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「noteを書き始めたら終わりだ」

「noteを書き始めたら終わりだ」 そう聞こえた気がして、僕はギクっとした。もう一回その声がした方向に耳を傾けてみた。部活の先輩の群れがある。 「これ見て。(既に卒業している)A先輩がnoteを始めたみたい。ほれ、これ」 「あの先輩もこうなっちゃたかー」 はっきりとそう聞こえてきた。明らかにその投稿を揶揄しているような言い方。 僕は開いていた自分のスマホの画面をそっと閉じた。「note 始め方」 私が通っている大学は、世間的には有名な大学である。それに体育会の部活に所属して

    • キッチンに立つ

      一人暮らしを始めて、ありがたいことに祖父母から、そして母からレトルトや冷凍食品が度々送られてくる。 本当に感謝しているということを大前提に、僕はそのほとんどに手をつけられておらず、すでに冷凍庫がパンパンになっている。 常温保存するレトルトももう置き場がなくなりそうだ。 自分で作ってしまう。「しまう」というか、自分で作ることに喜びを感じたり、それがストレスの発散になっている。 僕にとって、一人暮らしでの食事はストレス発散にはならない。それがどれだけ美味しくても、いっときの

      • 生放送のお仕事

        今年の4月に社会人になりました。テレビのお仕事をしています。 生放送、ニュース番組を担当しています。 まず、番組のテロップを表示する役割は若いADが担当していることに驚きました。 生放送なので緊張感が凄まじいです。だから、本番前はテロップを出すタイミングと外すタイミングを入念にチェックします。とはいえ、番組で放送するVTRも当日に入ってきたニュースを使用しての映像なので、VTRができ上がるのが番組開始直前になることも多々あります。それでも先輩たちは一回見ただけでミスなくテ

        • 営みとショッピングモール

          社会人になって早1ヶ月がすぎたなと思ってから2週間経った。仕事柄、ゴールデンウィークも存在しないので五月病になっている暇もなく僕は僕のセイカツを営んでいる。 大学時代、休日があれば家に引きこもって自室で時間を消費していたが、社会人になってから家を出なかった日が1日もない。思い返せば、大型ショッピングモールまで毎週一人で散歩しに行っている。 特にこれといった理由もなく、ブラブラする。 そして、ついついその場に居合わせている人間を観察する。 こどもの日には、ヒーローショーを

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        • 小噺シリーズ
          6本

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          鍵をかけたか忘れるし、スーパーで買いたかったものを買い忘れる

          4月から社会人になるために、引っ越しをしました。社会人になることと、初めての人暮らしとで二重の不安が襲ってきています。 とはいえ、一人は慣れているので大きな支障はないのですが、実家の自室に引きこもる一人と、1kの狭い家に引きこもる一人とでは大きな違いがありますね。 さて、星野源さんのオールナイトニッポンのスペシャルウィークに出演されていた料理研究家の土井善晴さんが面白かったので、彼の著書『一汁一菜でよいという提案』を買いました。 それにもろに触発されて、これからの一人暮ら

          鍵をかけたか忘れるし、スーパーで買いたかったものを買い忘れる

          DEBIT&DEBUT

          色々なことを制限されて生きてきて、そのせいか自分から知らない世界に飛び込んでみようみたいなフロンティア精神もないので、すっかり世間知らずな人間に育ってしまった。 しかし、一人暮らしをするためにはいやでも外の世界に飛び込んでいくしかない。そんな時にクレジットカードを22歳にして初めて手にした。 そして先日、そのクレジットカードをデビットカードにする手続きを済ませた。 そう、ついに僕はお会計の際に「カードで」が言える、DEBIT DEBUTを果たした。 でも「PAYPAYで

          指遊びの地域差について話す時間が一番楽しいよ結局

          僕の地域では 「ぐっぱのわかれっこ/あいこ→あーらじす」 だったし 「せーの、1」 だったんだ。 生まれ地域が違う人たちとやる時、絶対にバラバラになるとわかっているのに、とりあえずぞれぞれの地域の掛け声で始めちゃうんだよな。 比較的近い地域の人間が集まった高校でさえ、そこには差異がある。 そうして 「なんだよそれ」 って笑いあって、 「お前の地域は何?」 ってそれぞれに聞いていくのさ。 で、また笑いあってさ、違う指遊びの掛け声の違いについても話し合うの。

          指遊びの地域差について話す時間が一番楽しいよ結局

          ただのNFL好き元アメフト部員がスーパーボウルの収録に参加した

          細かい説明は省きますが、幸運とご縁に導かれて、つい数ヶ月前まではただのアメフト大好き引退したてアメフト部員だった僕が、世界No. 1スポーツイベントである「スーパーボウル」の番組の収録スタッフになっていました。 少しでも失敗したら放送事故になってしまう生放送。 慌ただしく、様々な声が飛び交う機械だらけの部屋で、ミスをしてはいけないプレッシャーと、スーパーボウルを伝える側としての責任と高揚感と、憧れだったものに対面している不思議な感覚がぐちゃぐちゃになっていました。 台本に

          ただのNFL好き元アメフト部員がスーパーボウルの収録に参加した

          それでも僕は光を待つ

          誕生日になる30分前。23時半。僕は始発で出かける用事があって、4時にアラームをかけている。もう本当はとっくに寝ていなければならない。 本当はわかっているのに。 もう二十数年生きている。 人間は学習する。 24時になって、誕生日がやってきてもこのまま携帯が光ることはないとわかっているのに。 LINEの通知が届いて部屋が照らされることはない。 24時を過ぎてもやっぱり部屋は暗いまま。 おのずから、携帯の通知画面を見てしまった。 4時間後にアラームを設定してあります

          それでも僕は光を待つ

          口内炎と鼻詰まり

          わざわざ改めていうほどのことでもないのかもしれないが、口内炎と鼻詰まりは本当に厄介である。 口の中を噛んだ時には、「畜生」と心の中で叫んでいる。漢字の方で叫んでいる。 たちが悪いのが、一度噛んだところは腫れてより噛み易くなっているという点である。2回目噛もうものなら、「goddamn」案件だ。こちらは英語の発音のscream inside my heart。 もっとたちが悪いのは、口の中を噛む場所は、口の中に入れた食べ物に触れやすい場所にあるという点である。 口の中を噛ん

          口内炎と鼻詰まり

          新春を寿ぐ〜仲が良い友達と旅行に行ったら仲が悪くなった〜

          松・竹・梅といえば今では、おめでたいものの象徴ですが、もともとの意味は少し違ったようです。 松は冬でも葉を茂らせ、竹は雪の重さにも折れない、梅は寒い中他の花の魁として綺麗な花を咲かせるもので、このように冬の時期に強いことからこの三つは「歳寒の三友」と言われています。これらは絵の題材としてよく用いられ、日本でも江戸時代によく描かれたようです。 というのも、友人と京都へ二泊三日の旅行へ行ってきまして、二条城では新春のイベント「新春を寿ぐ〜松竹梅〜」としてこの松竹梅が描かれた障壁

          新春を寿ぐ〜仲が良い友達と旅行に行ったら仲が悪くなった〜

          【小噺】行儀が良い人

          友人と旅行に行ってきました。 夕食時に行列のできるラーメンを食べにいきました。 僕はラーメンと餃子を注文しました。 体の正面に餃子、左側にラーメンを配置しました。 最初に餃子にがっつきたかったので。 そして、配置を変えずにラーメンを食べ始めました。 僕は左利きなので、自分の左側に料理があっても気にせずに食べられるのです。少し体は左を向きますが。 しかし、それを見かねて友人は僕に説教を始めました。 体の向きが気に食わなかったのです。 「それ、やめたら?俺の家で

          【小噺】行儀が良い人

          【ウルトラライトダウンあるある】 そんな小さい袋に入るわけないじゃん。→ちゃんと入る。

          【ウルトラライトダウンあるある】 そんな小さい袋に入るわけないじゃん。→ちゃんと入る。

          【小噺】奥歯に剣

          歯医者さんに自ら進んで治療を受けにいきたい人なんてこの世の中にいるはずがありません。できれば、歯医者さんにお世話にならない人生を歩みたいものです。 歯と言えば、【心の中では敵意を持ちながらもその心を表には出さず隠している様子】をことわざで「奥歯に剣」と言いますが、皆様はそのような状況を経験したことがありますか?嫌な上司とか、怖い先生とか。 このお話は、お察しの通り、歯医者さんでの奥歯に剣に関する一幕です。よく咀嚼してお召し上がりください。 昔から歯の健康には定評があり、虫

          【小噺】奥歯に剣

          【小噺】ありえない話

          離婚とか、友達の仲を解消することをちょっと古い言葉で「離縁する」といいますが、僕が今から書くお話はそんな言葉とは縁遠い、というか、正反対の結婚についての話になります。 三歳年上の兄がもうすぐ結婚することになりました。詳しいことはあまり聞いていませんが、親の挨拶は済ませたようです。とは言っても僕の家庭は両親が離婚していて、最近まで父の耳には入っていなかったようです。離婚すると実の息子の結婚の報告さえも蔑ろにされてしまうのですね。お気の毒にという感じです。 物心ついた時には両

          【小噺】ありえない話

          【小噺】この世界の代弁者

          僕は、過去に大罪を犯したことがある。でも今こうして文章を書いているということは、捕まってはいないということだ。出頭しても良いくらいに僕は心悩ませていた。 僕には、腸の氾濫がよく起こる。朝、電車に乗っていると突然とそれはやってくる。目的の駅到着。一安心。しかし、駆け込んだ先は行列。個室のお前ら何をもたもたしてやがる。色んな意味で早く出てこい。中で着替えでもしてようものならぶってやる。 もしここで間に合わなかったらどうする?どう繕う?学校は?部活は?服をどうする?クリーニング必

          【小噺】この世界の代弁者