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こんな海がきれいなド田舎で結婚式かよ


「私も、実は結婚するんだよね!」

社会人7年目のゼミ旅行で、Yちゃんの唐突な「クリスマス結婚発言」のあとに、Nちゃんが言った。
こんなクリスマスの夜に結婚式かよ!|フォレストナイト|note

「え、どこで?」

連れの女子たちがはしゃぎながら聞くと、

「静岡!」

「えー!絶対海きれいだよね~!」

・・・・・・。俺はこの時思った。

「静岡、ど田舎やん。」


1 Nちゃんストーリー

Nちゃんは、某国立大学で同じ学科の女の子だ。
めちゃくちゃできる系の女子で、またの名を「ミス・パーフェクト」となるほどだ。そして、周りのことを考えて動けるし、気遣いも完璧なので、周りの信頼が厚い。そして、すごいのがなっちゃんは覚えている限り一度も大学の授業をさぼらず、ノートも分かりやすくまとめていた。
天才型より、努力型。そして、教え方が抜群にうまい。テスト前は、なっちゃんが俺たちに勉強会を開いてくれた。そう、みんなのお母さんだ。

それでも、4年に1度くらいのたまに、ぽかやらかしたときに、
「あーらら、Nちゃん。これじゃあmissパーフェクトだねぇ。」とからかったら、周りの女子から罵詈雑言が飛んでくるほどだった。

Nちゃんとは逸れるが、大学入学前の「スプリングフェスティバル」というイベントで、オレは「カツオ」というあだ名をつけられた。理由はほんとにしょうもない。

隣に座ったやつが長妻(ながつま)というやつで、
「呼びづれぇな!おい、中島!」と呼んだら、
前のやつが「じゃあお前はカツオだな。」と呼びやがった。
文字起こしすると、当時の俺もしょうもないアホなのだが、


「おいカツオ」

「カツオ早くしろ!」

「カツオ、次の授業なんだっけ?」

「カツオ!久々に飲みに行くぞ」


まさか、そのあだ名が4年間、そして社会人になっても呼ばれるとは思いもしなかった。


大学3年生の時に、Nちゃんと同じゼミになった。男子3人女子3人。教授も女性だったのと、先輩も女性3人だったので、おしとやかなゼミだった。
Nちゃんは、自分の芯をしっかり持っていて、卒論で研究したいテーマもはっきりしていた。
「自分が将来やりたい職業に役立つ研究がしたい!」との思いが強く、確かなデータに裏付けられた完璧な卒論を書いた。

「Nちゃんについていけば間違いない!」

なんだかんだでオレもNちゃんと同じ職業になることにしたので、
Nちゃんみたいな卒論のテーマにしたら、教授から、
「んー。つまんない。カツオはもっと面白いテーマにして!」

そして、ひねり出したテーマは、

「告白の成功・失敗と行動・感情の関係」


である。「うん!これならおもしろそう!」

よく、教授も認めてくれたものだ。

理系チック+海外の研究も参考にしようみたいなゼミで、パソコン音痴+英語しゃべれない系大学生だったオレは悲鳴を上げた。そんなときも、Nちゃんは、データの分析の仕方や、英語の訳し方を教えてくれた。


卒業の日。Nちゃんは毎年、学科のトップの成績優秀者に送られる「大学賞」みたいなのをもらった。
GDP(成績)でいうと、楽単を取りまくった+なっちゃんに教えてもらった授業は完璧だった俺の成績が、学科トップだったらしいが、
教授陣の話し合いにて、

「いや、アラサー君はない、Nちゃんでしょ」


と満場一致で決まったと、風の噂だったか、直接言われたか定かではないが聞こえてきた。
俺が大学賞をもらったら、暴動が起きるだろう。Nちゃんが大学賞をもらって本当によかった。学生、教員、全人類が納得の結果だった。



卒業旅行はバリ島だった。Nちゃんはプランを考えたり、予算からできることを計算したり、そこでもミス・パーフェクトぶりを発揮した。そして帰国から3日後くらいに、10分以上のダイジェスト動画を送ってくれた。めちゃくちゃ完成度が高くてビビったし、一生の宝物になった。

2 そして、結婚式当日。

眼下には一面の海。Nちゃんの白いドレスは、静岡の海に映えていた。ノリがよく優しい旦那さんと、堅実でやさしいNちゃんは本当にお似合いの夫婦だった。

式も中盤になり、定番のカラードレス当てクイズになった。
ゼミのメンバーは、満場一致で、「青」でしょ!となった。

プロフィールムービーの写真に、「卒論発表会」の写真があったのだが、実はこの日、「ゼミのメンバーで身に付けるものの色をそろえない?じゃあ、青にしよ!」と決めていたのだ。これは、Nちゃんが俺たちに残してくれた重要な伏線に違いないと踏んだ。
とはいえ、60人以上いる会場。今まで当たった試しがなかったので、Nちゃんがあとで見てくすっと笑ってくれればいいなと思い、ネタに走った。


肩書きから職バレするので伏字だが、「名字+社長」みたいな感じで、お偉いさんがいる中で、そう呼ばれたらおもろいなくらいのノリだった。ただ、お堅い職業なので、多少の顰蹙を買うかもしれないという一抹の不安はよぎったが、多分当たらんし、飲めないのに一丁前にワインも飲んで、テンションがおかしかったのもあった。

そして、引いた瞬間、
Nちゃんは一瞬「うわ。」みたいな顔をして苦笑したが、すぐに顔を取り繕った。
新郎が読もうとした瞬間、Nちゃんが紙を取り上げ、こういった。

「いつも呼んでいる名前で呼ばせていただきます。カツオ~!!!」


ほんとに俺が当たってしまったwww
人生初である。

そして、思った。
Nちゃんとっさの行動で、めっちゃ気が利くやないか!
そのまま呼ばれてたら、お偉い社長どもに首根っこをつかまれ、強制退出となっていただろう!
そう、Nちゃんは、最後まで「ミス・パーフェクト」だったのだ。

そして、これからNちゃんは「ミセス・パーフェクト」として、家庭を支えていくのだろう。

総括して、静岡の結婚式は最高だった。

Nちゃん、本当に結婚おめでとう。


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