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マッチング廻戦(上玉・玉砕)~花ちゃん・上野動物園編~3回目②

3 動物園in

花ちゃんは、「わー!かわいい!」「見て!こっち見てる!」などとお手本のような楽しみ方をしていた。

多分オレは、生物学的に興味があるので、かわいさよりも、繁殖方法とか、生態とか、餌とかに興味津々だった。

それでは、俺のドン引きトークを一つ紹介しよう。

マングース編

源「花ちゃん見てこれ!」
源「マングースは、優性遺伝子を残すために、限られたカップルしか子孫残せないらしい!残りは子供の世話だって!えっ、キム○クとくどう○ずかやん!やべー!」と興奮。

花ちゃんがどんな反応をしていたか覚えていないが、文字に起こすとわかる。

ドン引きである。


なんかそのあとも、「岩のてっぺんにいる猿のボスの行動心理を眺めさせてほしい。」と花ちゃんを引き留めたりした気がする。

そして、

間もなく動物園を出ようかというところで、フラミンゴだかの柵の前で、花ちゃんが急に叫んだ。

「あぶない!」

引きつった花ちゃんの目線を見ると、パパに抱きかかえられた1歳?くらいの男の子が柵から乗り出そうとしているところだった。
パパは「こらこら」と笑っていた。

花「ねえ、何も感じなかった?」

花ちゃんはこちらを見ずにつぶやいた。

源「え、まあ、もし柵の向こうに落ちちゃったらと思うと怖いけど、パパちゃんと抱っこしてたし大丈夫だったかなあと。」

花「私はすごくこわかった。私だったら、絶対子供から目を離さない。だって、これで死んじゃうかもしれないんだよ。」

そのあと、しばらく花ちゃんは無言だった。


4 次の目的地「21時のアイス」へ

花ちゃんが、インスタで見つけてくれた場所だ。
案内しようと、googlemapを起動しようとしたら、なんと

電池が切れていた。


そう、ここでADHD特性が発揮される。前日に充電をし忘れて、そのままデート直前まで放置してしまったのだ。

花ちゃんに謝り、行き先を調べてもらった。慣れない案内で、なんとか場所に着くも、

店員「テイクアウトのみなんですよね!」


なぬ?

迂闊だった。いつもの俺なら、事前に調べていた。しかし、どこか自分の中で甘えがあった。テイクアウトという選択肢もあったが、この寒空の下で、アイスはさすがにきつい。あったかい店内だからアイスがうまいのだ。

源「ま、別のカフェさがそっか!」

花ちゃん「・・・・うん。」

めちゃくちゃ落ち込んでいた。

スマホが使えないので、目に入ったそごうとか、でかめのデパートのカフェに入ろうと提案した。

しかし、上野のくせに、どこも満杯で1時間待ちのところもあった。

やっとのとこで、「パンダ茶房」というところを見つけた。
若干、ぼってる気もするが、座れるだけましだろう。

源「ま、このパフェおいしそうだし、ここにしよっか!」

花ちゃん「いや、ここはやだ。だって、せっかくだから、、、私はもっといいところに行きたいの・・・。」

源「・・・・分かった。もうちょい探してみよっか!」

結局、そのあとも全然見つからず、何とか上野駅から近いビルの、「椿屋茶房」で30分待つことになった。

そして、メニューと店の雰囲気を見て思う。

(あれ、これじゃ結局パンダ茶房と変わらなくね・・・?)
思っていたことが、若干顔に出てしまったのだろう。

花ちゃん「ねぇ、正直疲れちゃった?」

源「え、まあたくさん歩いたからね。ちょっとだけ疲れたかな。」

花ちゃん「いや、たくさん私が振り回しちゃったから。なんかごめんね。」

源「いや、こちらこそ、そもそもスマホ電池切れていなければ、こっちも案内できたわけだし!こちらこそごめん!」

とはいいつつも、正直自分自身、いつもの悪い癖で、体と心の電池も切れかけていた。
(あー、家帰って1人になりてぇ。ネトフリみてぇ・・・。)
ああ、これ一生独身コースだなともふと思った。

電車の別れ際、
源「次は、行けなかったイルミネーションいこっか!」
花ちゃん「・・・あ、うん!考えとくね!」

今まで、バイバイしたあとに、必ず振り向いて手を振ってくれた花ちゃんは、今日は颯爽と帰って行った。

なんとなく察した。

終わったwwwww

電車に乗ってから、律儀に花ちゃんからのラインが来ていた。

「今日はありがとう!
21時にアイスは残念だったけど、ゆっくり過ごせてよかったよ!」

続けて、○刑宣告された。

「2月は予定あるから、また空いてる日あったら連絡するね!」




もちろん、その連絡が来ることはなかった。


3月になった。桜の蕾がふくらんできた。


花ちゃん、元気にしてるかな。
ダメ元で連絡してみた。

完膚なきまでの敗北。

ダメだった理由はなんだろう。
マングースドン引きトークだろうか。スマホ電池切れだろうか。

いや、実は、ランチのあの瞬間、階段で道をたがえていたところで、もう合わなかったのだろう。その前からもたくさんヒヤリハットがあったが、鈍感な俺は気づけなかった。

子どもが大好きな花ちゃん。
感情表現が豊かだった花ちゃん。
よく笑っていた花ちゃん。
思い出すのは、全部笑顔だった。

最後に、花ちゃん、どうか

幸せになってくれ。


マッチング廻戦(上玉・玉砕)~花ちゃん編(完)

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