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ネコクインテット『#毎週ショートショートnote』

有名なクインテットグループのヴィオラ奏者が抜け、オーディションが開催された。

一人ずつスタジオに入っていくが、全員がすぐに出てくる。演奏しないのか?

僕の番になり、スタジオに入ると四人のメンバーが揃っている。顔が怖いな。僕が扉を閉めると開口一番質問がきた。

「あなた、霊感はある?」

「えっ?あるほうだと思います」

「幽霊は見たことある?」

「はい、あります」

四人の表情が柔らかくなった。

「私たちの肩になにか見える?」

肩の辺りを見てみると、全員の肩になにかいるけど、透けている。まさか。

「ネコの霊ですか?」

「合格!」

合格?受かったのか?

「足元にいるその子がパートナーだから」

足元を見ると、黒いネコが座っているが、透けていた。


このグループは楽器にネコの霊を憑依させ、ネコの鳴き声のような副交感神経を優位にする音色を出していた。
そして、憑依したネコの手を借りながら演奏していた。だから難しい曲をいとも簡単に引いていたのかとガッカリしたが、僕も黒ネコの手を借りることで大勢の観客から拍手喝采を浴びることができた。



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