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☆民藝を通して見える国や時代

柳宗悦が収集した民藝品をたどりながら、
日本という国が持つ気づかぬ凄みについて
まとめておきたい。と思った。

内容は下記3つ。
①柳宗悦が手仕事に目を向けた時代背景
②巧みなメディア戦略
③日本というイメージ戦略に目を向ける

Topic①:柳宗悦が手仕事に目を向けた時代背景

このパートは展示会を受けて、僕のメモ。
19世紀は工業化・産業化が進んだ時代とともに、
モノを機械がつくるようになっていった。

大量にモノを作るには、
規格が揃っていることが望ましく、
異質なものは好まれない。
つまり、設計図が明確にあり、規格が揃っているからこそ大量に生産することができたという時代背景が見えてくる。

こういった近代化に柳宗悦らは危機感を覚えていたのだろう。
手仕事が生んだその土地ならではの知恵や知見が凝縮された道具やモノに価値があると気づく。

柳の凄いところは、手仕事の重要性を単に説いたわけではないところだと僕は思う。
工業化時代とともに、大量に製品が商品が生産される時代を受け入れた上で、手仕事の価値を守らなければならないと感じたはずだ。
(単に趣味で集めていただけかもしれないけれど)

彼は、収集した骨董品や道具に「美」を見出すのだ。
つまり鑑賞するものとして再価値を構築すると
雑誌や展示会などを通じ世に広めるプラットフォームを築こうとしたのだ。

Topic②:巧みなメディア戦略

驚いたのは、柳宗悦の圧倒的な編集力。
日本中を練り歩き、集めた骨董品を日本地図上に
書き記して大判の民藝地図を完成させた。

また、雑誌に実際の記事なども貼り付け、
読者が体感できる仕組みも作り上げる。

展示会では、展示も技術と位置付け、
最も評価された品は買い取って販売した。
販売することで、生産者の意欲も高めることに繋げ、民藝が活動として社会に受け入れられることに繋げたのだ。

世の中が政治だけで動かせず、
全体の仕組みや設計で解決できるということを物語っている事例のひとつだろう。

それにしても、道具を鑑賞するものとして再定義し、その上で雑誌を刊行してしまう打ち手に繋げるのは鋭すぎる。
こういう視点は先人に学びを得なければいけないのだろう。

それにしても、この時代は岡倉天心もそうだけど、柳宗悦もクセがすごい。
日本という国がどのように世界から見られているのか、時代を捉えつつ真剣に考えていたのだろうなぁ。と思いを馳せてしまった。

Topic③:日本というイメージ戦略に目を向ける

「古き良き日本」では未開な日本の印象を「現代日本」では欧米の模倣である。独特の伝統があり、かつモダンな日本のイメージが選択されていった。その一つが民藝、いわゆる手仕事だった。
展示会より参照

未開の地(時には野蛮な地)とも言われていた
日本という国を世界にどうイメージとして根付かせるかは大きな課題だった。

当時の外務省らと協力しながら、柳宗悦が捉えた世界観を売り出していくことに繋がったと記載してあった。

地域で人の手によってしつらえられたモノは、
海外の人に称賛とともに受け止められた。
日本として世界の中でどうポジションを取っていくかの一つの指標が見えたタイミングでもあったのだ。

ことサッカー界においても、
手作りという部分をより洗練させることが
世界の中で違いを生む部分になるかもしれない。
とふと思った。

例えば、選手が機械的に動くということだけでなく、エラーをあえて生む瞬間をつくる。
感覚だけで文字を打ち込んでいるが、柔らかさをプレーの中に加える。
こういったことが意図的かつ再現度高くできるようになれば、もしかすると世界とは違う日本のサッカーが見えてくるかもしれない。

最後は余談だけれど、そんなことを
感じさせられた展示だった。

それでは〜。

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