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女の子とみる墨田川の花火か?いとことみる宮城(地元)の花火か?

「そーいや、今日花火大会あるっちゃ。」
ばあちゃんが、急に言い出した。

いとこ「雨降りそうだけどなー、源ちゃん試しに行ってみっか。」
そう、花火開始30分前の会話だが、田舎だとこれが通用するのだ。ちなみに源ちゃんとは呼ばれていない。

花火会場までは、歩いて7分。
だが、いとこは車で行こうと言う。

「どうせ人いねえんだがら、その辺止めるべ」

しかし、会場近くまで来ると、ポリ公たちが交通整理をしている。

「こりゃだめだぁ。戻るべ。」

1 仕切り直して歩いて会場へ。

あー、この道懐かしい。

子どものころから、毎年夏休みは帰っていた。そして、花火大会を見るのが恒例だった。

しかし、社会人になって、コロナで大会もしかり、宮城に行けなくもなって、ずいぶん行っていなかった。花火は上がり始めていて、会場に行きながらでもよく見えた。

会場に着くと、思いのほか、混んでいた。
「まあ。4年ぶりだからなぁ。源ちゃん、食いたいものある?俺がおごってやるよ。」

なんか、この感じも懐かしい。宮城と東京を行き来した時に、ホームにいるやつがよくおごっていたなぁ。

じゃあ、焼きそば見ながら花火見るのエモくね?

「それいいなあ」

焼きそばは500円に値上がりしていた。

ついでに、飲み物もいいすか?買う場所は、・・・・どこにも売ってなくね?

そう、普通祭りの屋台が出てれば、どっかしらに売っていそうだが、どこにも売っていないのだ。飲み物になりそうなのは、ハイボールとビールとかき氷しかない。するといとこはこういった。

「まあ、店側も売る物は自由だからなぁ。わざわざ飲み物売らないっしょ。田舎の祭りは適当なのよ~」

そういうもんなのか笑

花火は中盤に来ていた。どうやら、15分くらいの規模らしい。

立見席しかなさそうだなぁと、河川敷まで歩いていくと、

余裕で階段に座れたwwwめちゃくちゃ特等席だ。

焼きそばを食べながら見る花火は最高にエモかった。

やきそばが主役である。

「東京だと、座って花火を見ようとすると金取るんやろ。何千とか何万とか。ありえねぇわ。誰のための花火だよ。普通の人は見れねぇやん。金儲けは許せんよな。」

まったくもってその通りだ。花火は本来、有志で町の人のために、金持ってる企業とかがやるもんじゃないのか。

そして、花火の金もうけがどうでもよくなるくらいの、世間を揺るがす大きな闇に気付いてしまった。

「おい、いとこよ・・・・この焼きそば・・・・」

いとこ「ああ、お前も闇に気付いてしまったか・・・・。この焼きそばの中には・・・・」


「肉が入ってねぇんだ泣」


・・・・まあ、花火を見る場所代を差し引けば御の字だろう。そして、いとこ越しに撮った花火との写真は、心なしか、サマータイムレンダのジャケットになりそうな画だった。


花火が何発か上がった後、がっつりスポンサーの宣伝が入る。「ただいまの花火は、○○の提供でした。」
「○○商業ー」「あー、ここはおれんちの近くだ。」
「○○会社ー」「ここもちけぇな。」
「○○商店ー」「おお、むかしよくいってだなあ。」
店の数も限られるので、宣伝効果が抜群なのだろう。
そして、いとこは言った。

「きれいな迫力ある花火を打ち上げる会社は、いい~~~会社だ。」


おもろい視点だったので、花火が上がるために、「ここは熱心だな。」「しょぼい、ここはブラックや。」「ここはアイデアあるからフレキシブル制だな。」とお互いに評価しながら見た。




そして、最後と思われる花火が終わり、ナレーターも3分以上しゃべらなくなった。

おいいとこ、さすがにこれは終わりだよな?

「いんや、ここの花火をなめちゃあかんよ。50%の確率で、何食わぬ顔で打ち上げ始めるぞ。」

んー、もう50%は?

そりゃもう、終わりってことや。


追加で3分待っても音沙汰がなかったので、帰ることにした。会場の人たちも、え?あるの?と困惑している感じで、2割くらいは帰り始めていた。

会場を抜け少し経った頃、

「パン!」

花火が上がった。

嘘やろwwwwww

いとこも笑って言った。

「な、言ったやろ?」


そして、いとこはつづけた。

「んまあ、こんな感じでゆるいけど、おらぁ、墨田川の花火大会より、こっちの花火大会の方が好きだぁ。」

分かる。そうなのだ。隅田川の花火大会は、予定たてないといけないし、人混みで前に進めないだろうし、金払わないと落ち着いて座れないだろうし、そもそも暑いし、どうせホテルも満杯で、いいことなくて多くのカップルが別れているだろうざまぁwwwって感じだし。
個人的感情が入ってしまった失敬。

「あー、早く宮城帰りて。んで、ばあちゃんちに住むわ。源ちゃんも宮城の方がいいって思うやろ?一緒に宮城帰ろうや笑」

いとこは、社会人になってから、港区で働いている。

分かるわ。おれも宮城の方が自然たくさんあるし、俺に合ってて好きだけど、東京の楽しさも捨てがたいよなぁ。何でもあるし。

「あー、それも分かる。でも、東京うるさいし、魚も米もまずいし、きたねぇんだよなぁ。まず空気が違う。渋谷は町も人間もきたねぇし。」

渋谷に関しては激しく同意である。あと、歌舞伎町と名古屋市栄のお前らは○ぬまで許さない。呪ってやる。

感慨にふけりながら、少し涼しくなった夜道を帰った。

おい、いとこ。宮城もいい。東京も捨てがたい。そんな君にいいこと教えてやるよ。




さいたまはいいぞ。

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