#CHEBHA

[ Opening ]


やあ、みんな元気かい?

今日は実に〝ぽい〟よな。見上げた空が遠近感を失っていて限りなく白に近いGrayでさ、どうだい?


それにしてももうすっかりスタジアムを見渡せば暖かそうな格好ばかりになったね。冬に屋外でfootballをやるのが信じられないくらい北にあるもんだから仕方がないんだけれど、それでもギュウギュウに詰まり熱気で膨張してはち切れんばかりのスタンドを見るとホント、頭が下がるよな。


そういや『スタンド』で思い出したんだけどさ、Championsを獲った、もちろんPremierを勝ち取った事のあるクラブのホームにバックスタンドが2階までしか無いんだよな。いや別にオレはなんか他意があってこんな事言ってるワケじゃないゼ?ただ単純にこれだけのビッグクラブでしっかり歴史を積み重ねてきて、よその国なら城壁のように聳え立つスタジアムが何十年も前に建設されていただろうなってことさ。


同じ地域に、ご近所に、ビッグクラブが、すぐそこにイカしたPremier Leagueのクラブがたくさんあり過ぎるんだよな、イングランドは。世界を見渡してみても他に目に付くのはミラノとマドリードくらいかい?それでも同地区で2チームだろう?


そう考えるとLondonって異常なんだろうな。人気も実力もあるチームがゴロゴロ存在するってのにインドや中国みたいな人口があるワケじゃないから、そこでファンを食い合っちまうのはしようがないもんな。


繰り返しになるけど、Stamford Bridgeが小さいとかって事を言いたいんじゃないんだ。人々が観に行きたくなるようなチームがそこここにあるってことさ、100年以上前からね。しかも世界のどこへ着て行っても恥ずかしくないシャツばかりなんだ、Londonのクラブってのはさ。


あえて揶揄出来そうなところを探すとすれば、金の使い方くらいかい?



[ GOAL -1- ]


ターンオーバーをしてるんじゃないクセにこの有様なのはどう言う事なのか。いい加減FAなのかFIFAなのかは知らんけどキチンとすべきだゼ、Premierを野戦病院にするつもりがないならさ。Chelseaは大分選手が戻ってきたけれど、アウェイチームは残っている本来のスタメンを数えた方が早いもんな、ヒドイよこれは。


元来ゲーム数について苦言を呈される事の多いFAだけれど、管轄するチームがさらにFIFAweekもこなすってのはやはり無理があるんじゃないか?ただでさえアグレッシブなリーグなのに20年前と比べて明らかにゲームのテンポが著しく上がって、チーム全体に連動とハードワークが当然のように求められる様になってるのに、FIFAでもUEFAでも減らすどころか闇雲に数を増やしているんだから避けようのない結果かもしれないな。だってそうだろ、これだけの仕打ちに耐えうる身体をまだ手に入れてないんだからさ、君たちは。


Stop and goを繰り返し、こまめにポジションチェンジをしながら適切な強さにコントロールされたkickを要求され続けて、2時間で10kmを走るんだ、想像してくれないか?

そしてそれを週に3日こなすんだ、毎週ね。


いやいや『俺なんか毎日10km走ってるゼ』なんてカン違いしたらダメだよ?そのランニング中にkickする動作はないだろうし、20m、30m、50mのスプリントを間で繰り返すってのもないハズで、それに突然視界の外からやって来る時速20~30kmのスクーターにブッ飛ばされるような経験もないよな?


物凄い体をした人間がハンパないスピードで動き回って、身体をぶつけ合い当たり前のように転げ回っているんだ、ピッチの上でさ。

もしこの様を未来人だか古代人だかが見たとしたら、なんて言うんだろうな。


そんな有様だからピッチ上にいる11人を右と左で見比べた時、一方は欠員はあれど過不足なくメンバーが組めていて、もう片方はSBが右も左もいない、キャプテンは不在、いつも組んでいるメンバー同士ではないから連携に不安を抱えてると三重苦。その上にトップチームデビューしたばかりの選手や、新加入でPremier Leagueを経験して間もない選手とわずかなベテランで構成されてるもんだから、これを表現するのは〝飛車角落ち〟なんて言葉だけじゃまとまらないぜ、文章にしたってさ。


もちろんこれがプレシーズンからトレーニングして来て迎えた試合ならば、それなりかも知れない。でも実際はケガ人に次ぐケガ人で苦肉の策なんだからどうしようもないよな。後はゲーム中に微調整しながら各々選手たちがベストを尽くしてくれと祈るだけだもんな、出来る事と言えば。



ゲーム序盤はBrightonも得意のポゼッションから攻撃しようと幾つか試みてはいたけれど、肝心な精度が足りずプレイヤー同士の意図がズレる場面もありチャンスに成り切らなかったからね。それと単純にポジション別で見ても今日は対峙する相手からしたら幾らか見劣ってしまうもんな、正直言っちゃうとさ。


昨シーズンの散々な状態から回復途中だとはいえ、世界中から探し出された眩いばかりの宝石たちが施されたオートクチュールのようなChelseaのラインナップが、わざわざ相手に合わせてペースを落として戦ってくれるワケもなく、徐々にギアを上げてサイドのディフェンスライン裏を狙ったパスを通しチャンスを作るようになった。


両サイド、Sterling 7 にしろ、Mudryk 10 にしろアンストッパブルとまでは行かないまでも好調で、スペースを与えれば裏抜けもできるし、スピードに乗ったドリブルはゴールまで到達する可能性を秘めている。今日も動きは軽快でDFに後手を踏ませるシーンが早くもあったしね。


そんな展開でもGOALが生まれたのはセットプレイからなんだよな。少し前から何度もチャンスを作り押せ押せだったんだけど、Mudryk 10 がラインブレイクして中への折り返しをDFがコーナーキックに逃げた所からだからね。


Gallagher 23 の蹴った僕は、密集したキーパーの前を飛び越えファーへ行き着き中央から流れて来た Badiashile 5 が頭で合わせたんだけどミートしきれず、真上に跳ねた僕を今度はDFを背負いながらコントロールしようとしてバウンドの落ち際をオーバーヘッド気味に中へ送ったら、ポジションを取り待っていたChelseaの3人の内の真ん中、Fernandez 8 の頭にドンピシャだったのさ。得点をする流れが出来上がった中でのGOALだから「してやったり」なんだろうな、ベンチにしても、ピッチ上にしても、Chelseaは。


欲を言えば裏抜けが成功しそうな段階で、クロスが来ると読んで動き出しスピードを上げて飛び込んで来られるようになると、より厚みが出るんだろうゼ、オフェンスにさ。


Brightonにしてみりゃ、いつもの悪癖が出たってトコなのかな。人は十分に居ても寄せきれずフリーにして、僕ウォッチャーになってる隙を突かれズドンだもんな。攻め続けられてはいたけれど、せっかく耐えてたんだからもう少し粘って欲しいトコだよな、チームとしては。




[ GOAL -2- ]


またしてもセットプレイ。同じ方のコーナーからkickされた僕が、さっきと同じ様に多くの選手の頭上を飛びファーで折り返され、逆サイドのポスト近くで強く叩いた Colwill 26 がGOALさ。多分しっかりデザインされたplayで彼は会心のGOALが一度は止められたと思ったんだろうな、頭を抱えていたからね。


瞬間、僕も越えたか越えていないかわからなかったけれどスグにゴールラインテクノロジーによって判断が下されたんだ、ホッとしたよ。身体に異物を埋め込まれた甲斐があるってもんさ、これならね。


2つのGOALが似てるのは偶然なんだけど、今日のゴールシーンはいつもBrightonがやってるCKみたいだよな、両方さ。だってそうだろ?ニアやキーパーの前を混雑させつつファーへ飛び込む Dunk 5 に合わせるやり方とそっくりじゃないか。

今日の出来を見ちゃうと決定力はChelseaの方が断然みたいだけどね。


散々攻め立てられてセットプレイから2失点。これをどう捉えたらいいんだろうな、Brightonは。




[ GOAL -3- ]


この少し前、と言うかリードを2点に広げた後からChelseaは次から次へと前に出て息つくヒマもない程の攻勢を一旦止めて、ブロックを敷き自らギャップを作らないやり方に変えていたよな。それによってBrightonは再びビルドアップから始められる時間が得られたんだけど、それはリードしてる側の望んでいる事でもあって、つまり受け身とはいえ試合はChelseaがコントロールしていたと言ってもよかったのかもしれないね。


だから突然生まれたGOALに僕も少しビックリしちゃったんだな。たしかに左から右へ敵を上手く引きつけながら僕を順々に受け渡して行って、目線をズラしたところでブラインドから現れた逆サイドネットに吸い込まれるシュートは、左右に振って仕留めるオフェンスのひとつのお手本のようで文句のつけようもないんだけれど。


ただ僕がスムーズにゴールへ運ばれた流れの中で、DFやディフェンスラインにミスがあったり組織が破壊され失点やむなしだったかと言われれば、全然そんな素振りなかったんだよ、Chelseaはね。


Brightonがディフェンスラインで繋ぎ、左サイドの Adingra 24 に渡りドリブルを開始した時もすぐに寄せて3人で囲んでいたし、Lallana 14 を経由して Buonanotte 40 が受けて決めたGOALの場面も、Colwill 26 がしっかり付いていてエリアに進入して来たってことでもう1人DFが寄って来たくらいさ。


だから何か不手際があって失った点じゃないって事なんだ。もちろんもう少し寄せておけばとかドコかでファウルして止めておけばとか、あーすれば、こーすればなんて話は後になればいくらでも出来るのは知ってるよ。でもそれを言い出せば、2点じゃなく3点目を早く狙いに行って決めて仕舞えばこんな事にはならなかった‥‥。

まあ結局言いたい放題だよな、タラレバなんてさ。


でも改めて Buonanotte 40 はよく決めたよな、ビッグチャンスってのでもないものをさ。こんな風に何も無い所からアッサリ決め切ってしまう様を見ていたらふと思い出したんだよな。彼の足元に収まった瞬間から緊張感と期待感が同時に高まって、コースを消し出来る限りドリブルをするスペースも潰しているのに、僅かな動き、軽いフェイントだけで目の前のDFを反応させ自分だけが使えるシュートコースを生み、あっという間に相手をうなだれさせてしまう。

そう彼だよ、〝GOAT〟 Lionel MESSI の事さ。



[ GOAL -4- ]


これはChelseaらしいと言えるカウンターだったんじゃないかな。My僕にした途端スグに切り替えて走り出し、追い縋る相手を寄せ付けないスピードで駆け抜け、シンプルなパス交換と的確な進路を取り続けただけでゴールへの最短距離を突っ切ったんだ。


今回はエリアに入ったところでファウルされちまって流れの中からGOALはならなかったけれど、チャンスと見れば即座にスイッチが入ってスピードで圧倒し、観る者にとっては最も簡単にフィニッシュまで行ってしまうChelseaが戻って来たんじゃないか?


これがまぐれではなく自分達で機を見て発動出来るのなら、それは相手にとったら物凄い脅威だよな。だってこんな事が出来るのは今やLiverpoolくらいだし、ここ20年でもかつてのメッチャイイ頃のMan Utdくらいだろう?あんな勢いのまま自陣から敵陣まで貫けるなんてなかなか無いぜ、Premierでもさ。

それくらい無駄の無い、機能美とも呼べそうなカウンターだったよな、アタッカー3人のさ。


この時まだピッチに Palmer 20 がいなかったからか Fernandez 8 が蹴ったんだけど、流石Argentineの選手というべきか、World Cup覇者の経験がそうさせるのか落ち着いていたな。もっとも彼の場合元来のキャラクターもあるのかも知れないけどね。


ショックだよな、Brightonは。4枚一気に代えて「行くぞ!」ってメッセージを送った数プレイ後には失点なんだからさ。しかも代えた選手が犯したファウルで与えたPKってのもなんだかやり切れないよ。やっぱり交代してスグ試合に馴染むのは難しいんだろうな、特にDFはね。


しかもFK、CKと立て続けにチャンスを迎えていたのは自分たちだったのに、上手く反転出来ずに大ピンチを喰らってそのままダメージを負っちまったもんな。

こういうシーンで堪えられると一皮剥けてくるんだろうね、Brightonってさ。




[ GOAL -5- ]


点差が再び2に広がってからはもどかしい時間が続いていたんだ。

あらためて精神的余裕を手に入れたChelseaは1人少ない事実をすんなり受け入れ、ある程度回されることを覚悟して直接危機が迫るようなスペースだけを与えないディフェンスにシフトしたのさ。だからBrightonは慣れたメンバーでない分、細かなコンビネーションや意図的にポジションチェンジを繰り返しパスと連動しながら相手DFを動かして効果的なスペースを作り出せず、サイドを独力で突破するしか無かったんだろうな。


こんな時はより本職のSBが居ない事が身に沁みるのかもな。だって引かれた相手、しかも目の前にはDFが2枚、毎回これを1人で打開しろってのはキツ過ぎるよ、いくらなんでもさ。


自分が仕掛ける時、タイミングを図ったかのように背後なりDFの間なりを走って2枚のうち1枚でも引っ張って行ってくれたらって具合にこちらの手段が多いと思わせられれば1つ1つのplayが徐々にやり易くなって結果、相手は混乱しその場その場の対応に忙殺される事で後手後手になった挙句悪手を指してしまう。ってな事をやっていたんだよな、昨シーズンの良い時はさ。


今はまだ個人技頼みのシーンばかり目立つから人海戦術でイイし、抜かれてもなんとかかんとかしちゃうもんな、Chelseaのディフェンス陣ならね。


それでも僕を握り続け怒涛の波状攻撃を仕掛け、やっとそれが実を結んだのは時間が追加された後のことだったのは何のイタズラか。執拗な攻撃も無に帰すかに思われた、歓喜の笛を待ち侘び歌声響く熱気の只中のStamford Bridgeに報いる一矢が放たれたのさ。


Gros 13 によって描かれた放物線の終点は Pedro 9 の頭を掠め向こう側のサイドネットに落ち着く事になった。シンプルに、ここに来てあんなのが決まるかね、というようなGOALだった。ニアですらして軌道を変えるのはCKのセオリーの1つではあるけれど、DF3人が固まっている中に飛び込んで行って自分だけピンポイントに当てて、しかもバックヘッド気味に体の向きとは反対方向、後ろに飛ばしてGOALにするってぇのはかなりのモンだぜ?全て狙い通りってワケじゃないにしてもさ。これが決まるなら、その前のアレやコレも入ってたっておかしくないじゃんか!なんて思わず言ってしまいそうになるくらい、難しいGOALさ。


まあ、逆に言えば完璧な、ココしかないってコースで、タイミングで、強さで、飛んで行ったからこそ生まれたんだろうな。まさに針に糸を通すようなカンジでさ。




[ After ]


指揮官同士は冷静に握手して労いに向かって行ったんだけど、ピッチではなんだか小競り合いが始まっちまったよな。人間ってのは90分通して散々やり合ってもまだ足りないもんなのかい?


普段冷静そうな Gros 13 も熱くなっていたみたいで、それが契機となって輪が大きくなったよな。退場者は出たけれどゲーム中ずっと荒れていた事も無かったハズなのに、ポチェッティーノも審判を問い詰めていたり何だかよく分かんない終わり方だったな、オレにはネ。

ホント、結構な降り方で冬の雨を浴びても上った血が引いて行かないなんて、一体どんな燃料燃やしてんだよ、人間はサ。


Chelseaは良かったけれど45分以上1人多い状況の中推移した試合で、1点差の相手を攻略出来なかったのは痛いよな、Brightonは。制限をかけられた状態でなんとかやり繰りしてここまで繋いで来ても、状況は好転せず変わらず苦しいのだけれど克服が不可能なメンバー、監督、そしてチームじゃないと思うんだよな、きっと。

キッカケみたいなモンは何になるんだろうかな、この場合は。


今日みたいに何度も味わうとネットに包まれるのって心地のイイもんだなって思うよな。君たちで言うところの何だろうな‥‥‥「飽きの来ない味」みたいなことかもね。


                                                                                                                                                                                                          fin.

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