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ファジアーノ岡山を例にデータの読み方を知ろう 〜ゴール期待値〜

これは「2022 ファジアーノ岡山 Advent Calendar」の5日目の記事です。

1. サッカーを楽しむための道具の一つ


サッカーのデータってどんなイメージがありますか?
「難しそう」「数字は苦手」から、「なんかスゴそう」「データで何でも答えが出るんでしょ」、「分りたい」「使ってみたい」まで人それぞれだと思います。

ここでは、
データのことをちょっと知ったら、サッカーの楽しみがちょっと増えた
と感じてもらいたいなーという思いのもと、サッカーを楽しむための道具の一つとしてデータを紹介をしていきたいと思います。

2. そのシュートはどのくらい難しいの?


サッカーの一番の見せ場は、なんと言ってもゴールシーンです。ゴールするためにはシュートを打たなければいけませんが、例えシュートを20本打っても1点も取れないこともあれば、1本しかなかったチャンスを決めて勝つこともあります。それを単に「20」と「1」という数字の比較だけで捉えると、サッカーの楽しみを損してしまいます。シュートの価値は全て同じなのか?を考えてみると、新しい気づきが生まれてきます。

そこで、最近注目を集めている「ゴール期待値」をご紹介します。これは、読んで字のごとく「どのくらいゴールが期待できるか」を表すもので、もう少し分りやすく言うと「そのシュートはどのくらい難しいか」が分かるものです。

サッカーはどんなシュートでも決まれば1点です。ゴールキーパーを交わして無人のゴールにボールを転がしても、自陣から超ロングシュートをブチ込んでも同じ1点です。そこにロマンがあると言えばそうかもしれないんですが、そのシュートの違いを分かりやすく数字で表したのがゴール期待値です。

Jリーグのデータを扱っているFootball LABの説明からゴール期待値についてまとめると、このようになります。

  • ゴールへの距離やシュートの角度などで難しさを推定

  • シュートの成功確率を0~1の範囲で表す

  • 平均的な選手がシュートを打った場合を想定した値

  • 値が高いほど得点が決まる可能性が高い

  • 選手個人とチーム両方のシュート能力が分かる

ちなみに、Football LABが導き出した2019 J1リーグのゴール期待値を絵にすると、こんな感じみたいです。ゴールに近いエリアやPKからのシュートが期待値が高いことが分ります(そりゃそうなんですが笑)。

https://www.football-lab.jp/column/entry/731/ 


3. ファジアーノ岡山のゴール期待値


では、2022シーズンのファジアーノ岡山のゴール期待値はどうだったのでしょうか?
Football LABのデータから、リーグ戦上位6チームの年間データを比較してみます。

https://www.football-lab.jp/summary/team_ranking/j2/?year=2022&data=expected を元に計算

ファジアーノ岡山は、差分が1.6となっています。つまり、期待できるゴールとほぼ同じゴール数が生まれている、と言うことになります。作ったチャンスをしっかり決めていたと言えます。
一方で、他の上位5チームは期待値を6以上上回るゴール数になっており、アルビレックス新潟は差分が12.1!。平均的に期待できる以上の結果を出していたと言えます。


4. 期待を越えるゴールを決めていたのは誰?


今度は、選手ごとにゴール期待値を見ていきます。差分の大きい新潟は、下の表のようになっています。ゴール期待値を上回る結果を出している選手が多いと言えます。伊藤選手、高木選手は3〜4ゴール近く、鈴木選手、三戸選手、本間選手は約2ゴール上回っています。

https://www.football-lab.jp/niig/ を元に作成


一方、ファジアーノ岡山はこちらです。チアゴアウベス選手が期待値を約4ゴール上回っていますが、その他の選手は期待値とほぼ同じとなっています。

https://www.football-lab.jp/okay/ を元に作成


ゴール期待値は「平均的な選手がシュートを打った場合」を想定した値なので、それを上回っている選手は高いシュート能力を発揮していたと言えます。ちなみに、得点王になった横浜FCの小川航基選手は、ゴール期待値16.604に対して26ゴール(差分9.4)という結果でした。


5. データをどう読むか


このデータをそのまま見るだけでも楽しみは増えるのですが、もうちょっと楽しめるようなデータの読み方を紹介したいと思います。

ゴール期待値のデータから単純に、「チームも選手も、ファジアーノは平均的!」「すごいのはチアゴだけ!」と言い切ることはできません。そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。いろんなデータを絡めることでもっと詳しく分かってくることもありますが、同時にデータを扱うハードルも高くなるので、今回はこれ以上のデータには踏み込まないことにします。

では、上のデータをどのように読んで楽しめば良いのか。オススメはこちらです。

  • ファジアーノは確実に決められるチャンスを作れているから上位になった!あとは、そのチャンスの数を増やすだけ!

  • チアゴアウベスのように難しいチャンスを決められる選手の補強か、今いる選手がシュート能力を上げてくれることに期待しよう!

  • もしかして、相手のマークが厳しいからシュートを決められなかっただけなんじゃない?相手の守備の仕方も見てみよう!


いかがでしたでしょうか?
ぜひぜひ、データも使ってサッカーを見てみてください!


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