【どの力のこと?】保育の専門性
どうも、主任やまもです。
幼稚園教諭をしたり、大学で講義をしたり、主任やまもの園内研修室を運営したりしています。
「保育の専門性」という言葉、研修に行くと必ずと言っていいほど耳にします。
ですが、その具体的な項目は存在せず、あれやこれやと言われています。現場でも「結局なにが専門性?」となっています。
今日は今まで聞いた話と私やまもが思う専門性についてお話します。
というのも、後輩が自分のクラスについて悩んでいる旨を私に相談してくれたことから私も改めていろいろなことを考え、その日の帰り道に思ったことをstand.fmで収録したところからこの記事を書く流れは始まりました。
みなさんにとって「保育の専門性」は何を指しますか?
説1 指導力、統制力
保育者は複数の子どもと一緒に集団で生活します。
遊びが中心と言いながらも集団で生活するには統率が必要ですし、子どもたちが正しく育っていくには大人の指導が必要です。
統率ができ、指導ができること、それが保育の専門性です。
いかがですか。
これはあまり保育者の賛同は得られませんね。統率や指導のために保育者がいるのではない!と怒られそうです。私の意見ではなく、説なので。
一点だけ引っかかることがあります。
保護者の中には、そこに保育者の意味を見出している方はいませんか?
園を選ぶ側の方がそう考えていないか。ここは考えるべき点です。
説2 提供力
続いては子どもたちに保育や環境を提供する力です。
面白い活動や遊びの引き出しが多く、次々に遊びを提供していく保育者は子どもに人気がありそうです。
一斉活動でも、例年の内容を倣うのではなく、子どもたちに経験させたい内容をどんどんとしかけることのできる力です。
これは”THE保育者”というイメージがしませんか?
手遊びいっぱい!ゲームいっぱい!製作アイディアいっぱい!
提供力が保育の専門性説、いかがでしょうか。
説3 受け止め力
提供の次は受容です。
子どもの気持ちや感情を理解し、受け止める。
「痛かったね」「悔しいんだね」「怒りたくなるよね」というネガティブ感情も、
「楽しいね」「嬉しいね」というポジティブ感情も、
子どもの感じたことを一緒になって感じてくれる力。受け止め力。
感情以外にも、どんなにくだらない子どものアイディアにも「なるほど、そう考えたんだね」「面白いね」「やってみよう」と前向きに捉えて返してくれる保育者には、子どもが次々に話しかけてくる印象があります。
それが、保育の専門性でしょうか。
説4 見取り力
受け止めは子どもの表現したことをキャッチしますが、表現しなくても子どもの姿から子どもの内面を見取る力も保育者には必要です。
また、子ども以外にも遊びを見取る力も大切で、今日の遊びが明日に繋がるための保育者の目(視点)です。
子どもの成長や遊びの発展は保育者として働く上での面白さだと私は感じています。つまり、この見取る力が保育の専門性…?
説5 振り返り力
これは、みなさんご存知の汐見先生がお話されていたことです。
「今日の保育はあれで良かったのか」と振り返ること自体が保育の専門性である、とお話していました。
説4まで色々な力をお話しましたが、振り返り力は放課後であり、仕事後であり、お風呂の中か布団の中か分かりませんが、ふと保育を思い返す力です。
そして、この力は保育者自身のことであるのも特徴の一つです。他の力は対子どもの力でした。そんな違いもあります。
まとめ
さて、5つの説を挙げてみました。
①統率力、指導力
②提供力
③受け止め力
④見取り力
⑤振り返り力
自分の考えにぴったりな力はありましたか。
おそらくここまで読んでいただいた人の頭には「どれか一つが正解じゃないよね」という答えが出ているように思います。
そうですよね。要はバランスです。
ですが、全部大事!で話が終わってはいけないです。どの力も平均的に、と「平均」をとるのは日本人の悪いところです。
全部大事!だけど私は特にここに比重を置く!という突き抜けが必要ですし、そこが個性になると私は考えます。
突き抜けるところが違うと、他の先生と考えがぶつかることがあります。それが良いんです。それぞれの考えを聞くことで、お互いの比重がまた変わったりするもんです。そうしてその人にとっての理想の比重や突き抜けが完成します。
そこには押しつけは必要ありません。「考えを伝え合う=ぶつかる」であり「どちらかの考えを正解にする=ぶつかる」ではないからです。
考えを伝え合った結果、Aさんが「Bさんの言うことのここは確かに考えたことなかったな」と思えばAさんの中で変化があります。
Bさんが「Aさんと話したけれど、やっぱり自分の考えはこれでいいと思う」と思えば、それはそれで良いんです。
まとめが長くなりました。
今日は「保育の専門性」って結局なに!?を考えました。
そして、後輩の悩みを聞いて私が思ったことを説に入れるのを忘れました。
子どもはその子なりの成長をするもの。それを早めたり無理やり伸ばすことは親にも保育者にもできない。だから、子どもが伸びようとした瞬間を見逃さずに見つけて、子どもにフィードバックしたり記録したりすることが保育者の仕事であり、専門性ではないでしょうか。
結局、子どもの前で私たちは無力なのです。
と、哲学チックになったところで今日は終了です。
ありがとうございました。
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