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横浜3-0東京(2019年12月7日)

今回は、Jリーグ第34節、横浜F・マリノス対FC東京の一戦です。

試合前

首位:横浜F・マリノス 勝点67 得失点差+27
2位:FC東京      勝点64 得失点差+20

白黒ハッキリつけて欲しい。それが、試合前の自分の思いでした。

東京が4点差以上つけて大逆転で初優勝を果たす所を観てみたいというのはモチロンなんですが、もし横浜が優勝するのであれば、試合には負けたけど得失点差で優勝しちゃいました~てへwではなく、キッチリ実力差を見せて試合にも勝った上で優勝のシャーレを掲げて欲しい。そう思ってました。

前半

2分、左サイド深い位置からのFKを、ナ・サンホが低く速い球筋で中央へ。これはニアサイドのマルコス・ジュニオールが頭でCKへと逃れますが、そのままその場に倒れ込んでしまいます。

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後でDAZNを観て知った事ですが、マルコス・ジュニオールは前節もFKのボールを頭でクリアした事がきっかけで途中退場したとか。

3分、CKのクリアボールに対して、足を出した小川諒也と頭で行こうとしたエリキが接触。

5分、右サイドでボールを受けた仲川輝人に対して小川諒也が後ろから激しくプレス。

9分、左サイドで小川諒也から縦パスに対し、ボールを受けた永井謙佑に対して仲川輝人が体を当ててボールを奪うと、その仲川輝人に対して今度は永井謙佑が激しくチャージ。反則の笛が鳴った直後、永井謙佑が寄って来たチアゴ・マルチンスと接触して転倒。

11分、ハーフウェーライン付近からドリブルで持ち上がろうとした畠中槙之輔に対して、後ろから肩に手をかけるような形で倒したアルトゥール・シルバにイエローカード。

13分、パク・イルギュが前線へと大きく蹴り出したボールに対してエリキと小川諒也が競り合い。東京ゴール側へとこぼれたボールを拾ってドリブルを開始したエリキを渡辺剛がチェック。奪ったボールを前に蹴り出そうとした所でエリキの激しいタックルを受け転倒。エリキにイエローカード。

この辺りまで観た段階で、
ああ・・・11人対11人では終われなさそうなテンションだな、という予感。

15分を過ぎた辺りから、ようやく両チームの選手がこの試合のテンションに慣れて来たのか、激しい当たりはありつつも試合が少しずつ動き始めます。

18分、右からのCKをマルコス・ジュニオールがグラウンダーでエリア内ニアサイドのエリキへ。DFを背負いながらオーバーヘッド気味に中央へ送ると、小川諒也と林彰洋の間にスルスルっと入り込んだマテウスがプッシュ。林彰洋の横を抜けたボールは無人のゴール前を転々とするが、渡辺剛がクリア(判定は林彰洋に対するエリキの反則)

23分、林彰洋のゴールキックをオ・ジェソクが縦に流し、一度跳ね返されたボールを渡辺剛が拾うと、東慶悟がセンターライン付近から裏のスペースへ浮き球のパス。これに反応した永井謙佑が抜け出すと、エリア内に進入して右足でシュート。

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ここはパク・イルギュがセーブし、こぼれた所を畠中槙之輔がクリア。

さらに、このプレーで得たCKを橋本拳人が頭で狙うも枠の外へ。

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24分、パク・イルギュのゴールキックから仲川輝人がドリブルで中央を持ち上がってそのまま左足でミドルシュート。

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26分、林彰洋からのフィードを松原健が頭で跳ね返すと、右サイドのエリキから和田拓也を経由したボールをティーラトンがエリア外から左足一閃。

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スライディングでブロックに入った東慶悟の足に当たって大きく跳ね上がったボールは、そのまま林彰洋の頭上を抜けてゴールに吸い込まれました。

1-0。

試合の行方と優勝争いを大きく左右するであろう最初の1点は、意外な形で横浜にもたらされました。

37分、自陣でのマルコス・ジュニオールの横パスを東慶悟がカットすると、永井謙佑がドリブルから中央の高萩洋次郎へ。ダイレクトでのリターンパスを受けた永井謙佑が右足で狙うも、ボールは枠の外へ。

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44分、中盤でのパス回しからマルコス・ジュニオールがドリブルで持ち上がり、相手選手3人を引き付けて前線にパスを送ると、エリア内で受けたエリキが小川諒也のチェックを受けながらも左足でシュート。

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コレが懸命に伸ばした林彰洋の手の先を抜けてゴールへ吸い込まれて2-0。前半終了間際に横浜が追加点をあげます。

・・・と、非常に簡単に書きましたが、このシーンはマルコス・ジュニオールの上手さが非常に際立ったシーンでした。

中盤でアチコチに顔を出してパスを受けてはワンタッチツータッチで裁くプレーを繰り返しつつ、それにつられてアルトゥール・シルバのポジションが高くなったと見るや、その後ろのスペースでパスを受けてドリブルを開始。後方から慌てて戻るアルトゥール・シルバと前方から寄せて来る橋本拳人、さらにはDFラインから渡辺剛まで引っ張り出した所でエリキにパスを当てた事で、前線中央ではエリキ、仲川輝人対森重真人、小川諒也の2対2の状態が出来上がりました。

パスを受けたエリキに対して小川諒也がチャレンジ、森重真人がカバーの体制を取ったため、実質的にはエリキと小川諒也との1対1。渡辺剛も急いで戻ってきましたが間に合いませんでした。

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アルトゥール・シルバ、橋本拳人、渡辺剛を一人で動かしてゴール前でエリキに仕事のできる環境を作り出したマルコス・ジュニオール。エリキが得点後に彼を呼び寄せて靴を磨くパフォーマンスを行ったのは、エリキ自身がマルコス・ジュニオールのプレーの重要性をよく理解していたからでしょう。

そのまま、前半は2-0で終了。

横浜にボールを持たれて時間を使われないよう反則も辞さない激しい当たりで前からプレスをかけた東京でした。前半の横浜のシュートを4本に抑えた事である程度の効果はあったのかも知れませんが、一方の東京のシュートも永井の決定機2回と、CKから橋本拳人のヘディングの計3本のみ。そして、1つも決められなかった東京と、その内2つを決めた横浜。その差が残酷なほどに現れた45分だったと思います。

後半

後半開始:ナ・サンホ⇒ユ・インス 東慶悟⇒田川亨介

49分、森重真人が裏のスペースに蹴り込んだボールをチアゴ・マルチンスがヘディングでカット。エリア内で浮いたボールを松原健が頭でバックパスを試みるも、裏を狙って走り込んでいた田川亨介にこのボールが渡ってダイレクトで左足でシュート。パク・イルギュが体に当てて防いだこぼれ球を永井謙佑がさらに狙うもチアゴ・マルチンスがブロック。

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ピンチのきっかけは松原健の軽率なバックパスですけど、改めてこの写真を見ると横浜の守備ってシッカリしてるなあ、と。

永井謙佑のシュートに対して正面にチアゴ・マルチンスが立ち、パク・イルギュがニアサイドをケア。そしてきちんと戻った畠中槙之輔がファーサイドをカバー。

このシュート、どこに打てば入ったんだろ・・・

50分を過ぎ辺りから、裏へのボールに対してパク・イルギュがエリアの外に飛び出してボールを処理する場面が増えていきます。

58分、田川亨介が左から送ったクロスは畠中槙之輔が中央でクリアするも、こぼれ球を拾った小川諒也が田川亨介とのワンツーから左足でクロス。このボールに高萩洋次郎が頭で合わせるも、シュートは目の前のティーラトンに当たって和田拓也がクリア。

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59分、アルトゥール・シルバ⇒三田啓貴

61分、マテウス⇒遠藤渓太

62分、攻め上がっていた畠中槙之輔からのパスを先読みしていた森重真人がスライディングでカットすると、これを拾った田川亨介がすかさず裏のスペースへロングパス。永井謙佑より先に落下地点に入ったチアゴ・マルチンスが頭でカット。バックパスだったとすれば短かったこのボールにエリア外に飛び出して来たパク・イルギュよりも先に永井謙佑がこのボールに反応。ファーストタッチでそのまま抜け出そうとした永井謙佑をパク・イルギュが倒してしまう形に。

最初、主審はパク・イルギュにイエローカードを出しますが、ややタイミングを置いて主審と副審が話し合った結果、パク・イルギュには改めてレッドカードが提示。

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この試合でも、シーズンの優勝という面から見ても圧倒的優位に立っている状況ではありますが、残り20数分を一人少ない状況で戦う事に。

試合開始直後の予想が今頃になって当たりました・・・

67分、マルコス・ジュニオール⇒中林洋次

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68分、そのパク・イルギュの退場で得たゴールほぼ正面からのFKを森重真人が右足でシュート。

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ボールは枠の上へ。

77分、高萩洋次郎のオフサイドからティーラトンが素早くリスタートすると、センターライン手前で渡辺剛と入れ替わった遠藤渓太がそのまま左サイドを独走。懸命に戻った渡辺剛がペナルティーエリアの角辺りで遠藤渓太に追い付き1対1の状況になるも、カットインと見せかけて縦への鋭い切り返しで渡辺剛を翻弄した遠藤渓太がそのまま左足でシュート。

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最後まで諦めない渡辺剛が懸命にスライディングを見せ、GK林彰洋も何とかシュートに触れますが、ボールはそのままゴールを割って3-0。

遠藤渓太の仕掛けから得点までの流れはお見事というほかありませんが、状況を考えると、遠藤渓太にパスが入った段階で距離を開けずに勝負に行って入れ替わられた渡辺剛の責任は重いと言わざるを得ないでしょう。諦めずに必死に戻った点は評価できますが、最後の1対1も軽かった気がします。

80分、右サイドのスローインから素早く縦につないでエリア内のエリキにボールを入れると、マークについた渡辺剛を一瞬外して右アウトでシュート。

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コレは林彰洋が左手一本で辛うじてセーブ。

86分、右からの三田啓貴のCKがファーサイドまで流れた所を田川亨介が胸でのワントラップから左足でシュート(中林洋次がキャッチ)

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91分、和田拓也⇒渡辺皓太

そして、6分という長いロスタイムの後、試合は3-0で終了。2位FC東京との直接対決を制した横浜F・マリノスが15年ぶり4回目となるJリーグ制覇を果たしました。

試合を終えて

ただ一言、横浜がホントに強かったです。

試合前に自分で呟いた通り、何かが起きるとすれば、
前半の早い段階で東京が1点を先に取った場合だけだろうと思ってました。

そして、その通りのタイミングで東京にビッグチャンスが訪れました。

ただ、その千載一遇のチャンスをモノにする事が出来ず、逆にその3分後に横浜に先制点を許してしまう。その時点で、実質は勝負ありだったかなと。

それでもまだ、前半の内に追い付けていれば首の皮一枚位は繫がったのかも知れませんが、37分に再び訪れた決定機を逸すると、44分に失点。

同じパターンで、塞ぎようがない位に傷口を広げてしまいました。

ただ、それによってこの試合の意義や魅力が損なわれたのか、
残りの時間帯はただの時間の浪費だったのか、

自分は全くそう思っていません。

どれだけ点差を広げられても、どれだけ時間が無くなっても、腐らず投げ出さず、愚直にひたむきに、最後まで「最初の1点」を狙いに行ったFC東京。

どれだけ点差を広げても、どれだけ残り時間が短くなっても、雑になる事も時間を稼ぐ事もなく、貪欲に「次の1点」を狙いに行った横浜F・マリノス。

選手たちのその姿勢はきっとスタンドにも届いていたと思います。

私はこの試合をFC東京のゴール裏から観戦してましたが、相手にヤジを飛ばす事はあっても味方に罵声やブーイングを浴びせる事はなく、また点差が開いても櫛の歯が欠けるようにゾロゾロとお客さんが帰路につく事もなく(多少はありましたが、予想していたよりずっと少なかったです)最後まで必死にボールを追いかけた選手たちを、サポーターも必死に応援してました。

ああ、やっぱりこの試合は、長いシーズンを首位と2位で迎えた両チームの試合なんだな、と。

素晴らしい一日でした。

今日の一枚

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まあ、当然これですよね。
横浜F・マリノスの皆様、優勝おめでとうございます。

前節で昨年までの王者川崎フロンターレを4-1で粉砕し、最終節で最後まで優勝を争ったFC東京を3-0で打ちのめす。文句なしの優勝だと思います。

スタッツ

ハイライト映像

次回予告

ココから先の天皇杯は恐らく観戦に行けないので、この試合を持って私の2019年シーズンの観戦日記は終了になります。

年内に時間があれば、今年の振り返りとかやりたいなあとも思いますが・・・予定は未定です。

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