆伐が進められていますが、それは山にとって1番いいことではないんです。
自伐型林業に参入できるのであればそっちの方が良いという考えでいました。
そんな時にフォレストバンクで自伐型林業をさせていただく機会があったので取り組み始めました。
(伊)私は前の会社で皆伐を行っていましたが、山を痛めている感じがありました。
(伊)自伐をしてみたいという気持ちがある時に自伐型林業のお話をいただき取り組むことになりました。
②皆伐?自伐?何が違う?
(安)皆伐と自伐の違いは何ですか?
(庄)皆伐は山の一部分を一気に切るので、その分山にダメージが与えられます。
自伐は老化した木など選別して切るので大量に切ることはありません。そのため山の自然環境が守られます。
(伊)また皆伐は一部分の木が一気になくなるので台風の被害などが受けやすくなります。
③自伐型林業のメリット・デメリット
自伐型林業のメリット・デメリットをお聞きすると以下のようにわかりやすくまとめてくださりました!🙌
(安)一気にお金が入らないということは収入がなく生活が困難になるのではないでしょうか。
(庄)自伐型林業や自伐林業に取り組んでいる方は他のお仕事と掛け持ちしてらっしゃる方が多いです。
例えば、農家と自伐林業の掛け持ちや自伐林業をしながら講師として他の林業家のところへ指導しに行ったりする方がいます。
④女性×自伐型林業は難しい?
(安)近年、女性の林業界への参入が見られますが、大型林業機械を使わない自伐型林業は女性の参入は難しいのでしょうか?
(庄)いいえ!そんなことはありません!
自伐型林業は大きく広い道を作りませんので、チェーンソーを持って長い距離を歩くことがありません。そのため移動の負担は軽減されると思います。
(伊)大型林業機械が使えないからと言ってすべて人力でするわけではありません。3トンほどの機械は使用できます🙆♂️
また女性の方が細かい作業が上手な気がします。女性にもピッタリですよ。
↑ 3トンほどの林業機械(※ちなみにこの写真の方は男性です🥺)
⑤今は〇〇をつくってます!
(安)今取り組んでいる自伐型林業の1日の主な作業は何ですか?
(庄)今は道を作っていってますね。幅2mで2トントラックがぎりぎり通れるくらいの道幅です。
(伊)これ以上大きな道幅にすると山が崩れてしまいます。崩れると取り戻すことは難しいです。
↑ 道幅の広い山
↑ 道幅の狭い山
(安)なるほど。
最終的には長さ何mくらいの道を作ろうと考えているのですか?
(伊)12kmほどの道を作ろうと考えています。
おそらく10年くらいかかると思います。
(安)10年もかかるんですか!!大変ですね・・・
ちなみに道を作る場所はどのように決めているんですか?
(庄)山の地形に合わせてできるだけ緩く上がれるように作ります。
半永久的に使える道を作っています。
⑥理想は究極の山づくり
(安)現在取り組んでいる自伐型林業の最終的な目標などはありますか?
(庄)そうですね。人がコントロールすることで天然林に近い木々があり、自然環境がいい山にしたいです。まさに究極の山づくりですね。
自分の代だけでも、この場所だけでも、経済的・環境的にいい山にしたいです。
(伊)私は動物が好きなので、生き物がたくさんいる山にしたいです。多種多様な生き物が生活していける環境の良い山にしたいです。
あと気軽に行けるような山にしたいです。
ふらっと来て自然に癒されるような場所にしたいです。
⑦今後の林業界の夢
(安)最後になりますが、お二人は今後の林業界がどうなればいいと思いますか?
(庄)1950年代は山師と呼ばれる人が今より多くいました。今は増加傾向にありますが、とても少ないんです。
林業が誇りになるような業種になってほしいです。
また山の環境を意識した施業方法をしてほしいですし、国もそのような方針で行ってほしいですね。
(伊)私も庄野さんと同じで林業従事者がもっと増えてほしいと思いますね。
また伐期を過ぎた山も皆伐以外のやり方を検討してほしいです。
人工林ばかりにするのではなく天然林も大切にしてほしいです。
広葉樹も増えてほしいです。
ありがとうございました
(安)本日はありがとうございました!
(伊、庄)ありがとうございました!!
最後に庄野さんがこんなことをおっしゃっていました。
今回自伐や皆伐の話をさせていただいたのですが、必ずしも100%皆伐が
ダメだということはありません。
それぞれの山に合ったやり方で行ってほしいです。
小規模皆伐でしたらいいのではないかと考えますね。
大切なのは自伐だから、皆伐だからという点ではなく、
山に合ったやり方なのか、その方法は山にとっていいものなのかという点だということですね。
山に合ったやり方にすることで、自然災害の被害を最小限に抑えることができるのではないでしょうか。
皆さんが今回の記事を読んで山を、木を大切にしようという気持ちができるととてもうれしいです🌱
最後までお読みいただきありがとうございました😭
質問等ありましたらコメントにてお待ちしております。
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筆者: Yasuhuku
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