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生き残りへ 残り2枠を懸けた戦い

先日、ドイツのブンデスリーガでは、レヴァークーゼンが無敗で初のリーグチャンピオンに輝いた。
他の欧州リーグでも、シーズン終盤に差し掛かり、どのチームがリーグチャンピオン輝くのか、注目している人も多いだろう。

メキシコのリーガMXでは、リーグチャンピオンが決まる前に、「10位争い」が一つのポイントとなる。
以前の記事でも触れたことがあるが、リーガMXは独特な方式を持つ。
Jリーグ初期のように、プレーオフが設けられ、メキシコでは10位までのチームが参戦する。
プレーオフの本戦「リギージャ」への出場権は8位までであるが、その「8番目のチーム」は、7~10位で終えたチームで行われるトーナメントによって決まる。つまり、10位までのチームにリギージャ出場権のチャンスがあるのだ。
現在、9、10位を争っているのは、プーマス、ケレタロ、レオンの3チーム。
このうち2チームがプレーオフに進出できるということになる。
今節はこの3チームはいずれも、強豪クラブとの対戦となった。

アウェイでチーバスに惜敗

ケレタロはここまで6勝4敗5分け。11節からは4連勝などがあり、熾烈な10位争いに生き残ってきた。
16節以前のプーマスとの差は、得失点差のみ。名門チーバスのアウェイに乗り込んだケレタロは、勝ち点3はもちろんのこと、得失点で少しでも優位に立つ戦いが求められていた。

試合は、終始チーバスペース。90分を通してケレタロのシュートはわずか2本のみと、数字からもこの試合の状況が見えてくる。
チーバスは現在好調ということもあり、厳しい戦いを強いられる時間が続いた。
前半は、何度もピンチを招くも、ギリギリの所でゴールを死守し、無失点で切り抜ける。
後半、54分にチーバスのコーナーキック。
チーバスDFセプルべダが頭で合わせ、ケレタロは先制を許した。
その後、ケレタロは攻撃を試みるも、思うように押し込めず、受け身になる時間が続いた。
なんとか1点に抑えていたケレタロであったが、89分。チーバスのFWアルバラードが振り抜いた左足がゴールに突き刺さった。今節のベストゴールとも言えるスーパーゴールを許したケレタロは、このまま0対2で敗戦。
チーバスの力が大きく上回った試合となった。

この敗戦にケレタロのマウロ監督は

"Mira, creo que el buen torneo que estamos haciendo no lo empaña esta derrota."
「まず、私はここまで我々がリーグを通してやってきたことに対して、今日の敗戦によるダメージはないと思います。」
"y nuestro primer objetivo ya lo cumplimos, ya lo cumplimos, ahora estábamos soñando calificar a un play in y todabía tenemos muchas chancces de poder calificar, entonces eso es lo que buscamos, seguir soñando."
「我々が最初に目標としていたことには、すでに達成しています。今は、プレーオフに出場することを目標としてやってきました。そして、まだ我々はプレーオフに出場できる十分なチャンスがあります。ですので、それに向けて引き続き努力していきます。」

https://jalisco.quadratin.com.mx/deportes/el-buen-torneo-no-lo-empana-esta-derrota-mauro-gerk/

と語り、今節の敗戦に対して全く悲観はしていないようだ。
順位も大きく入れ替わるようなことはなく、ケレタロが厳しい状況に陥っているわけではない。次節に向けての切り替えがカギとなりそうだ。


ホームで大きな勝ち点3

ケレタロとプーマスを勝ち点3差で追うレオン。
これ以上差を広げられない状況で、ホームにモンテレイを迎えた。
シーズン序盤から好調だったモンテレイであるが、チーバスに敗れてから、クルス・アスル、ティグレスと3試合続けて勝利なしと停滞気味。
しかし、国内屈指のタレントを揃え、北中米チャンピオンを決めるConcacafチャンピオンズカップでは、ベスト4に進出するなど、その実力は確かだ。

そのモンテレイ相手に、レオンは積極的に仕掛けた。
前半39分、フリアスのスルーパスに反応したエース・ビニャスがシュート。一度はキーパーに防がれたものの、こぼれ球を自らゴールに押し込んだ。
このビニャスの1点で前半を折り返すと、後半も立ち上がりから人数をかけて、モンテレイゴールに迫った。
後半開始早々47分。DFテシ―ジョのアーリークロスをビニャスがフリアスに落とす。シュートを試みた所をモンテレイディフェンスがブロックするも、こぼれた所に、メナがフリーとなって待っていた。
キーパーが飛び出したが、メナは利き足ではない右足で冷静にループシュートを決めた。
前半終了間際と後半開始直後。どちらも非常に良い時間帯での得点となり、レオンはその後も安定した戦いを魅せた。試合はこのまま2対0でレオンの勝利。
本調子ではないとはいえ、国内トップレベルの実力を持つモンテレイ相手の完封勝利。シュート数もモンテレイの3倍の15本を放つなど、数字でも上回った点は、勝ち点3以上の意味を持つと言えるだろう。

"Hoy sí puedo destacar que el equipo se conjugó bien, línea por línea, y eso nos hizo sacar un muy buen resultado."
「今日はチームがラインごとによく団結をしてくれました。それが最高の結果をもたらしたと言えます。」
"Creo que hoy se vio reflejado lo que veníamos trabajando durante mucho más tiempo. Creo que este sí pudo ser el mejor partido (del torneo). "
「今日の結果は、我々がこれまで長い時間かけてやってきたことが、反映されたと思います。今シーズン最も良かった試合と言えると思います。」

https://www.soyfiera.com/news/2024/4/20/jorge-bava-descarta-alivio-en-el-leon-el-agua-todavia-esta-en-el-cuello-8661.html

と今シーズンからレオンの指揮を執っているホルヘ監督はコメント。
この言葉にも表れているように、非常に良い形で勝利し、満足のいく結果であったことが読み取れる。
この試合の勢いを次節に繋げたいところだ。


首位との伝統の一戦

プーマスは首位を走るクラブ・アメリカをホームで迎えた。
両チームとも首都メキシコシティを本拠地とするクラブであるため、「クラシコ・カピタリーノ "Clásico Capitalino" (首都ダービー)」と呼ばれている。日本のJリーグに置き換えると、FC東京と川崎フロンターレの多摩川クラシコといったところだろうか。

1968年のメキシコシティオリンピックのメイン競技場でもあった Estadio Ólimpico Universitario エスタディオ・オリンピコ・ウニベルシタリオは満員。プーマスのサポーター席では、エンブレムのコレオグラフィーが浮かび上がり、選手を迎えた。

立ち上がりからプーマスは、アメリカゴールに迫った。
キーマンとなったのはFWフネス・モリ。今シーズンから加入した長身ストライカーは、3-6-1のワントップを担い、ポストプレーで何度もチャンスを演出した。
しかし、アメリカも黙っていない。徐々に攻撃へのリズムをつかむと、18分、スルーパスに抜け出したアメリカMFセンデハスがペナルティエリアに侵入。それをプーマスディフェンスが抑えきれず、PKを献上してしまう。
これをエースのヘンリー・マルティンが落ち着いて決め、アウェイのアメリカ先制となった。

追いかける側となったプーマスは、細かいパスで相手を揺さぶりチャンスを伺う。
すると、前半38分の左サイドからのフリーキックのチャンス。
鋭いボールをニアに飛び込んだリバスが上手く頭で合わせ、同点に追いついた。

同点で後半に突入したプーマスは、流れを取り戻した。
間延びした相手のスペースを利用し、人数をかけた攻撃を仕掛ける。

60分、キーパーのロングフィードから、フネスが相手を背負いながら、中盤の選手に預けた。このプレーを起点にプーマスは前進。ペナルティエリア付近でボールを受けたリバスのシュートはディフェンスにブロックされるも、フリーとなっていたスアレスが見逃さず、ゴールネットを揺らした。
このシーンでは、相手ディフェンスと同数の5人の選手が攻撃に参加していた。フネスやセサルなど能力の高いオフェンスの選手が揃っているプーマス。人数をかけた攻撃が功を奏した。

その後は、両者攻防が一段と激しくなった。中盤での球際はより強くなり、ファールが増えた。それでもプーマスは集中を切らさず、相手に流れを渡さなかった。
結局試合はプーマスが逃げ切り、2対1で終了。首都ダービーは、ホームのプーマスが見事逆転勝利で終えた。
終わってみれば、両チーム合わせて10枚のイエローカードと1枚のレッドカード。ある意味クラシコらしい一戦となった。

プーマスのエンブレムのコレオグラフィー


残り2枠を懸けた決着は最終節へ

この3試合を含む第16節を終えた順位は次のようになっている。

  • プーマス 得失点差5 勝ち点26 9位

  • ケレタロ 得失点差1 勝ち点23 10位

  • レオン  得失点差-2 勝ち点23 11位

プーマスが他2チームと勝ち点3の差をつけ、一歩リードした状況で最終節を迎える。
しかし、このプーマスも決して油断できない。
最終節、プーマスはケレタロとの直接対決なのだ。
この試合がカギを握るのは言うまでもない。
レオンは12位のフアレスとアウェイで対戦する。

プーマスは引き分け以上で9位が確定となる。得失点も他2チームと差があるため、大量失点での敗戦を避ければ、プレーオフ進出の可能性は高いと見られている。
一方、ケレタロとレオンは勝った方が10位確定、どちらも同じ勝敗となった場合は得失点差による結果となる。

3チームのうち唯一ホームで戦うことになるケレタロ。サポーターというアドバンテージを使い、勝ち点3を手にしたい。
プーマスは安定した戦いで、確実に9位以内を確保したい。
モンテレイ相手に「今シーズン最も良かった試合」を魅せたレオンは、その勢いのままケレタロとプーマスを脅かしたい。

ケレタロ対プーマスは、日本時間27日12時キックオフ
レオン対フアレスは、日本時間28日8時キックオフ

プレーオフへの2枠を懸けたの戦いの決着が決まる最終節の2試合から目が離せない。

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