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盲目的な「三笘信仰」は危険か?日本のサッカー人気爆発から見る、新旧ファンの心得

大層なタイトルになってしまいました。完全に個人の意見を述べているだけなので、聞き流す程度で考えてもらえると嬉しいです。これを読んで気分を害する方もいらっしゃるかもしれません。その際は心からお詫び申し上げます。

突然ですが皆さん、嫌いなものはありますか?どんな人にも必ず嫌いなものは存在しますよね。いろいろ思い当たるものがあるでしょうが、やはり一番は英語の動画になぜか関西弁で日本語訳のテロップをつけてしまう人種です。これは情状酌量の余地もありません。まだ名前がついてないだけで、普通に犯罪です。そして僕がその次に嫌いなものは、「にわかファン」という言葉です。

少し前ですが、Brighton &Hove Albion の公式Twitterを見ていたら昨年12月のクラブ月間ベストゴールがアナウンスされていましたね。今をときめく三笘選手が年末のアーセナル戦で決めたゴールが見事選出されていました。当時ゴール裏で観戦していた僕に向かって一直線の素晴らしいフィニッシュでした。BIG LOVE。しかしどうやらネット上では今回の投票結果が物議を醸しているようです。

というのも、その前節にソリー・マーチ選手がサウサンプトン相手にPA外からエグいミドルシュートを決めていました。マジでたまに見るやつ。かなり久々の得点ということもあり、ファンの間では彼の受賞が妥当だという見方が一般的でした。正直僕もそう思いました。

ただ今回の結果はこの予想を裏切る形となりました。その原因(?)となったのは間違いなく日本人の組織票でしょう。ワールドカップの影響もあり最近の日本のサッカー人気には目を見張るものがありますよね。三笘選手もかなり印象的な活躍を見せた一人で、「サッカー人気」に負けないほど「三笘人気」の熱を感じます。これを受けて多くの「にわかファン」が半盲目的に彼のゴールに投票した結果、ワールドカップより以前から熱心に応援していたサポーターの方々が少なからず違和感を覚える事象がおそらく初めて目に見える形で発生したわけです。

彼らの目線に立って言えば、自分たちが大切にしてきたコンテンツが突如現れた大量の日本人によって荒らされているという感覚になるのでしょうか。この感覚は理解できないものではないですよね。誰しも自分が熱心に取り組んできたものに対して明らかに自分より歴が浅い人に知った口を利かれたら「ムムッ」と思うはずです。まさしく「郷に入っては郷に従え」ですね。新しくコミュニティに飛び込むときには多少なりともこれまでの文脈を心得ておく必要があるでしょう。

一方で、三笘選手に投票した多くの日本人ファンの立場からすると、新歓の時あんなに優しかった先輩が本入部した瞬間人が変わったように怖くなる、あの類の理不尽さに似たものを感じているでしょう。ワールドカップでのサポーターの一体感や、その後の「ぜひプレミアリーグも!」的な初心者大歓迎ムードはどこへ行ったのでしょうか。口車に乗せられていざ界隈に足を踏み入れると、誰からも事前に教わらない大量の「暗黙のルール」。まさしく部活のそれですよね。そのギャップに嫌気がさして退部していった友人を僕は何人も知っています。

どちらの苦悩も想像に難くないでしょう。ただこういった場合、たいていは既存のファンが「自分たちの方が格上だ」と錯覚し牽制を始めてしまいます。「これだから『にわか』は、、、」なんて罵詈雑言が四方八方から飛んでくるような風潮に、僕は心底嫌気がさします。

そもそも「にわかファン」なんて言葉を最初に考案した人がナンセンスの極みです。僕はファンの間に優劣なんてものは存在しないと思っています。現地で観戦するからエラいとか、無料で観れる試合しか観ないからダメだとか、10年観てるからエラいとか、昨日から観始めたからダメだとか。お門違いにも程があります。誰もがそのコンテンツを少しでも追い始めた瞬間から一端のファンなんです。

たまに「〇〇を代表して謝ります」なんて誰に許可とってるのか知らない謎のファン代表が現れたりしますが、言語道断です。「自分はコンテンツに明るい、より質の高いファンである」という思い込みにより他のファンの価値を勝手に下げてしまうことは、一種の冒涜行為と言っても過言ではないです。

こういったことが起こってしまう排他的な集団である限り、そのコンテンツのこれ以上の繁栄はありません。だってコンテンツを支えるファンの数を増やすことを自ら妨げているのですから。ワールドカップを機にせっかく興味を持ってくれたファンが内輪ルールを嫌い離れていってしまう。これほどもったいないことってないと思います。せっかく同じものを好きになった人間同士、その良さを分かち合いたいですよね。

ここまで我慢して読んでくださった熱心なサポーターの方々、本当にありがとうございます。既存のファンの態度について思ったことをお話ししてきましたが、もちろん新しくファンになる方にも少し知っていただきたいマインドがあります。やっとタイトルの内容についてのお話です。前置きが長くなりすぎてすみません。

キーワードは「リスペクト」です。一人前のファンとしてリスペクトを受けるということは、同時にコンテンツそのものや他のファンに対するリスペクトが求められるということです。キッカケがワールドカップであれ三笘選手であれ、その動機は尊重されるべきです。ただ、ここで少し気にかけるといいのが対象が属するコミュニティのことです。この感覚は恋愛で誰かを好きになった時と似ていて、視野が狭まりがちです。好きな人と同じ委員会になりたいから他の友達にそこで手を挙げないように事前に頼むというような自己中心的な振る舞いに、気づいたら及んでいるということもあります。クラスの輪が乱れかねません。高校の時の僕です。本当にその委員会をやりたかった友達はどう思うのか、行動に出る前に一度考えてみるべきでした。

せっかく三笘選手を応援するようになったのですから、ついでに周りのこともちょっと調べてみることをオススメします。その結果、より深く彼を理解しさらに熱心に応援できたり、三笘選手以外の自分好みの選手を見つけることがあるかもしれません。過去の出来事を遡ったりして、クラブの歴史や背景に興味を持つかもしれません。大事なことは、三笘選手を追い始めた視線をその周辺にも向けてみることです。簡単で小さなことですが、これはあなたが好きになったコンテンツに対する大きなリスペクトです。

長々と書いてしまいましたが、要するに歴なんか関係なくみんなでブライトンを応援したいということになります。あなたはこのクラブを支える大事な一員ですし、もちろん僕もです。これからもシーガルズの一挙手一投足に一喜一憂しましょう。

上手くまとまっているかどうかかなり不安ですが、今回のお話は以上です。
長文失礼しました。


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